PICK UP ACTRESS 葵わかな
PHOTO=小澤太一 STYLING=谷口静香
HAIR&MAKE=小林亜紀(kind) INTERVIEW=斉藤貴志
衣裳協力=☆nésessaire(KMDFARM/03-5458-1791)
初主演のホラー映画が公開
演技とリアルな恐怖感が交錯
――髪を切ったんですね。
「次の作品の役のために切りました。久しぶりのショートカットで、ここまで短くしたのは初めてです。お風呂でシャンプーを出して洗おうとしたら、『髪の毛がない!』となったり、長いときに使っていたシャンプーの量の半分の半分で済むので節約になります(笑)」。
――「ホラーの天使」は初主演映画ということで、試写を観ても感慨がありました?
「いや、最初は沖縄国際映画祭のときに控え室でDVDで観たんですけど、それですら、すごく怖くて」。
――自分が出演してストーリーをわかっていても?
「はい。しかもスクリーンではなく、パソコンの小さな画面ですら怖くて。普段自分の作品は演技を客観的に観たりしますけど、今回はそれ以前に怖すぎて、直視できない感じでした」。
――通常はホラー映画も観ないタイプ?
「けっこう観ます(笑)。大好きというわけではないですけど、友だちと何となく観てしまうという。そういうときと同じ感覚で、自分が出ていてもイチ観客として観たのかな?」。
――それだけホラーとして完成度が高いのかもしれませんね。でも、わかなさんは怖がりでもあると?
「たぶん怖がりだと思います。暗いところとか、別のことを考えていたら平気ですけど、ちょっと気になっちゃうと、ずーっと怖くて。地方での撮影でホテルに1人で泊まっても、怖い日と怖くない日があります」。
――感覚的に?
「何かが起きたわけでもないのに、一度ホテルの雰囲気が『黒っぽい感じだな』と思ったりすると、いろいろ想像して怖さから抜け出せなくなっちゃうんです。そういうときは電気を全部つけて寝て、テレビの音も小さく出しておいたり。家では真っ暗で寝られますけど、ホテルでは真っ暗で寝ることはまずないですね」。
――じゃあ、「ホラーの天使」の話が来たときは、ちょっと足がすくむ感じも?
「ホラー映画に出たことがなかったので『私が!?』と思いました。台本をいただいても、きっと怖いじゃないですか。読んだら状況を鮮明に想像しちゃうから、1人では読めないと思って。日中に家族がいる場所や事務所で読んでました。それでも怖かったです」。
――実際の撮影では? 学校の地下室の場面とか、ガチで気味悪そうでしたけど。
「そうなんですよね。撮影に使う現場のなかでも、おばけが出ることで有名な場所らしくて。メイクさんとかいろいろな方に『知ってる。出るところだよね』と聞いて、ドキドキしてました。1階で支度して『地下にお願いします』というとき、スタッフさんが塩を振ってくれたんです。大人の方たちがおばけがいるような行動をされたから、『本当にいるのかも』と思いました。そこは怖がるシーンだったので、現実とお芝居の狭間みたいな感じで、やりやすくはあったんですけど」。
――共演の矢倉楓子さんは試写会の舞台挨拶で「急に背中が重くなった」と話していましたね。
「私も撮影が始まってから、『何となく体が重い』と感じました。でも、よく考えたら前日にランニングをしていて、筋肉痛だっただけ(笑)。それがわかると『意外と大丈夫かも』って撮影に集中できました。ビデオカメラで撮った映像をチェックすると、白いオーブみたいなものが映っていて、最初は『初めて見た。怖い!』と思っていたのも、何回も見るうちに『また映っているね』と順応してきて。心霊スポット的な場所に行ったのも初めてで、貴重といえば貴重な体験になりました」。
――わかなさんが演じる咲子は、地下に降りていく友だちに「もう帰ろうよ」と言いながら、どんどん付いていって。
「私も友だちに『このホラー映画を一緒に観に行こう』と誘われると、『怖いしイヤだな』と思っても、つい気になって行ってしまったり、人がする怖い話も『聞きたくなーい!』と言いつつ聞いてしまう。たぶん咲子と同じ状況でも、ついて行ったと思います」。
――叫んだりすることも日常ではあまりないと思いますが、役に入れば自然に声が出ました?
