PICK UP ACTRESS 山本舞香
PHOTO=小澤太一 INTERVIEW=斉藤貴志
「東京喰種」映画続編でヒロイン
クールに振る舞いアクションも奮闘
――今年も半分が過ぎましたが、上半期はプライベートで良いことはありました?
「印象に残ったことは特にないです(笑)。仕事に関しては充実してましたけど、プライベートは何とな~くやり過ごしている感じなので」。
――仕事の息抜きで何かしたりは?
「休みはあったんですけど、服を買いに行くくらいで、遊んでないです。面倒くさくて(笑)」。
――インスタに上がった愛犬とのキス動画が話題になりました。
「よくジャレてます。インスタ用に狙ってはいません(笑)」。
――下半期はどう過ごしますか?
「楽しく仕事をしたいだけです。今は『東京喰種 トーキョーグール【S】』の宣伝活動が多くて、それも楽しいですけど、やっぱり疲れがドッときます。いろいろな媒体で話しすぎて、自分がどこで何を言ったか、わからなくなっちゃう」。
――みんな舞香さんの話を聞きたいんですよ。
「ありがたいことです。こうやって作品のことを世間に伝えてくださるので、主演の窪田(正孝)さんを助けて頑張りたいです」。
――「東京喰種 トーキョーグール【S】」は宣伝しがいのある作品になりました?
「楽しんでもらえると思います。展開が速くて内容が盛りだくさん。最後は『もう終わり?』って満足してもらえそう。アクションシーンもありますけど、私が演じたトーカと友だちの依子(よりこ)とか、喰種と人間の物語も描かれていて……」。
――喰種のニシキの恋人が人間だったり。
「『人を食べる喰種が気持ち悪いから観たくない』という人もいるかもしれませんけど、喰種は人間の容姿をしていて喰種であることがコンプレックスなだけで、人間だって誰でもコンプレックスはあるし、バレたらいけなくて誰にも言えないことがある。『それを背負いながらどう生きていくか?』という意味でも観てほしいです。観方を変えて何回か観てもらっても面白いかもしれません」。
――もともと原作は知っていたんですか?
「タイトルは知ってましたけど、マンガは読まないので、出演が決まってからアニメを観てストーリーを知りました。アニメやマンガって、見る人の頭の中の想像で動く感じだから、たとえば画の後ろで炎が燃えていたりすると伝わるじゃないですか。実写ではそういうのをどう表現するかが、難しいだろうなと思いました」。
――グロいシーンもありますが、抵抗ありませんでした?
「撮っているときは全然抵抗なかったですけど、完成して観ると『ちょっと気持ち悪いな』というのはありました(笑)。血の量が半端じゃないし、CGでも足されているので『結構出てるな』と思いました」。
――トーカのようなクールで強い役は得意ですよね?
「そういう役が得意というより、明るくて真面目な子の役が自分の中では難しくて……。常にクールでいるトーカは演じやすさはありましたけど、人種が違うので、しっくりしたわけでもなかったですね。原作を好きな人が多いからプレッシャーもあって、最初はトーカができる自信はありませんでした」。
――そうだったんですか。
「窪田さんにも『自信がない』と話しましたけど、『舞香らしいトーカを演じてほしい』と言ってくださって助けられました。『これがトーカ』というものは最初はまったくなくて、自分の中で何も固まっていませんでした。撮影していくうちに監督と話して、徐々に掴めた感じです。自分からも『こう演じたい』と言えるようになって、トーカになれてきている実感はありました」。
――トーカをどう演じたいと言ったんですか?
「軸は原作ですけど、そこに自分の色を足したいと。アニメでは笑ってないところで笑ったり、徐々に怒るのではなく急に怒り出すとか、そういうことをやってみました」。
――冷たいように見えて、いい奴ですよね。
「友だちを大切にする。自分が大切だと認識している人は守る。私自身もたぶんそうするので、そこは似ているかなと思いました。トーカはひねくれ者ではなくて、見方を変えればツンデレなだけ。そういうところをうまく表現できればと思いました」。
――トーカが喰種として過去に経験した受難についても考えました?
「見た目は人間だし、人間が牛肉や豚肉を食べるように、人間の肉しか食べられないだけで、シリアスな部分は普通に人間としてお芝居しました。そこまで重い感じではやってません」。
――「急に怒り出す」という話もありましたが、月山(つきやま)と戦いに行くカネキに「いい加減にしろ!」と怒鳴ったりしてました。
「あそこはどうキレたらいいのか、すごく悩みました。冷静に怒るのがいいのか。でも、カネキとニシキは行く気だったから、止めるのに必死でああやって怒ったと私は思っています。月山と戦えば死ぬと、トーカは考えていたので」。
――原作ではカネキとトーカはあの後にいろいろありますが、この映画ではトーカはカネキにどんな感情を抱いていると考えてました?
「恋愛感情は一切ないですね。でも、守りたい気持ちはあって、仲間という意識だと思います。原作の『:re』に入って、カネキが離れて行って、自分がカネキを好きだったと気づいた感じかな」。
カット割りが多くて大変だったけど
完成したら速い展開に引き付けられて……
――アクションシーンでは、空手仕込みの身体能力の高さが活かされたようですね。
「楽しかったけど、怖かったです。窪田さんとやるときも(月山役の)松田(翔太)さんとやるときも」。
――怖いというのは、ワイヤーを使ったりするのが?
