PICK UP ACTRESS 南乃彩希
PHOTO=小澤太一 HAIR&MAKE=宮脇華織
STYLING=棚橋公子 INTERVIEW=斉藤貴志
衣装協力:ベルギーリネンドレープチュニック、ウィンドウペンストールワンピース=a+koloni
株式会社ファラオ(03-6416-8635)
映画「いつかのふたり」が公開
面倒な母を持つしっかり者の娘役
――髪を切ったんですね。
「もともとショートにしたくて、やっと切れるタイミングになって、バッサリ切りました。シャンプーがワンプッシュで泡立つようになりました(笑)」。
――シングルマザーとしっかり者の娘を描いた映画「いつかのふたり」で娘の真友を演じていますが、撮ったのは結構前なんですよね?
「2年前の冬です。高校3年生の頃で、ちょうど真友と同じ年で進路に悩んでいて、役との共通点がありました」。
――真友は大阪の小説家に弟子入りするために家を出ていこうと考えてましたが、すでに女優やモデルとして活躍していた彩希さんも進路で悩んでいたんですか?
「悩みました。大学に行くことは決めてましたけど、そのあとの生活のこととか……」。
――東京でひとり暮らしをするか?
「私は神奈川に住んでいて東京に近いので、結局実家暮らしをしてますけど、周りにひとり暮らしを始める子がいたり、全然違う道に進む子もいたので、私もこのままの道で進んでいいのか、本当に悩んでました」。
――なるほど。真友は行動力があって我が道を行く感じで、面白いキャラクターですね。不登校だけど出席日数を計算して「これだけ休んでも卒業できる!!表」を作っていたり。
「大きい紙に書いてましたね。しっかりしてるというか、ちゃっかりしてるんですかね(笑)。学校でもうまくいってないわけではないと思うんです。友だちとも仲良くできるし、いじめられてるわけでもない。でも、バイト先の古本屋さんが居心地良くて、友だちとキャッキャ恋バナするより、本を読んだり音楽を聴くほうが好き。本当に我が道を行くタイプなんですよね」。
――そして、あいさつは「ヤッホー!」(笑)。
「あれは最初からあったわけではなくて、撮影していく中で『真友はこういう感じ?』とどんどん作っていって、気づいたら『ヤッホー!』になってました(笑)」。
――真友の内面が特に出たと思う場面はどの辺ですか?
「真友は基本的に感情を表に出さないんです。でも、心のどこかで離婚したお父さんとお母さんの仲をどうにかしたいと思っていて、伊香保温泉に連れて行ったり、お母さんが頼りないからこそ『自分が何とかしなきゃ』と、しっかりした面がところどころで見られると思います」。
――そういうキャラクター的にも、真友と彩希さんに共通点はありました?
「真友は本当にしっかりしていて、お母さんと2人で暮らしていても、自分がお母さんの面倒を見ているところがありますけど、私自身は姉がいて、逆に甘えているほうなので、その辺はちょっと違います。でも、自分で『これはこうしたい』とか、我が道を行くところは似てるかなと思います」。
――真友がよく「まだ早い」と言っていたのは、何かを反映していると思いますか?
「お母さんが子離れできてなくて、真友も実は親離れできてないから、出てきた言葉だと思います。今は決断できなくて、先延ばしにしてしまうんですよね」。
――演じるに当たって、いろいろ考えないといけないシーンはありました?
「さっき言ったように、真友は喜怒哀楽をあまり表に出さないんですけど、両親と3人で伊香保温泉に旅行に行ったとき、初めて感情をむき出しにして、お母さんにきついことを言ってしまうんですよね」。
――映画のキャッチコピーにもなっている「私はずっとお母さんの心配し続けなきゃいけないの?」という発言もしてました。
「お母さんの言ったことに腹を立てただけではなく、今までのことが全部積み重なって出た言葉だから、そのときの感情をどう台詞にしていくか、監督と話し合いました」。
作品を通じて自分自身が改めて
家族と向き合うことができました
――その前夜、ビールをひと口飲んだ真友がくだを巻くシーンは、リアルに初めて酔っぱらった感じでした。
「あそこはアドリブがほとんどです(笑)。撮影当時は高校生で、お酒を飲んだことはなかったから、酔っぱらうってどんな感じなのか、ネットで調べました。両親や成人した人にろれつが回らなくなることも聞いて、監督からは『酔って寝たときには口が開く』と教わりました(笑)」。
――今は彩希さんも20歳で、お酒も飲めるようになりました。
「ああいうふうにはなりませんけど(笑)、ホワホワした感覚は初めて知りました」。
――真友が酔っぱらったとき、両親に「君たちは面倒くさい!」とも言い放ってました。真友の母親は何でも偶数しばりにしたり、レザークラフトにのめり込んで真夜中までカンカン音を立てていたり、子どものようなところがあります。実際にああいうお母さんだったら、やっぱり「面倒くさい」と思いそう?
