2015秋ドラマ寸評

大本命はTBS十八番の池井戸潤「下町ロケット」
勉強にもなる「コウノドリ」も必見!!

 

当コラムは、HUSTLE PRESS編集長個人が感じた秋ドラマの寸評になります。少しでも皆さまの参考になれば幸いです。

 

◎=絶対に最終回まで見る
○=なんとか最終回まで見る
▲=とりあえず見る
△=余裕があれば見る
-=タイミングが合えば見る

 

「5→9~私に恋したお坊さん~」(フジテレビ系・毎週月曜日21:00~)
漫画原作ドラマ。山Pと石原さとみという安定感のある2人のドタバタラブストーリー。脇を固める俳優・女優陣も粒ぞろい。ドラマ自体に厚みは感じる。
フレッシュガールでは、初ドラマの恒松祐里には大注目。実家でのシーンが結構あるので、かわいい妹を見逃すことはないと思います。演技力には安定感のある吉本実憂に一見の価値あり。

 

「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」(フジテレビ系・毎週火曜日22:00~)
漫画原作ドラマ。相棒が恋人同士という刑事(松坂桃李&木村文乃)と、謎の美女(菜々緒)が織りなしていくサスペンス。
猟奇殺人を巡ってストーリーは混とんとしていく。とにかく菜々緒の悪女役が今回も最高です。女優としての美人悪女役を確たるものにしています。菜々緒の悪女っぷりは一見の価値ありです。

 

「結婚式の前日に」(TBS系・毎週火曜日22:00~)
香里奈久しぶりのドラマ復帰作。内容は結婚式まで100日を控えた新婦が脳腫瘍と診断され、その後の100日間を描いていくという、いたって硬派なヒューマンラブストーリー。
自分が脳腫瘍と診断された後の、半ば他人事のようなヒロイン・芹沢ひとみの行動は、もしかしたら整理のつかないリアルさなのかもしれません。ただし、どこかでよく似た設定のドラマや映画を見た気にさせてしまう感は否めず、没頭できる作品かと言われるとそこまでではないのも事実です。
真野恵里菜が、ヒロインの婚約者・園田悠一(鈴木亮平)を好きな国会議員の娘役で出演。堤幸彦監督に見出され、女優としてのポジションを確たるものにした彼女。なんとなく、後半ドラマのキーマンになってきそうな予感。

 

「偽装の夫婦」(日本テレビ系・毎週水曜日22:00~)
45歳で未婚の嘉門ヒロ(天海祐希)が、かつての恋人(ゲイ)・陽村超治(沢村一樹)と偽装結婚をすることに。テロップ表記されるヒロの心の声にフッと笑えることが多い。ただ笑えるだけではなく毎度、感動できるエピソードを盛り込んでくるので見ていて飽きないかも。同性愛という切り口も、ハッピーでハートフルに描いている脚本には恐れ入る。

 

「無痛~診える眼~」(フジテレビ系・毎週水曜日22:00~)
神の診察眼を持った視診の天才町医者・為頼英介を西島秀俊が。同じ能力を持ちつつもクリニックを経営し、無痛治療を目指す院長・白神陽児を伊藤英明が。為頼英介の能力に興味を寄せる刑事・早瀬順一郎を伊藤淳史がそれぞれ演じる。
殺人を犯してしまいそうな人間に「犯因症」が診えるというのは、はっきり言って怖いですね。先々どのようにストーリーが展開していくのか予測するのが難しい作品。
クリニックで働く臨床心理士で石橋杏奈、強迫性障害を抱えて入院している少女で浜辺美波が出演。浜辺美波はこの役のため地毛を金髪に染めており、そのビジュアルにも注目。中盤から後半にかけてポイントになってくる役どころと思われる。

 

「遺産争族」(テレビ朝日系・毎週木曜日21:00~)
タイトルからもわかるように、テーマは「遺産相続」。どんな泥沼になっていくのだろうと、骨肉の展開に大いに期待してしまう。昨今の「大塚家具」や「ロッテ」に見られるように、身内の骨肉の争いは、見ている側からすると無責任にも興味津々なんですよね。
表向き仲がよく見える河村家が舞台となるのだが、長女の陽子(余貴美子)、次女の月子(室井滋)、三女の凜子(板谷由夏)を中心に、陽子の娘である楓(榮倉奈々)とその婿となる佐藤育生(向井理)。なんだかドロドロしていく昼ドラを見ている感覚すら覚える作品。まっすぐな男・育生が相続金のことで嫌な奴になっていったら、最高に面白いんだけど、どうでしょうか…。

 

