PICK UP ACTRESS 小芝風花

PICK UP ACTRESS 小芝風花

PHOTO=小澤太一 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

「妖怪シェアハウス」で民放連ドラ初主演
どん底の気弱女子から妖怪と関わって成長

 
 

――主演ドラマ「妖怪シェアハウス」の公式HPで“コメディエンヌの次世代ホープ”と称されていますが、最近そんなふうに言われることが多いですね。

「そういう作品が続いてますから。もったいないお言葉ですけど、いつも私自身が個性的な役を演じているというより、周りに個性的な役がいて振り回されることが多いんですよね。だから、私がコメディエンヌというわけではないかな……という思いが少しあります」。


――特にコメディの勉強をしているわけではなくて?

「してないです。ただ、皆さんの面白いお芝居にリアクションを取れるようには心掛けています」。

――コメディを観るのは好きなんですか?

「好きです! 『勇者ヨシヒコ』とか、ちょっとシュールな作品を観たりしてました」。

――外出自粛中は、そんなふうにいろいろな作品を観る生活でした?

「海外の連続ドラマを母と一緒に観ました。『サブリナ』とか、ちょっと前の作品が多かったです。でも、そんなにたくさん観ていたわけではなくて。『女優なんだから観ろよ』って話ですけど(笑)、それより趣味のほうに走っていました」。

――甲斐よしひろさんからギターをもらったんですよね。

「そうなんです。そっちに心が踊ってしまって、ずっとギターを練習してました(笑)」。

――「妖怪シェアハウス」で演じる目黒澪は、会社をクビになり借金を背負って家を追い出されて、妖怪たちが生活するシェアハウスに流れ着いた役。1話から台本に“東京中に響き渡る声を出して叫ぶ”とか書かれていたそうで(笑)。

「ビビリな役で、特に前半は驚く場面が多くて、叫びまくってます(笑)。そのときの感情のままのお芝居をしていますけど、監督に言われたのが、『周りにキャラの濃い妖怪さんたちがいっぱいいるから、やり過ぎないで普通の人間でいてほしい』。今回もやっぱり、私自身が強めのキャラを演じるわけではなく、素直に反応できたらいいなと思っています」。

――素直に反応したら、東京中に響く叫びになった感じ(笑)?

「澪ちゃんは妖怪に初めて出会って、キャストさんたちが妖怪化した姿は、本当に怖かったので(笑)」。

――普段はそんな叫びを上げることはないでしょうけど。

「虫が出たときくらいですね。本当に苦手で、ゴキブリとか出ると家が大騒ぎになります。東京中に響くかはわかりませんけど、隣りの家には響いているかな(笑)」。

――だったら、役に入って妖怪に驚けば、自然にそういう叫びも出ると?

「そうですね。でも、朝イチの撮影で叫ぶときは、喉を壊してはいけないので、楽屋で発声練習をします」。


――リアクションということだと、喜怒哀楽は普段から出るほうですか?

「出るほうだと思います。よく『表情豊かだね』と言われるので。嬉しいことがあったら、泣いちゃったりもします」。

――最近でも、そういうことはありました?

「やっぱり甲斐さんからギターをいただいたことです。すごく嬉しかったです」。

――妖怪やおばけの類いは実際に見たことはありますか?

「ないですね。霊感とかまったくないので、気味悪いとかもほとんど感じません。でも、怖いのは苦手です。ビジネスホテルのユニットバスとか、照明が温かい色ならいいんですけど、蛍光灯の青白い光だと、『ホラー映画の入浴シーンはこんな色だ……』と思っちゃって(笑)」。

――背後から何か出てくるパターンですね(笑)。

「そう。幽霊が出てきそうで、ちょっと怖い(笑)。実際に怖い経験をしたことはないんですけど」。

――ホテルでは絵の額縁の裏を見たりも?

「やだ、やだ(笑)。御札が貼ってあったら、どうするんですか!? だから、何もしません」。

――おばけ屋敷に入ったこともないですか?

「小さい頃にありました。でも、今はもう絶対に嫌です! 怖すぎる(笑)。どうしても入らないといけなかったら、両脇の人に抱えてもらって、目をつぶって歩いて、何も見ないで出てきたい(笑)。本当に無理です」。

――バラエティのそういう企画はNGにしていたり?

「虫と幽霊が苦手というのは、事務所に知ってもらっています。映画とか作品の中だったらいいんですけど、バラエティとかでそういうロケは勘弁してください……という感じです(笑)」。


 
 

10代の頃はいろいろ考えて言えなかったのが
良い作品にするために話すようになりました

 
 

――一方で、「ゲゲゲの鬼太郎」などは観ていたそうですね。

「好きです。だから、幽霊はちょっと怖いけど、妖怪はアニメやマンガで陽気なイメージが強いです。『鬼太郎』だったら、一反もめんに乗せてほしいと思ったり(笑)、今回のシェアハウスのメンバーだと、座敷童子がかわいくて好きです」。

――子どもではない童子(わらし)ですよね(笑)。

「そこがまた面白くて。髪飾りとかお着物の短い丈とか、ところどころ子どものようなところが残っているのがかわいいです」。

――妖怪たちは現場で見ると、インパクトありますか?

「あります。普段は人間の姿で暮らしていて、悪者を退治するシーンで妖怪化すると迫力があるし、それぞれの特性を活かした懲らしめ方をするので楽しいです。お岩さんはリアルで特に怖くて。松本まりかさんが演じているので、どこか妖艶さも残っているのが素敵です」。

――澪自身も妖怪化していくようで。

「はい。1話でもお岩さんに憑依されて顔がちょっと怖くなりましたけど、牙や角が生えて妖気が漂うようになるみたいです。今回のドラマはゲキメーションやCGがたくさん入るので、完成して観るまで自分たちもわからないところがあって、楽しみです」。


――澪は1話ではすべてを失ったどん底の状態で、ひどくやつれた顔をしています。

「ボロボロの状態で、借金取りに追われているところからスタートしました」。

――三日三晩食べてない設定でしたが、そのための役作りをしたりも?