「どうなんですかね? 私の母もすごくしっかりした感じではないですけど、それはそれで楽しい気がします。一緒に歩数が偶数になるように数えたり(笑)。映画でも、私と中島(ひろ子)さんが演じるお母さんとの何気ない会話が面白いので、注目してほしいです」。
――コミカルなやり取りも多いですけど、お互い素直になれない母娘ですね。
「私自身は反抗期がそんなになくて、わりと素直に母に話してましたけど、それでも高3の頃は、進路のことで母が『どうするの?』とか聞いてきても、面倒くさくて『いいから!』と、向き合わないところがありました」。
――そこも真友と重なるところでしたか。
「その時期は特に、『本当はこういう道に進みたい』と思いながら、心のどこかで『お母さんは私がこの道に進んだら喜んでくれるんじゃないか』とも考えてました。真友が『お母さんを置いて大阪に行けない』と思っていたのと、まったく同じ形ではないけど、母や家族に気を使っていたんです。この作品を通じて、自分自身も改めて母と向き合うことができて、感謝の気持ちも伝えられたので良かったです」。
――他にも、2年前の撮影でいまだに強く覚えていることはありますか?
「撮っていたのは冬でしたけど、9月から12月くらいまでのシーンがあって、9月の場面では腕まくりして自転車をこいだりして、すごく寒かったです(笑)。あと、小学生の光男くん(母親のレザークラフトの先生の息子)との、ビルの屋上の秘密基地のシーンは、2人で焚火したりして印象に残ってます」。
――光男を追い掛けて道を延々と走るシーンもありました。
「すっごい走りました。冬で運動してなかったから、体がついていかなくてゼェゼェして、次の日は筋肉痛。『ハーッ……。私も年を取ったな』と思いました(笑)」。
――彩希さんはこの映画が公開される頃は、海外留学をしているんですよね?
「ヨーロッパのほうに4カ月くらい行かせていただきます。友だちと海外旅行をする機会がちょいちょいあって、やっぱり英語を話せたらすごくいいし、将来も絶対役に立つので、機会があるなら留学したいと思っていました」。
――そういうことも含め、4月で20歳になって、人生的なこともいろいろ考えるようになったんですか?
「実際20歳になると『まだまだ子どもだな』と思いますけど、それなりに大人としての自分を周りから求められている気がしなくもなくもなかったりします(笑)。今まで気を使ってなかったことに、気を使うようになったかもしれません。以前は身近な人にお礼とか全然言わないときもありましたけど、そこは気を使わないといけないと思ってます」。
――どんな大人を目指していくんですか?
「具体的にはまだありません。でも、何歳になっても常に『今の自分が一番』と思っている人になりたいですね。そんな人生を歩みたいです」。
南乃彩希(みなみの・さき)
生年月日:1999年4月27日(20歳)
出身地:神奈川県
血液型:B型
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小学6年のときに地元の夏祭りで、事務所の先輩の北乃きいがスカウト。2012年にドラマ「悪夢ちゃん」(日本テレビ系)で女優デビュー。主な出演作はドラマ「コドモ警視」(TBS系)、「天誅~闇の仕置人」(フジテレビ系)、「探偵が早すぎる」(読売テレビ・日本テレビ系)、映画「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」、「ちはやふる-結び-」、舞台「シブヤから遠く離れて」など。映画「いつかのふたり」は10月12日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開。
詳しい情報は公式HPへ
「いつかのふたり」
詳しい情報は「いつかのふたり」公式サイトへ
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