PICK UP ACTRESS 優希美青

PICK UP ACTRESS 優希美青

PHOTO=厚地健太郎 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

映画「ママレード・ボーイ」に出演
ヒロインの親友役で先生との恋も

 
 

――「ママレード・ボーイ」のようなガッツリ恋愛系の作品は出たことありましたっけ?

「なかったです。ほぼ初めてです」。

――そういうマンガを読むことは?

「胸キュン系はあまり読む機会はなかったですね」。

――で、「ママレード・ボーイ」の原作を読んでみたら?

「すごくキュンキュンしました(笑)。ああいうお話を20年以上前に描かれていたのがすごいなと思います」。

――主人公たちが一緒の家に住むようになって、そこから好きになっていく展開ですが、原作はもともと知らなかったんですよね?

「知らなくて、最初タイトルを聞いたときもイメージが浮かびませんでした。出演が決まってから、当時ちょうど世代だった周りの方たちに『大人気のマンガだったんだよ』と言われて、『そんなにすごい作品に私が出ていいのかな?』みたいな気持ちになりました」。

――美青さんが演じた秋月茗子は、原作では複雑な家庭環境で育ったお嬢様。映画ではその辺は台詞でちょっと触れられた程度でしたが、バックボーンとして意識しました?

「そこまででもないですけど、台詞にあった通り両親が仮面夫婦で、家で自分がポツンとしている気がしたから、名村先生を頼って好きになった……ということはちゃんと意識してました。先生には心を許していいんだと」。


――親友で主人公の光希といるときは、普通に明るい女の子のようでした。

「原作を読んで、茗子は大人っぽいミステリアスな子だと思って、そのイメージで役を作って現場に行ったら、『あまり原作に捉われず、人間味のある茗子にして』と言われました。普通の女の子は親友といるときに無理に大人っぽくしない。楽しいときはキャッキャ笑う。そういう話をされて、確かにそうだと思いました」。

――美青さんは「大人感・クール感を兼ね備えている」ということで、茗子役にキャスティングされたそうですが……。

「大人っぽいとは言われますけど全然クールではないし、光希役の(桜井)日奈子ちゃんのほうが年上だから、私のほうが大人っぽく見えるかも不安で、最初は『私にできるかな?』と思いました。ただ、見た目の大人っぽさは必要でも、台詞回しやたたずまいではそこまで意識しませんでした」。

――光希とケンカするシーンもありましたが、親友とのケンカは経験あります?

「一回だけあります。でもメールでケンカした感じで、直接言い合ったことはないので、あそこは難しかったです。『親友が相手だとどうなるのか? どこまで言い合うのか?』。そのあたりを現場で探り探りやって、だいぶ悩みました」。


――かなり強い口調になってましたね。

「意外とお母さんとはよくケンカするんです(笑)。そういうときはガーッと言うので、そのノリでした」。

――学校で名村先生との関係を隠していたことでケンカになって、そのあとで光希の家まで行って……。

「自分の言葉で光希を傷つけたのを後悔して、『本当は光希のことが好きなんだ』と伝えて仲直りするために行ったんですけど、その気持ちがあまりにも想像できなくて……。そういう体験をしたことがないから、どんな想いで光希に会いに行ったのか、わかりませんでした。たぶん会いにくいはずなのに、なんで電話ではなく直接行ったんだろう? しかも、行っても(ドア越しに話して)顔も見なかったのに……ということを、台本を読みながらすごく考えました」。

――結局、自分の中では納得できたんですか?

「やっぱり自分の言葉で傷つけてしまった分、自分の言葉でその傷を癒しに行かないと……というのはあったと思うんです。だけど光希の顔を見たら、先生を追い掛ける決心も鈍るから、顔を見ないで声で伝えることにしたのかなと考えました」。


――胸の内をさらけ出すような言い合いの中で、「自分のドロドロを見せて嫌われたくない」という言葉もありました。

「そういう気持ちはわかります。でも私は、信頼している人にはドロドロも全部見せるかもしれません。何でも言っちゃうし、相談もします」。

――桜井日奈子さんとは親友感を出すために、現場でコミュニケーションを取ったり?

「今回初めてお会いして、意識的だったのかどうなのか、お互い結構一緒にいました。空き時間やカメラのセッティング中に、寒かったから2人で固まって暖め合ったりしながら、お仕事の話もプライベートの話もして、自然に仲良くなれました」。

 
 

相手に合わせずに自分で決めて
変えない芝居も大事だと学びました

 
 

――駅での名村先生とのお別れのシーンも見せ場でしたね。

「あそこも本当に難しくて……。茗子にとっては大事なシーンだったから、すごく力を入れて頑張ったんですけど、現場でなかなかうまく行かなくて苦労しました。私が緊張しているのを廣木(隆一)監督が察して、近くまで来てくださって『大丈夫!』って背中を叩いてくれました。私がお願いして、手も握ってもらったんです。それでちょっと安心しましたけど、すごく時間がかかりました」。


――どのような難しさだったんでしょう?

