PICK UP ACTRESS 吉本実憂

PICK UP ACTRESS 吉本実憂

PHOTO=城方雅孝 INTERVIEW=斉藤貴志
衣装協力=ジョイフル恵利

 
 

地方で撮影の作品に相次ぎ出演
盲目の旅芸人役で三味線の演奏も

 
 

――今年は地方での撮影が多かったようですね。

「そうですね。2020年に公開される『瞽女GOZE』が新潟、『透子のセカイ』が長野、それからドラマの『水戸黄門』は京都や滋賀で撮りました。『瞽女GOZE』は人間国宝の小林ハルさんの物語で、新潟でなければ撮れない作品だったり、愛のある町にたくさん行けた気がします」。

――小林ハルさんは瞽女(盲目の女旅芸人)で、実憂さんはその成年期の役。

「目が見えない役は初めてで、撮影が始まる前に暗闇体験に行きました。目を開けていても何も見えないところに、幼少期役の川北のんちゃんや他のキャストの皆さんと入って、暗闇の中で机を並べたり、飲み物を注いだりしました」。

――見えない中で飲み物を注げたんですか?

「すごく難しかったです。本当に盲目の方も一緒に入ってくれて、アドバイスをいただきながら、ボール遊びもしました。撮影では目をつぶっていても見ようとする姿を表現したかったのと、三味線を弾いて歌うのもまた難しかったです」。


――三味線の練習はかなりやったんですか?

「小林ハルさんの最後のお弟子さんだった先生について、1カ月半くらい、毎日弾きながら歌ってました。三味線は小学生のとき、4カ月だけ習ってましたけど、初心者と変わらなくて。バチを小指と薬指の間に挟んで弾くから、指の付け根の部分が赤くなって痛かったり皮がむけるのは、ちょっときつかったです。それと、弾いているときに盲目だから手を見たらいけない、という難しさもありました」。

――かつ、歌うわけですよね?

「瞽女歌は上手く歌えばいいというわけではないんです。息を多く入れないようにしたり、小林ハルさんは声を潰して歌っていたみたいで、そういう歌い方は初めてで大変でした。あと何より、1人で強く頼もしく生きた小林ハルさんの10代、20代での土台を、ちゃんと表現できるように心掛けました」。

――ハードルが高い役だったようですね。

「責任が重くてプレッシャーのかかる役でした。でも、やるしかなかったので……。不安になってる時間があるなら、三味線の練習や役について考えることに費やしました」。


――上海やタイの映画祭などで上映された「透子のセカイ」では、巫女の役でした。

「巫女さん役も初めてで、ミュージカルふうに踊るシーンもあって、元気に飛び跳ねてます。『カメラを止めるな!』の撮影監督だった曽根剛さんが監督をしてくださって、踊るところは音源だけ渡されて『自由でいいよ』と言われたんですね。自分で振付を考えて、現場で作って、挑戦する感じで楽しかったです」。

――巫女っぽい踊りなんですか?

「パキパキした踊りではなくて、カウントに合わせずに、ゆったり動くんです。だから、『早く動きたい!』という感じになってました(笑)。上海国際映画祭で上映させていただいたときは、お客さんが巫女のシーンに食いついてくれたり、ボイメン(BOYS AND MEN)の勇翔さんが演じたオタクのシーンで大爆笑だったんですね。皆さんが日本の文化に興味を持ってくださっているのがわかって、海外に、より発信していきたい作品になりました」。


 
 

良い子に見せようとしていたのが
ありのままの自分で接するように

 
 

――「水戸黄門」では、姫でありながら男装して旅をする凛々しい役でした。

「じゃじゃ馬姫でしたね(笑)。普通の姫と違って元気いっぱいで、所作も気にしませんでした。吉姫ですけど、吉太郎として旅をしていたので。たまに姫になるシーンがあると、スタッフさんが喜ぶんですよね(笑)。『私はずっとここにいましたけど』という」。

――剣術を披露する場面もありました。

「アクションはもともと習っていて、ずっとやりたかったので、ちょっとですけど叶いました。『水戸黄門』では斬ったりしないで、全部峰打ちなんです。私は昔、原田龍二さんの助さんが大好きで、その時代の『水戸黄門』を観てましたけど、峰打ちのことは知りませんでした。印籠もすごく輝いているんですよ。そういうことをいろいろ知れて、面白かったです」。

――年配の方からの反響もありました?

「ありました。私のおばあちゃんもすごく喜んでくれて。私自身、日光江戸村で印籠が欲しくてダダをこねてねだったくらい、『水戸黄門』にハマっていたので、出演できて嬉しかったです。家族に良い報告ができました」。


――今年はプライベートはどう過ごしてました?

「意外と自由な時間があって、もともとインドア派だったのにいっぱい外に出て、旅行もしました。この前も友だちと京都、大阪に1泊2日で行きました。行きは初めての高速バスで、帰りは新幹線。金閣寺とかを見て、USJに行って、楽しかったです」。

――1日のオフでも出掛けていたんですか?

「今年はたくさん人と会うようにしてました。心掛けてもいたし、『会いたいな』と思うようになったんです。会うことによって、何かが生まれるので。仕事のことを話したり、作品について意見交換できる仲間が増えて、自分の作ってない部分を受け入れてくれる人にたくさん出会えました。今までは『良い子でいなきゃ』みたいなところが自分の軸になっていて、そういうふうに見せようとしていたんですね。でも、限界が来て苦しくなって、ありのままの自分で接したら、相手に素直に受け入れてもらえて『こうしたら?』と意見をくれて……。『私はこのままでいいんだ』と思えたのが、今年は大きかったと思います」。

――それはかけがえのないことですね。飲みにも行くんですか? 実憂さんは強そうですけど(笑)。

「よく言われます(笑)。実際強いと思うんですけど、私、梅酒ばかり、好きで飲んでいるんですよ。それだと太るので、最近は控えてますけど、梅酒と日本酒は永遠に飲めます(笑)」。

――あと、ソフトバンクホークスが日本シリーズで4連勝しました。

「最高でした! 喜びすぎて、机の角に足をぶつけました(笑)。今年は和田投手も登板して、幸せでした。左投手って、カッコ良く見えません(笑)?」。


――確かに(笑)。来年は公私ともにより充実しそうですね。

「自分の中で2019年は、いろいろな覚悟を決められました。やっぱりお芝居が一番好きで、続けていくためには何が必要で、人生において何をしないといけないのか? そういうことを考える時間がたっぷりあったんです。2020年は今年考えたことを地道にやりながら、焦らず自分のペースで生きていこうと思います。役者としてしっかり地に足を付けて、心に届く作品を作り続けたい。そんな覚悟は深くできています」。

 
 


 
 

吉本実憂(よしもと・みゆ)

生年月日:1996年12月28日(22歳)
出身地:福岡県
血液型:AB型
 
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2012年に「第13回全日本国民的美少女コンテスト」でグランプリを受賞。2014年7月にドラマ「獣医さん、事件ですよ」(日本テレビ系)で女優デビュー。主な出演作は映画「ゆめはるか」、「罪の余白」、「レディinホワイト」、「JK☆ROCK」、ドラマ「とと姉ちゃん」(NHK)、「クズの本懐」(フジテレビ)、「さくらの親子丼」(東海テレビ・フジテレビ系)、「水戸黄門」(BS-TBS)、舞台「三文オペラ」など。映画「透子のセカイ」が2020年2月28日(金)に長野先行上映、4月3日(金)より公開。「瞽女GOZE」が2020年春に公開。「大コメ騒動」が2021年に公開予定。
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