FRESH ACTRESS 神南里奈
PHOTO=松下茜 INTERVIEW=斉藤貴志
“第2の玉城ティナ”としてデビュー
初のドラマに出演中でアイドル活動も
――出身は宮城県の塩釜だそうですね。
「港町で、お魚がすごくおいしいところです。マグロが有名で、おじいちゃんの家に行くと毎晩お酒のおつまみに出ていたのを、もらってました。お店も一応ありましたけど、服を買うなら電車で30分かけて仙台まで行かないと、かわいいのはなかなか見つからない感じでした」。
――第2の玉城ティナさんを発掘するオーディションでグランプリを受賞したのが2年前でしたが、芸能界はいつ頃から目指したんですか?
「ずっと興味はありましたけど、本格的にやりたいと思い始めたのは、高校3年生で進路を決める時期でした。きっかけはBiSさんのライブを観て、すごくカッコ良くて羨ましくて、アイドルになりたいと思ったんです」。
――アイドルでもWACK系でしたか。
「ハードなほうです(笑)。人前に出る仕事をやりたい気持ちも芽生えて、そこにSNSで『第2のたましろ』の募集が流れてきたんです。玉城ティナさんは素敵な方だと思っていたし、思い立ったらすぐやりたいタイプだから、『これだ!』と応募しました。それで受かったら、この事務所でもアイドルグループがありました(笑)」。
――研究生として加入したOBPですね。
「宮城から東京に通って、ダンスや演技のレッスンを受けさせてもらううちに、最初はアイドルをやりたい気持ちが強かったのが、女優さんも難しいけど楽しそうに思えてきました」。
――学校でも目立つタイプだったんですか?
「みんなの前に出て『やろう!』ということはなかったんですけど、楽しいことは大好きで、誰かがやると言ったら一生懸命乗りました」。
――文化祭で何かやったり?
「仲良い子が提案したワッフル屋さんをやりました。お店の雰囲気を一緒に考えて、海をモチーフに魚の絵とかを描いて、内装も外装もかわいくしました。ワッフルにもホイップをいっぱい乗せて、人気になったんです。みんな写真を撮りに来てました」。
――部活はやってました?
「高校ではやってなくて、中学ではソフトボール部のキャプテンでした。すごくうまかったわけではなくて、『みんなをちゃんと見ている』ということで選んでもらいました」。
――リーダーシップがあったんですね。学級委員とかもやっていたり?
「学級委員は『やりたい』と言っても、おちゃらけたタイプだったので、先生に止められました(笑)」。
――ソフトボールのポジションは?
「ピッチャーと外野全般です。基本ライトでしたけど、ピッチャーの子が骨折してしまって、代わりとして、とりあえずコントロールは置いといてボールの速さだけで、やることに決められたんです。ひたすら投げる練習をしました」。
――話が戻りますが、「第2のたましろオーディション」では、どんなことをしたんですか?
「特技を披露することになっていたんですけど、私は何もなくて。それで考えて、私の高校は仏教系で毎週月曜にホールに集められて、お経を読む時間があったんですね。そのときにステージのお仏壇がウイーンと開いて、大きな仏様が出てくるんですよ。私はお花を供える係で間近で見ていたので、その仏様の顔マネをしました(笑)」。
――お経を読んだわけではなくて?
「それも最初は考えました。オーディション前日まで、普通に歌かモノマネをしようかとも思ったんですけど、いざその場に立ったら、仏様のマネしかないなと(笑)。みんなと同じことをしてもダメだから」。
――どんな反応がありました?
「社長がケラケラ笑ってくれました(笑)。あそこで笑ってもらえなかったら、つらいことになっていましたね」。
――グランプリになれる手応えもあったんですか?
「ありました(笑)。面接を受けてから『絶対いける』と不思議な自信があって、その時点で東京に行くときのためのトランクケースを買いました(笑)」。
――賞金100万円だったんですよね?
「まず美容のために使って、できるだけ上京資金として貯めておいて、あとはお母さんと大阪旅行をしました」。
――それで、さっきも出たように、レッスンを受けているうちに女優への興味が高まったと。
「小さい頃から、マンガを一度読み終わったら、次は主人公を自分に置き替えて声に出して読むことを、ずっとやっていたんです。『この子は今どんな気持ちだろう?』と考えながら、声のトーンを変えたり。それが1人の遊びでした。だから演じることへの憧れも、どこかにあった気がします。事務所に入って『女優をやってみない?』と言われたときは、すごく『やりたい!』と思いました。演技レッスンで『声がいい』と誉めてもらったのも、嬉しかったです」。
――確かによく通る声で、女優さんには大事なことですよね。
「私の声は低くて、かわいい女の子っぽくないから、あまり好きではなかったんです。でも、『ハキハキしていて遠くでも聴きやすい』と言われて、好きになってきました」。
――自分でも映画やドラマは観てました?
「はい。基本邦画しか観なくて、『渇き。』や『怒り』みたいなハードなものも好きだし、この前たまたま観た『ピンクとグレー』は普通の青春映画かと思っていたら、後半の展開に衝撃を受けました」。
――里奈さんの初出演作は映画「惡の華」でした。
「事務所に入ってすぐの頃の撮影で、緊張感がすごかったです。数秒のシーンだったのに『こんなに何回も撮るんだ』と驚きました。台詞はなくて空を見上げている場面で、最後のところだから印象に残ると思って、どうすれば雰囲気を出せるか、手探りでいろいろ考えました」。
自分に自信があるタイプではないから
演技で違う人になり切るのが楽しくて
――現在、ドラマ「そして、ユリコは一人になった」に出演中。演じている斎藤日向にキャラ設定はあったんですか?