「今までああいう感じで泣くシーンがなかったから、『大丈夫かな? 気持ちを作れるかな?』という不安があって、前の日からずっと緊張してました。あと、あの電車は本当に運行していて、撮影できる時間が決まっているから、時刻表を見た瞬間に『あっ、ヤバイ……』ってプレッシャーが一気に来ちゃいました」。

――観ていると切なくて泣けました。

「気持ちは高ぶったし、自分的には頑張りました。実際はもっと長く撮っていたのがギュギュッと短くなって、ちょっと残念でしたけど(笑)、そのあとの光希とのシーンは自然にできました。今考えると、何が難しかったんだろう?」。

――学校での先生とのシーンは幸せそうでした。

「幸せそうに頑張りました(笑)。でも、先生を好きになるのは想像つきません。たぶん私の中身が幼いから、先生だと上すぎるんです」。

――現場でカメラが回ってないところでは、何か印象的なことはありました?

「セッティング待ちの間に、(吉沢)亮くんと(佐藤)大樹くんと日奈子ちゃんと私で、テニスをやったんです。それがすごく楽しかったのが、一番印象に残ってます。みんなうまくて、私1人だけ運動が得意じゃなくて、ずっと笑われてましたけど(笑)」。

――前の取材では「全然走れない」という話がありましたが、テニスもできず?

「私は楽しかったんですけど、ボールを打ち返せたのは1回だけで、あとはずっと空振ってました(笑)。それを見て、みんなが笑っていて、『楽しんでもらえているならいいか』と思いました(笑)」。

――このところ出演作が続いてますが、女優としてステップアップしている感覚はあります?

「全然ないです。もっと頑張らないと。今まではずっと、相手から投げられたボールに応えて返す演技のやり方をしていたんです。だから、相手の方が変われば自分のお芝居も変わるし、ニュアンスを変えられたら、こっちも変えていたんですね。でも今回、廣木監督とご一緒させていただいて、それではダメなときもあると教えていただきました」。


――どこかのシーンで?

「ほぼ全体的にそうでした。相手に合わせたらいけないときもある。自分である程度『こうする』と決めておかないといけない。そういうことを監督から学びました。今まではそう決めたら段取っぽくなりそうで、台詞を覚えるだけで、それ以外に『ここで立って』とかは絶対決めていかなかったんです。でも、決めることが必要なときもあるのがわかりました」。

――確かにそう言われると、茗子に揺るぎない感じは出てました。ところで、最近はプライベートで良いことはありますか?

「プライベートは満喫できてないです。でも、今は仕事が楽しいので……」。

――「ママレード・ボーイ」は世間的にはゴールデンウィークに公開されますが、長い休みが欲しいとも思いません?

「高校を卒業したので、遅ればせながら卒業旅行みたいなことはしたいと、ずっと思ってます。友だちに『卒業旅行しよう』と言ったら、『いいよ。でも、いつ空いてるの?』と聞かれて、確かに予定がわからなくて、結局行けてないんです。もし3日、4日の休みがあったら、どこかに泊りに行きたいですね」。


――卒業式は涙だったんですか?

「それがお仕事で出られなかったんです。でも、『ちはやふる-結び-』の舞台あいさつで卒業証書をもらったので、あれが私の卒業式でした」。

――そういえば、読者プレゼント用のチェキサインを、今回は紫で入れてましたね。

「最近こういう色が好きなんです。前はピンクや水色や白だったのが、今は赤とか紫。大人になりました(笑)」。

 


 
 

優希美青(ゆうき・みお)

生年月日:1999年4月5日(19歳)
出身地:福島県
血液型:O型

 
【CHECK IT】
2012年に「第37回ホリプロタレントスカウトキャラバン」でグランプリを受賞。2013年4月にドラマ「雲の階段」(日本テレビ系)で女優デビュー。主な出演作は映画「空飛ぶ金魚と世界のひみつ」、「神さまの言うとおり」、「でーれーガールズ」、「暗殺教室」、ドラマ「あまちゃん」(NHK)、「マッサン」(NHK)、「デスノート」(日本テレビ系)など。映画「ちはやふる-結び-」が公開中。ドラマ「ミューブ♪~秘密の歌園~」(メ~テレ/月曜24:55~)に出演中。P&G「レノアハピネスアロマジュエル」CMがオンエア中。映画「ママレード・ボーイ」は4月27日(金)より公開。
詳しい情報は公式HP

 

「ママレード・ボーイ」

詳しい情報は「ママレード・ボーイ」公式HP
 

 

(C)吉住渉/集英社 (C)2018 映画「ママレード・ボーイ」製作委員会