「ドアを閉められて閉じ込められたシーンで、ビデオカメラにスタッフさんが映ったらいけないから、全員入口のところにいらっしゃったんですね。ビデオカメラの電気しかなくて、カメラを持った人が離れたら、自分のいる場所は本当に真っ暗じゃないですか。すごい長回しで、ドアを『開けてよ!』と叫びながら叩くんですけど、カットがかかるまで開かない。こっちは本当に怖いから、とにかく開けてほしくて」。
――リアルな叫びだったと。
「閉じ込められた部屋が一番危ないと言われている場所で、本気で怖くて奧を見られなかったんです。気持ち悪い感じがして。本心から『開けてほしい!』という叫びが出ました。監督はそういうリアルなところを狙ったと思いますけど、すごく怖かったです」。
――ほとんどが仲の良い恒松祐里さんとのシーンでした。
「普段から仲良くしているので、『撮影現場に祐里がいる……』みたいな不思議な感じがしました。でも共演は高1以来で、うれしくて。役柄は普段の私たちとは違いますけど、監督が『台詞でなくアドリブでしゃべって』とおっしゃって。流れは台本通りでも、話していることはほぼ私たちのアドリブで、仲の良さは活かせたと思います」。
――劇中では、表面的には友だちだけど。
「心の内ではお互い……みたいな。今回の映画では人間模様も描かれて、最後に人の怖さが出てくる。だから最初の仲良くしゃべるシーンでは裏の気持ちは意識せず、咲子は気弱で感情を飲み込みがちという2点だけを考えてやりました」。
――わかなさん自身も、激しい感情をむき出しにしないタイプ?
「最近はないですね。姉妹喧嘩をしてもワーッと叫んで怒ることはなくて、『いや、でもさ』ぐらいな。感情の起伏自体はすごくあると思うんです。ストレス発散なのか、よく涙が出てきて、テレビの再現ドラマとかを観ると泣いちゃうし、面白いお笑い番組を観るとすごく笑う。でも、子どものときのように叫んで泣いたり怒ったりすることは、なくなってきたかな」。
ドラマで神楽の猛練習をして
青春の疑似体験ができました
――同じく主演した広島発地域ドラマ「舞え!KAGURA姫」(NHK BSプレミアム)も30日に放送されますね。
「広島の伝統芸能の神楽のお話で、私は東京から引っ越してきた女の子の役です。高校の神楽部に入って、実際にある神楽甲子園の出場を目指して、舞うシーンがたくさんあって。稽古もしっかりやらせていただきました」。
――予告編を観るとクルクル回っていて、単純に「目が回らないかな?」と思いました。
「いや、回りますよ。あれは“やまがえり”という技で、スタート地点から回りながら円を描いて一周して、また逆回りで一周する。目が回っても反対方向に回れば元に戻る……という理屈ですけど、慣れてないと一周するだけで目が回っちゃって。私と中村梅丸さんで一緒に舞うシーンが多くて、気づくと私はこっち、梅丸さんはあっちに行って『あれ?』みたいな(笑)。本当の舞台だったら落ちているぐらい、全然違うところにいて、最初はすごく苦労しました。でも毎日クルクル回っていると鍛えられて、目が回らないようになりました」。
――全体的に飲み込みは早かったような?
「ダンスとか得意じゃなくて飲み込みは遅いほうですけど、神楽は広島の方がすごく大切にされているので。このドラマを観て神楽を知らない方に知ってもらいたいのと、元から神楽を大事にされている方にも納得してもらいたいと思っていました。一番舞うシーンが多い役として、神楽をきっちり抑えないと話にならない。稽古初日からスイッチ全開、全力で挑んで、いつもよりは早く覚えられた気がします。時間も限られていたなかで」。
――回る他に難関だったことは?
「歩き方から違っていて、少し中腰になって膝を使う。重心がすごく下で、その歩き方をマスターするのと、扇の回し方が難しかったです。いただいた扇で家でずっと練習して、ちょっとずつ難関をクリアしていく感じでした」。
――扇を回す練習をしていると、手首が痛くなったり?
「一番痛くなったのは膝です。あんなに膝を曲げて重心を低くすることがないので、痛くなって接骨院にも行きました。気持ちは前へ行っても、体がついていかない。筋肉痛というか、筋が痛くなりました。お稽古の部屋に行くのに長い階段があって、初日は5分で行けたのが、一度稽古をした2日目は10分かかったり(笑)。電車に乗るときも、駅で階段を上る時間を多めに計算して行かなきゃと思いました」。
――そうこうありつつ、青春感も味わえたんじゃないですか?
