PICK UP ACTRESS 浜辺美波
PHOTO=河野英喜 HAIR&MAKE=鎌田順子
STYLING=有咲 INTERVIEW=斉藤貴志
出演作が相次ぎ若手女優随一の注目度
「となりの怪物くん」で学級委員長役
――「an」のCMが好評ですが、「しゃべくり007」に出演したときの感じだと、まさか美波さんがあんなに踊るとは(笑)。
「まさかでしたね(笑)。あれでもダンスは精一杯です」。
――撮影に時間はかかったんですか?
「結構かかりました。メイキングでは毎回うまくいってるような感じですけど、結構あわてふためいちゃって(笑)。歌いながらのダンスでしたから」。
――「となりの怪物くん」で演じた大島千づるはメガネの女の子ですが、普段はかけているんでしたっけ?
「メガネはしてないです。だから最初は違和感があって、撮影が夏だったので汗でメガネが滑ってきちゃって、撮り直しもしました」。
――形から役に入れた部分もありました?
「そうですね。メガネというだけで個性が出るので、大きかったです」。
――学級委員長をやっているのも、セリフによると「ただメガネをかけているという一点で押し付けられただけ」とのことでした。そういうポジションの彼女をどんな子だと捉えました?
「自分から話し掛けたり、みんなの中に入っていくのは苦手なんだと思います。でも話し掛けられると、すごくうれしいんだろうなと感じました。しゃべること自体が嫌いなわけではないけど、ちょっと苦手なんでしょうね。私はすごく親近感を覚えながら演じました」。
――というと、美波さんも……。
「自分からは行けなくて、でも話し掛けられるとうれしいから、言葉に詰まりながら一生懸命話しちゃう。だから、大島さんは自分と似てると思いました」。
――そういう意味では、たとえば「賭ケグルイ」の蛇喰夢子のようにテンションを上げなくていい分、演じやすさも?
「ありました。ただ大島さんの高校3年間を生きた感じでした」。
――美波さんも学級委員はやったことがあるんですか?
「はい。小学校のときは自分から行ける子だったので、学級委員長とかクラブ長とか全部掛け持ちしてました。でも、今はまったくやりません(笑)」。
――何か自分の中で変化が?
「そういうのをやることは好きだったんですけど、向いてないと気づきました(笑)。あと、10歳から仕事をしていて、中学は地元の公立ではない学校だったので、”長”が付くことをやって目立つのを避けていたのもあります」。
――大島千づるは吉田春(菅田将暉)のことが好きだけど、春は水谷雫(土屋太鳳)が好きだと公言しています。そんな状況での彼女の気持ちは実感としてわかりました?
「私の場合、”笑顔になってほしい”という対象が女の子だったりしますけど、ひとつの枠を争うことになったとき、その子がうれしいなら『私はいいかな』となる気持ちは、ちょっと大島さんと似てると思いました。むしろ『頑張れ!』って応援したくなるのは共感できます」。
――2人が一緒にいるところを上の階から見ていたときも、切ない感じではなく?
「そのときはたぶん切ない気持ちもありつつ、『すごく複雑なんだろうな』と思ってやってました」。
――バレンタインには、春に雫への誕生日プレゼントについて相談されて「水谷さんの喜ぶ顔を想像するんだよ」とアドバイスして、自分は春へのプレゼントを渡せずじまいでした。
「あそこは吉田くんに笑顔になってほしい気持ちと、大島さんのイイ人なところが合わさって、ああいう言葉を掛けたんだと思います。そういういろいろ細かいところで共感しました」。
――美波さんも人にプレゼントをするときは、相手の喜ぶ顔を想像したり?
「しますね。ベレー帽やブランケットをあげるときは、ちゃんと身に付けてほしくて、自分の趣味の押し付けにならないように気をつけます。母だったら金属アレルギーなので、ゴムのものでも金属が付いていたら荒れちゃうから……とか考えます」。
――気配りが細やかですね。いろいろ考えた末に決めた……というようなプレゼントもあります?
「メイクさん、スタイリストさん、マネージャーさんとか皆さんに一斉にプレゼントをしたとき、迷いに迷って結局、真空パックに入ったスイートコーンにしたことがあります(笑)。スーパーに売っていて、1本まるごと入っているんです。季節的にいいかなと思ったのと、日持ちするし、丸ごと食べてもお酒のおつまみにもいいし、朝ごはんにもなる。いろいろなところで使えるかなと思ったのでスイートコーンにしました」。
――どんなリアクションをされました?
「驚かれて『なんで?』って、すごく言われました(笑)。でも、喜んでいただけました」。
本当の文化祭は出たことがないので
セットの屋台を回るのが楽しくて
――映画では他に、美波さん的に印象的だったシーンというと?