「オトナ女子」(フジテレビ系・毎週木曜日22:00~)
キャストは篠原涼子、吉瀬美智子、鈴木砂羽、谷原章介、江口洋介と今クールのドラマの中でも一番の重厚な布陣をしいたフジテレビの意欲作。
40前後の女性を「オトナ女子」と言うようになったのであれば、10年前は「アラサー」だった気がするので、それは時代の流れなのかも。結婚というものの考え方が男女問わず変わってしまったからこその作品。僕自身38歳で未婚ですが、男の場合は「こどもオッサン」にでもなるのでしょうか。2話で「変態は程度問題」というオトナ女子だからこそのセリフがあったのですが、まったくもって同感です。平山あやが綺麗な女性になっていて、デビュー時から知っている僕としては、ちょっとドキッとしました。

 

「青春探偵ハルヤ~大人の悪を許さない!~」(日本テレビ系・毎週木曜日23:59~)
原作は福田栄一著の同名小説。問題を解決していく浅木晴也役に玉森裕太。さわやかな硬派ハルヤには適役。ミス東学の肩書をもった能見美羽役に新川優愛。スタイルもよい新川優愛だけに〝ミス〟という初ヒロイン役にもぴったりハマる。ハルヤの追っかけ3人娘の柳ゆり菜、池田沙絵美、小槙まこ。元ももいろクローバーの伊倉愛美がスナックアラバマのアルバイト役で出演しているところも押さえておきたい。

 

「コウノドリ」(TBS系・毎週金曜日22:00~)
漫画原作ドラマ。とにかく、このドラマは勉強になります。命が生まれる現場である産婦人科で働く産科医・鴻鳥サクラを中心としたチームが、様々な事情を抱えた妊婦をフォローし、新しい命をこの世に誕生させていきます。同じ産科医役の星野源がいい味出しているのと、助産師役の吉田羊が今までとはガラッと雰囲気を出していていい感じです。特筆すべきは、新米産婦人科医を演じる松岡茉優。アドリブ力全開でバラエティー番組のMCもできる彼女だが、女優としても着実にステップアップしている感があり、今回の作品でも、素直な演技が光っていると思う。オールマイティー女優に成長しつつある。助産師役の清野菜名も変幻自在感たっぷり。「ソフトバンク」のCMとは違い、今回の役では地味な感じがうまく出せているところは彼女の女優としての力の賜か。

 

「サムライせんせい」(テレビ朝日系・毎週金曜日23:15~)
とにかく錦戸亮のちょんまげ姿が似合いすぎ! 武市半平太と坂本龍馬という「幕末を動かした土佐の偉人」2人が現代にタイムスリップしてくるという設定もGOOD。「武士の魂」が現代にどう通用していくのか。義であったり、志であったり、そういうものは現代にも通じるものはあると思うので、今後の展開に大いに期待する。黒島結菜が金髪のギャル役で登場。今までの堅いイメージを払拭しているので、そこにも注目!

 

「掟上今日子の備忘録」(日本テレビ系・毎週土曜日21:00~)
原作は西尾維新著の同名小説。新垣結衣が眠るとすべてがリセットされてしまうというヒロイン探偵の掟上今日子を演じる。毎度災難に見舞われる男・隠館厄介に岡田将生。
1話毎に違う事件が発生し、継続して見なくても大丈夫な安心感もあり、気楽に見られるミステリー作品。シルバーヘアーに眼鏡というなりの新垣結衣が、なかなかイケてます。あっせん事務所の従業員役で内田理央が出演。制服姿はかわいいです。

 

「下町ロケット」(TBS系・毎週日曜日21:00~)
またまた来ました。TBS十八番の池井戸潤の企業戦士もの。原作はもちろん第145回直木賞受賞作でミリオンセラーの「下町ロケット」(池井戸潤著)。
今回の主人公・佃製作所社長の佃航平役の阿部寛がいい! さらに配役が絶妙。佃製作所内でいえば、経理部長の立川談春を筆頭に、安田顕、中本賢、谷田歩、今野浩喜と、すべて違和感なし。白水銀行の東国原英夫、春風亭昇太。敵味方分れる弁護士対決でも、池畑慎之介と恵俊彰。このキャストは絶妙。作品自体にフレッシュ女優は、阿部寛の娘役で土屋太鳳のみしかいませんが、当作品は絶対お薦め。

 

「エンジェル・ハート」(日本テレビ系・毎週日曜日22:00~)
漫画原作ドラマ。子供の頃に見たことのある「シティーハンター」。今年は生誕30周年だそうだ。「シティーハンター」の系譜を継ぐ物語「エンジェル・ハート」だが、主人公・冴羽リョウがどうしても上川隆也と合わない気がしてならない。ヒロイン役の三吉彩花はアクションにもチャレンジし、新しい一面を開拓。

 

 

HUSTLE PRESS編集長 井上朝夫