「クランクインの直前まで別のドラマを撮っていたので、そういうことはできませんでした」。

――直前まで美食を食べていたわけですね(笑)。

「澪ちゃんは衣食住を失って、私はそういう生きることに関わる経験はありませんけど、撮影していると、すごく惨めな気分になりました」。

――澪が人に嫌われたくなくて言いたいことも言えないところは「似ていると感じる部分がある」とのコメントがありました。

「空気が悪くなるのを気にしてしまう気持ちは、すごくわかります。ずっと考えてから、『こんなところが嫌だったから、こう伝えれば良かったんだ』と気付いても、もう時間が経ってしまって、今さら言えずじまい。それでモヤモヤが溜まっていくタイプです」。

――澪は毎話、最後にちょっとキレるようですね。

「今までの澪ちゃんだったら絶対言えなかった本心を、妖怪さんたちの力を借りて吐き出したり、『これじゃダメだ』と自分で決断する力を付けていったり、仕事に熱中することもない子だったのが、少しずつ自分の気持ちを見せるようになっていきます」。


――風花さんも何かのきっかけで、自分の言いたいことが言えるようになったりはしませんでした?

「前向きな意見だったら言えるんです。良い作品を作るために『こうしたほうが面白いですかね?』と言ったりはしますけど、『こういうのはやめてほしいです』とかネガティブなことを伝えるのが苦手で。特に10代の頃は『私が言ったら生意気に思われるかな?』とか、いろいろ考えてしまって。でも、作品に携わらせていただく1人として、少しでも良いものにしたい気持ちがあるので、監督やいろいろな方とお話しするようになりました」。

――今回は民放連ドラ初主演でもあって。

「光栄なことで、緊張感やプレッシャーはあります。でも、あまり気を張るより、澪ちゃんが妖怪さんに助けてもらって成長するように、私も先輩の皆さんから勉強させていただきながら頑張りたい気持ちが強いです」。

――風花さんはドラマでご活躍の一方、「CANMAKE」のCMでは麗しい姿を見せています。美容にも気をつかっていますか?

「メイクは好きになりました。『この色を使ったら、こういう雰囲気になる』とか、いろいろ試したくなって。いつも決まったメイクになりがちだったのが、CANMAKEさんのCMをやらせていただいてから、『この色にチャレンジしてみよう』ということが増えました」。

――日ごろから欠かさずやっていることもあります?

「あまりないです。しなきゃいけないとは思いますけど、それほど詳しくなくて。大きい仕事がある日の前の晩にパックをするくらいです」。

――何もしなくてもきれいでしょうから。

「でも年々、しなきゃいけないのは肌で実感しています。何もしなくても良かった時代とはちょっとずつ変わってきているので、勉強して頑張ります」。

――自粛を挟みつつ連ドラも2クール続いて、今はすごく忙しいですよね?

「嬉しい限りです。私、お仕事がないとダメで、気分的にシュンとなってしまうんです。今のほうがバタバタはしていても楽しくて、充実しています」。

――その中でも、息抜きはしていますか?

「今は本当にギターですね。何も考えずに熱中できて、音楽を楽しめて癒し効果もあるので」。

――最近はどんな曲を弾いてます?

「甲斐バンドさんの曲は弾きますし、ボーカロイドの曲も弾いてます。指で弾くアルペジオの練習は難しくて、ピックでガンガン弾くとストレス発散にもなるから、『千本桜』をジャンジャンジャンとやってみたり。それで、気持ちが落ち着いているときはアルペジオとか、気分で分けて練習しています」。



――夏ならではのお楽しみもありますか?

「かき氷は絶対食べます。レモンミルクが大好きです。フワフワの氷もいいんですけど、あまりにオシャレでいっぱい盛り過ぎていると、食べ切れなくて。それより屋台で売ってるような普通の氷に、安いレモンのシロップと練乳をかけて食べたいです(笑)」。

 
 


 
 

小芝風花(こしば・ふうか)

生年月日:1997年4月16日(23歳)
出身地:大阪府
血液型:A型
 
【CHECK IT】
「ガールズオーディション2011」でグランプリを受賞。2012年にドラマ「息もできない夏」(フジテレビ系)で女優デビュー。2014年公開の「魔女の宅急便」で映画デビューにして主演し、第57回ブルーリボン賞の新人賞を受賞。主な出演作は、ドラマ「あさが来た」(NHK)、「マッサージ探偵ジョー」(テレビ東京系)、「トクサツガガガ」(NHK)、「べしゃり暮らし」(テレビ朝日系)、「歪んだ波紋」(NHK-BSプレミアム)、「パラレル東京」(NHK)、「美食探偵 明智五郎」(日本テレビ系)、映画「ガールズ・ステップ」、「天使のいる図書館」、「文福茶釜」、舞台「オーランドー」ほか。ドラマ「妖怪シェアハウス」(テレビ朝日系/土曜23:15~)に出演中。「オスカル!はなきんリサーチ」(テレビ朝日/金曜25:20~)にMCで出演中。
詳しい情報は公式HPへ
 
 

土曜ナイトドラマ「妖怪シェアハウス」

詳しい情報は「妖怪シェアハウス」公式サイトへ
 
 

 

 

 
 

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