「そうですね。高校では部活はちゃんとできなかったので。広島の神楽は飛んだり跳ねたり意外と体育会系で、何かに打ち込む青春の疑似体験ができました」。
――実際のわかなさんの高校生活も残り少なくなってきました。
「定期テストがあと何回……というのを何となく考えます。でも、まだ実感はないですね。年が明けたら登校日も少なくなって感じるのかな?」。
――冬は好きな季節ですか?
「夏より秋や冬のほうが好きです。寒がりですけど、防寒のプロなので(笑)。タイツもデニムもすべてヒートテックにして、お腹回りにはカイロも付けるし、何なら腹巻きも(笑)。どんな寒さも“ドンと来い!”という。冬はイルミネーションがきれいな街を歩くのも楽しいし、神奈川の家のほうでは雪も降るので。去年もたくさん降った日にスキーウェアを着て、姉妹で遊びました。それに、冬はおいしい食べ物が多いじゃないですか。鍋も好きだし、クリスマスにはお母さんが豪華な料理を作ってくれるし」。
――チキンとかの?
「チキンとか、私が好きなパエリアを。お正月にはお餅も食べられて、ラーメンもみそが食べたくなる。これから年末に向けて、いっぱいおいしいものを食べられるかと思うとワクワクします(笑)」。
――そんななかで、主演作が相次いで世に出るわけですね。
「今年は年始からドラマとかいろいろ経験させていただきましたけど、自分でもいろいろなことを考えた年でした」。
――人生について、とか?
「進路について、とか。本当にいろいろ考えました。考えるきっかけをくれたり、新たな考えを足してくれる人と出会って、現場で何気ない話を聞いて『あっ!』と思ったり、気づきや発見がありました。自分の気持ちの変化が大きい年になったと思います」。
――何かの殻を破った感覚もあります?
「まだ破り切れていないと思いますけど、殻を意識できたのが大きかった気がします」。
――自分の生真面目なところとか?
「いや、何ていうか……。説明はしづらいですけど、今までの自分の考え方を見つめ直すきっかけになったというか。自分の考えだけが正しいわけじゃない。自分の考えを持っていると思っていたら、逆に自分で殻を作っていたのかな? まだ整理はついていませんけど、そんな感じがします」。
――来年のカレンダーでは大人な一面も見せたようで。
「3年間ずっと4月始まりのスクールカレンダーを出させていただいてましたけど、高校を卒業するので、来年からは1月始まりになりました。前から“七変化”というコンセプトでやってみたくて、今回それが叶って、私自身も撮影を楽しめました。ポージングとか前はあまり意識しなかったのに、雑誌をいろいろ読んで研究したり。その過程も楽しかったです。今までと違った面を見せたので、そこを好きになってくださる方がいるのか。発売されたあとの皆さんの反応がすごく気になります」。
――来年は女優としても、より幅が広がりそうですね。
「演技でもいろいろな面を見せていければ。高校を卒業して環境が変わりますけど、自分自身も変わりそうな予感がしています」。
葵わかな(あおい・わかな)
生年月日:1998年6月30日(18歳)
出身地:神奈川県
血液型:A型
【CHECK IT】
小学5年生のときに原宿でスカウトされ、2009年にドラマ「サムライ・ハイスクール」(日本テレビ系)で女優デビュー。これまでに映画「陽だまりの彼女」、「くちびるに歌を」、「罪の余白」、ドラマ「表参道高校合唱部!」(TBS系)、「マネーの天使~あなたのお金、取り戻します!~」(読売テレビ・日本テレビ系)などに出演。また、ケイ・オプティコム「mineo(マイネオ)」、アート引越センター、地盤ネットのCMがオンエア中。主演映画「ホラーの天使」が11月26日(土)よりシネ・リーブル池袋ほか全国公開。主演する広島発地域ドラマ「舞え!KAGURA姫」(NHK BSプレミアム)が11月30日(水)22時~放送。「葵わかな オフィシャルカレンダー2017」が12月11日(日)に発売。来年2月11日(土)公開の映画「サバイバルファミリー」に出演。
詳しい情報は公式サイトへ
「ホラーの天使」
詳しい情報は「ホラーの天使」公式HPへ
「舞え!KAGURA姫」
詳しい情報は「舞え!KAGURA姫」公式HPへ
葵わかなオフィシャルカレンダー2017
詳しい情報は葵わかなオフィシャルカレンダー2017 公式HPへ