「いじめっ子グループですけど、沙良(森迫永依)がリーダー格で、日向は百合子(岡本夏美)を直接いじめるのではなく、見ていて一緒に笑っている感じの子です。いじめって実際に見たことがなくて、ひたすらいじめ系の映画やドラマを観て研究して、百合子をバカにするように笑ってました。あと、沙良に憧れを持っているんだと思いました」。
――沙良は4話で何者かに殺されました。
「それで百合子に『人殺し!』と掴みかかるシーンがあって。怒りをぶつけたんですけど、ただ怒っているだけではなくて、大事な友だちが死んでしまって『どうすればいいんだろう?』という気持ちも強くて、本当に難しかったです」。
――里奈さん自身は、怒りとか激しい感情は出すタイプ?
「ないですね。ケンカもあまりしないし、しても怒るよりスンとして、『そっちがそうなら、もういいよ』というタイプです。泣き虫ではあって、『自分はこうなりたい』とか意志を伝えようとすると、なぜかすぐ泣いちゃったり(笑)、怒るより涙が出ます」。
――じゃあ、怒りをぶつける演技は苦労しました?
「でも、普段の自分がやらないことをするのは楽しかったです」。
――そこが演技の面白さなんでしょうね。
「そうだと思います。もともと自分に自信があるタイプではないので、別の誰かになり切れるのが一番楽しいところです」。
――初ドラマで収穫は多かったですか?
「はい。監督さんに言われたのが、『自分の思う倍以上の動きをしないと、画面越しの人に伝わらない』。それで、ちょっと『あっ』と言うようなシーンでも、大げさにやるようにしました。あと、ドラマはカット数が本当に多くて。岡本さんが転ぶシーンで、角度をいろいろ変えたりアップにしたり、すごくたくさん撮っていました。端で映っている私たちも、毎回同じことをしないといけなくて」。
――そういうときに、自分が早くメインキャストのポジションに行きたい気持ちにもなりました?
「なりました。放送も観て、もっと演技したい気持ちが強まりました」。
――日ごろから、演技力の向上のためにしていることはありますか?
「以前は映画を普通に流れで観てましたけど、今は『なぜここで目線を外したんだろう?』とか考えるようになりました。お休みの日は『今日はこの人』って1人の女優さんの作品をずっと観たりしています。好きなのが川口春奈さんで、昔観ていたドラマを観返したり。あと、満島ひかりさんが好きです。目だけで意志の強さがドンと来たりするのが、素敵だなと思います」。
――一方、OBPでアイドル活動も展開中。ダンスや歌は経験あったんですか?
「歌はカラオケで楽しんでいた程度で、ダンスは避けてきました(笑)。いざ自分がステージに立つために練習すると、すごく難しくて。リズム感がなくて、裏取りになると『はぁ?』という(笑)。先輩たちが一生懸命教えてくれて、やっと振りが入ったので、今後はさらにお客さんに見せられるものにしたいです」。
――ステージは楽しめていますか?
「初ステージの数日前に、事務所の会議室でスタッフさん全員の前で、1人で踊るように言われたんですね。そのときは練習では完璧だったのに、プレッシャーに負けて失敗して、悔しくて泣いてしまいました。でも、本番のステージに立つと、緊張より楽しさが勝って、テンションが一気にバンと上がります。演技レッスンで『もっと大きくやりなさい』と言われていたのが、OBPに入ってから『良くなったね』と誉めてもらえるようになりました」。
――お客さんの前でパフォーマンスすることが、演技にも繋がったんでしょうね。OBPではタイ遠征もありました。
「私は初めての海外だったんです。トゥクトゥクに乗ったり、ワニに肉をあげたり、トラを触ったりして、虫も食べました(笑)」。
――どんな虫を?
「コオロギとバッタとイモムシです。なかなかできない経験だから『食べたい』と思っていたんですけど、いざ目の前に出てきたらウワッとなって、口に入れた瞬間、体がブルブルしました(笑)。でも、エビみたいでおいしかったです。イモムシだけはムニムニしていて、ちょっとダメでした(笑)」。
――そういうことに尻込みはしないんですか?
「そうですね。やりたいと思ったことは何でもやるようにしています」。
――今後はどういう芸能活動をしていきますか?
「女優としてやっていきたいですけど、アイドル活動も自分を見せる上でプラスになっているので、うまく両立して二刀流でやれたら。アイドルのときは素の自分で楽しんで、女優のときは切り替えて役になり切れるように頑張ってます」。
――プライベートではフィルムカメラが趣味なんですね。フィルムにこだわりが?
「あのザラつきが好きなんです。ロモグラフィーという会社が出している、青や緑やピンクがかった写真を撮れるフィルムがあるので、そういうのを使って遊んだりします。地元では行きつけの写真屋さんがあったんですけど、東京では最近やっと、高校生のときに撮った写真も現像に出せました」。
――ゲームも好きなんでしたっけ?
「本格的な機械を使うゲームは苦手ですけど、スマホでやるのはすごく好きで、CoD(Call of Duty)で1位も獲りました」。
――あと、猫もかわいがっているとか。
「実家で飼っていて、よくお母さんから『おはよう』と一緒に写真が送られてくるので、それを見て『かわいいっ!!』と言ってます(笑)」。
神南里奈(かんなみ・りな)
生年月日:2000年11月6日(19歳)
出身地:宮城県
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2018年に「第2のたましろオーディション」でグランプリを受賞。2019年に映画「惡の華」でデビュー。ドラマ「そして、ユリコは一人になった」(カンテレ/木曜24:25~、U-NEXTで配信)に出演中。アイドルグループOBPでも活動中。
詳しい情報は公式HPへ
「そして、ユリコは一人になった」
詳しい情報は「そして、ユリコは一人になった」 公式HPへ
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