「そうではなくて、当ててしまうんじゃないかという怖さです。それ以外は、別に苦労はありませんでした」。
――今も日ごろから運動はしているんですか?
「いや、何もしてません。昔、空手をやっていたのが大きかったと思います。アクションの監督も空手のほうに寄せてくれたので」。
――でも、格闘技としての空手とアクションでは、だいぶ違いませんでした?
「全然違います。やっぱり当たっているように見えなきゃいけないのは難しいです。カネキとの特訓シーンは、その場でアクション部の人の立ち回りを見て、やったらできちゃいました」。
――クライマックスの教会での月山との対決シーンは?
「イン前に3日間だけ稽古しました。ワイヤーの練習と、何個かの手の攻撃の順番と、技をいくつかやりました」。
――ワイヤーアクションも難なくできたんですか?
「慣れてきたら、基本的に楽しくできました。でも、ワイヤーは人間が引っ張るので、その力を受けながら自分の体をコントロールするのは、コツを掴むまで難しかったです」。
――どこかが痛くなったりもしませんでした?
「特訓シーンの高さ25mから駆け下りていくところで、アクション部の人がワイヤーを引っ張って、私がそれ以上の力で走らないといけないんですけど、着地するときにお互いの息が合わなくてワイヤーを引っ張られて、腰をコンクリートに思い切りぶつけました。『チア☆ダン』の撮影で腰を痛めた直後で、すごく痛くて、声になってない声を上げたら、上にいた窪田さんが聞いて『舞香が死んじゃった!?』と思ったそうです(笑)。そういうトラブルもありましたが、誰もケガしなくて良かったです」。
――完成した映画のアクションシーンを観た感想は?
「カット割りがすごく多くて、飽きませんでした。カットが少ないと速さも一定になってきますが、あれだけ多いと撮影中は大変だったけど、完成したら展開がすごく速いし、アクションがきれいに見えました」。
――左肩から出る羽根状の赫子(かぐね)の付け心地はどうでした?
「CGが付くとカッコ良く見えますけど、現場では肩からツノが生えてる感じで、何もないのに、ただカッコ付けてるヤツみたいになってました(笑)。それはそれでちょっと面白かったかな」。
――原作同様、その赫子を「きれい」と言われるシーンもありました。
「今まで言われたことはなかったと思うし、人間に赫子を見られること自体がコンプレックスだったから、『きれい』と言われて、戸惑いと恥ずかしさと悲しさが入れ混じったんだと思います」。
――トーカはずっとクールな顔をしていたからこそ、終盤に依子に見せた笑顔が印象的でした。
「そうですね。依子はトーカの唯一の友だちで、大事な人間の1人なので。あそこは監督にすごくこだわりがあったみたいですけど、私には何も言ってこなかったから、感情のまま依子と話してました。(依子役の)森七菜ちゃんがすごくかわいいんですよね(笑)」。
――舞香さん自身は「かわいい」より「カッコイイ」と言われたい感じ?
「どっちでもいいです。役は自分ではないし、オファーしてくださる方がどう思っているかだから、それに応えられたらいいなというくらいです」。
――最初に「プライベートは何となくやり過ごす」という話がありましたが、夏場に楽しみなことはありませんか?
「今年の夏休みはたぶん夏が終わってからになるので、そこで何かできればいいかなと思います。海外に行こうかと考えていたんですけど、面倒くさくなってきちゃって(笑)。海外に行ったら、帰ってきたくなくなりますよね。長期間休むと、仕事をやる気をなくしちゃう。だから、鳥取の実家に帰るくらいでいいのかな」。
――日常の中で夏の風情を感じたりは?
「よく行くごはん屋さんで、お店の人がいつもスイカを用意してくれます。フルーツ大好きで、夏はスイカをすごく食べるので」。
――自宅の冷蔵庫にも常にスイカが入っていたり?
「私、冷蔵庫に入れておくと、いつも忘れちゃって、賞味期限が切れているので(笑)、食べたいと思ったときに、その日に食べる分しか買いません」。
山本舞香(やまもと・まいか)
生年月日:1997年10月13日(21歳)
出身地:鳥取県
血液型:B型
【CHECK IT】
「鳥取美少女図鑑」に掲載された写真からスカウトされ、2011年、「三井のリハウス」のCMに14代目リハウスガールとして出演。同年にドラマ「それでも、生きてゆく」(フジテレビ系)で女優デビュー。主な出演作はドラマ「南くんの恋人~my little lover~」(フジテレビ系)、「漫画みたいにいかない。」(日本テレビ)、「チア☆ダン」(TBS系)、映画「暗殺教室」、「ひるなかの流星」、「未成年だけどコドモじゃない」、「ギャングース」ほか。ドラマ「スカム」(MBS/日曜24:50~、TBS/火曜25:28~)に出演中。「王様のブランチ」(TBS/土曜9:30~)に隔週で出演中。映画「東京喰種 トーキョーグール【S】」が公開中。
詳しい情報は公式サイトへ
「東京喰種 トーキョーグール【S】」
詳しい情報は「東京喰種 トーキョーグール【S】」公式サイトへ
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