「大変だったのは、文化祭の後夜祭でのフォークダンスです。やっぱりダンスが苦手なので、聞いたときは『本当に踊るんだ』ってビックリしました」。
――あそこはダンスといっても、人に見せるのがメインではありませんが……。
「でも、ペアを替えて何周もするので。踊ると聞いたのが撮影の間近だったから、いろいろな人に踊り方を聞いて確認しました」。
――文化祭のシーンでは、屋台で頭巾をかぶって焼きそばを売ってました。小さい頃から仕事をしていると、実際の文化祭にはなかなか出られなかったのでは?
「そうですね。現在高校3年生ですが、これまでちゃんと参加できたことは一度もありません。だから、あのシーンはすごく楽しかったです。セットの屋台を見て回って、みんなが全力を出して楽しんでいる感じが学生っぽいなと思いました」。
――屋台で特に足が向くのは?
「お祭りだと、たこ焼きとかの鉄板系ですね。いい匂いが一番しますし(笑)」。
――文化祭シーンの焼きそばは、演じながら自分でも作ったり?
「私は作りませんでした。『こういうのがあるんだ』って、見て回っていただけです」。
――今はドラマ「崖っぷちホテル」で新人パティシエを演じていますが、あっちでは本当に作ることも?
「生クリームをかき混ぜたりはします。ただ、教えてもらう日があって行ったら、手元が不器用なのが全開で、自分が低レベルなことがわかりました(笑)。混ぜるとか皮を剥くだけでもコツがあるのを教わったんですけど、それをやりながら台詞を言うのは、私の中では大パニック(笑)。今、悪戦苦闘中です」。
――でも、パティシエに見えるように演じないといけないわけですよね?
「はい。とにかく姿勢を良くして、スイーツをちゃんと作っている雰囲気を出すのに、精一杯頑張ってます」。
――普通の料理も普段はしませんか?
「しないですね。栄養とかも勉強して、挑戦したい気持ちはあるんですけど……」。
――「しゃべくり007」では「玉子かけごはんにしょうゆを適量かけるのが特技」とのことでしたが……。
「あれは本当です。それだけはすごくうまいです(笑)」。
――小さい頃から身に付けていた技ですか?
「はい。父がそういうのを得意だったんです。お茶漬けのお茶をかける量とか、適量にこだわる家庭で(笑)、違っていると、お父さんに『それ多くない?』とか言われるんです」。
――適量と言っても、しょうゆとかほんのちょっとの違いなんでしょうけど。
「そうなんです。でも、家族がみんなそこを気にするので(笑)、だんだんうまくなっていったんだと思います」。
――納豆にどれくらいしょうゆをかけるか、とかも?
「納豆玉子のときはやっぱり気にしますね。他にはハンバーグにかけるケチャップとソースの割合を、ずっとお母さんに仕込まれてました。家庭の味的に混ぜるんです。だから割合もこだわるし、たとえば家族3人分なら全体の量との兼ね合いもわかるようになりました」。
――料理をするようになったら、何をどれくらい入れたらおいしいとか、生きるんじゃないですか?
「そういうカンは良いかもしれないと思ってます」。
――最後に、今の美波さんは出演作が相次いで絶好調のようですが、「まだこれが足りない」とか「こんなものを手に入れたい」というのはありますか?
「小学生の頃のお仕事がなかった時期の記憶がすごく濃いので、今は一番充実していると思います。あの頃は今より時間が長く感じたから、ずっとお仕事があるだけで本当にうれしくて満足です。でも強いて言うなら、映画を観たいです」。
――今のスケジュール感だと、2時間取るのは難しいでしょうからね。どんな映画を観たいと?
「名作と言われるものも観たいし、いろいろなスタッフさんにおすすめの韓国映画を聞いてレンタルしたりはしてますけど、今だと『グレイテスト・ショーマン』が観たいです。お仕事が終わってから、気合いが入って観に行きたい気持ちになっても、レイトショーしかやってなくて、年齢的に観られないんですよ。だから、早く18歳になりたいです」。
浜辺美波(はまべ・みなみ)
生年月日:2000年8月29日(17歳)
出身地:石川県
血液型:B型
【CHECK IT】
2011年に第7回「東宝シンデレラ」オーディションでニュージェネレーション賞を受賞。これまでの主な出演作は映画「エイプリルフールズ」、「咲-Saki-」、「君の膵臓をたべたい」、「亜人」、ドラマ「まれ」(NHK)、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(フジテレビ系)、「無痛~診える目~」(フジテレビ系)、「賭ケグルイ」(MBS・TBS)など。ドラマ「崖っぷちホテル」(日本テレビ系/日曜22:30~)に出演中。映画「となりの怪物くん」は4月27日(金)より全国東宝系にてロードショー。映画「センセイ君主」が8月1日(水)より公開。
詳しい情報は公式HP
「となりの怪物くん」
詳しい情報は「となりの怪物くん」公式HP
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