PICK UP ACTRESS 井頭愛海
PHOTO=城方雅孝 INTERVIEW=斉藤貴志
衣装協力=ジョイフル恵利
「少年寅次郎」のマドンナ役が好評
初主演映画「鬼ガール!!」が来秋公開
――今年の3月に高校を卒業しました。
「社会人1年目でした」。
――いろいろ変わりましたか?
「変わりましたね。学校で毎日会っていた友だちと会わなくなったり。自分で『この時間を何に使おう』と考えるのが、最初は結構苦痛でした」。
――自分の自由にできるのに?
「今まで学校生活をしていて、それがなくなったときにどうするか、戸惑いのほうが大きかったです。何もしないで、ずっと寝ているときもありました。でも、それじゃダメだと思って……。今は『この休みの日はここに行こう』とか『この現場近くであれができるから、帰りに寄ってやっていこう』とか、考えるのが楽しくなりましたけど、それまでは葛藤してました」。
――学校がなくなった分、何かを始めたりは?
「最近ギターを始めたり、絵画を見に行くようになりました。映画はめちゃくちゃ好きなので、映画館に毎日通い詰めていたときもあります。公開された作品はほぼ観る、みたいな(笑)。18歳になったので、深夜のレイトショーに友だちと行くようにもなりました。この前は『ドクター・スリープ』をど真ん中の席で観てきて、怖くて面白かったです(笑)」。
――ギターはどういう流れで始めたんですか?
「何かを始めたいと思っていたら、友だちが譲ってくれたんです。もらったのが最近で、これから練習しますけど、特技にできたらいいな、なんて思ってます(笑)」。
――弾けるようになりたい曲はありますか?
「Mrs.GREEN APPLEさんや清水翔太さんが好きなんです。バンドの方がギターを弾かれているのを見ると、憧れちゃいますね」。
――今年は、秋に放送されたドラマ「少年寅次郎」で、寅次郎が憧れる夏子役が大評判でした。ああいうマドンナ的な役は、演じていて気持ちいいものですか?
「いやぁ……。初めは『エッ、私が? 大丈夫かな?』と、ずっとマネージャーさんに言ってました。私は全然お嬢様ではなくて、田舎で遊んでいた庶民なので(笑)。でも、いい感じに編集してもらったり、いろいろな方の手が加わって、うまく仕上がって良かったです」。
――そんなご謙遜を(笑)。本当に少年の憧れのお嬢様感が出ていましたが、演じる上で気を配ったことはありました?
「演じながら監督と話し合って、『もっとおしとやかなほうがいいですか?』『ハキハキした子だから、そこまでおとなしくなくていい』とか、試行錯誤しながら頑張りました。仕草をひとつずつ丁寧に、指先まで意識するようにして。私は普段笑うとき、手で口を抑えたりしませんけど、そういう女の子っぽい仕草もしました。演じて違う人になれるのは、楽しいことですね」。
――バイオリンの練習もしたんですか?
「弾くと決まったのが急で、撮影の2週間くらい前だったんです。それから教えてくれる先生が親身に協力してくださって、毎日のように弾いてました。持ち方から始まり、バイオリニストの方はどんな心構えをしているかも先生から聞いて、役にインプットされたことは多かったです」。
――バイオリンの演奏以上のものが得られたと。
「バイオリンで弾いたのは1小節で、シーン自体は30秒くらいでしたけど、練習でバイオリンを弾いた時間のほうが、全部の撮影時間より長かったと思います(笑)。それだけ練習した分、作品への思い入れがすごく深いものになりました」。
――バイオリンは初心者には、音を出すのも難しいと聞きます。
「そこは意外と出て、『センスがあるね』と言われました(笑)。お世辞だったとしても、すごく嬉しかったです」。
――そのセンスはギターでも発揮できそう?
「『バイオリンが弾けたら、何でも弾けるよ』と言われました(笑)」。
撮影しながら自分の弱みがわかって
大人になるための糧になりました
――来年は主演映画「鬼ガール!!」の公開が控えています。鬼族の末裔の女子高生という役だそうですね。
「そんな女子高生がいろいろな人たちと出会って、ひとつのものを作り上げていくお話です。ワクワクして、元気をもらえる作品だと思います」。
――鬼っぽいシーンもあるんですか?
「ファンタジーチックに角が生えたりします。私もまだ完成したものを観てなくて、現場では『これ、どうなるんだろう?』という感じだったので、楽しみです」。
――「部活を通じて自分を探す」とのことですが……。
「その部活動であるものを作り上げる中で、自分がコンプレックスに思っていることを、どう克服していくか。青春物語と同時進行で日々の葛藤を描いてます」。
――主演は初めてでしたっけ?
「そうなんです。いろいろな方たちの力に、こんなにも支えられているんだと実感しました。自分が悩んだとき、すぐ手を差し伸べてくれる共演者の方やスタッフさんがいたり、すごく良い現場だったので、心が動いて自分を見失わずに撮影できました。人の温かさを感じさせる作品で、私ももっと人にやさしくなりたいと思ったり、人間としても成長できた気がします」。
――愛海さん自身も、自分探しをできた感じ?
「すごく探せました。私は弱くて脆い人間なんだとわかったんですけど、そこからいろいろな人の力を借りて、ちょっと強い人間になれたと思います」。
――どうして自分が弱いと思ったんですか?
「深く悩みすぎてしまうんです。ひとつのことに対して、ライトにやればいいところでも、『こうしたほうがいいかな? こう思われたらどうしよう?』とか、いろいろ考えてしまって……」。
――真面目さの裏返しなんでしょうけど。
「今までやった作品にも人一倍ちゃんと向き合ってきたつもりですけど、今回は台本も一番読み込んで、『このシーンはどうしたほうがいいかな?』とか、あれこれ考えていたら、夜眠れなくなったり、興奮しちゃったり……。ちょっと倒れそうになるときもありました」。
――そこまで?
「何か、自分をとことん追い込んでしまう感じなんです」。
――そうしたことも乗り越えて、完成した映画なんですね。
「はい。自分の中で大きな分岐点になりました。撮影中は悩むばかりで『もう嫌だ!』と思ったときもありましたけど、今振り返えると、それで自分の弱みがわかって、これから大人になっていく上での糧になりました。それと、悩んでもごはんを食べることは大事だと学びました(笑)」。
――中1の頃から芸能活動をしていた愛海さんは、実際は部活はやってないですよね?
「高校では帰宅部でしたけど、中学では茶道部でした」。
――茶道ですか。やっぱりお嬢様だったのでは?
「いえいえ、ただ和菓子を食べたくて入りました(笑)。私の学校は生徒数が少なくて、1学年が1クラス。その中で茶道部に入ったのは、私の学年で1人だけだったんです。気づいたら必然的に部長になって、卒業しました。肩書きが付いたのは良かったです(笑)」。
――来年は3月で19歳になって、10代最後の年に入りますね。
「まだなってないので、今は特に意識していません。未来のことは大切ですけど、今を大切にしないと未来はないと思っていて……。夢は大きく、目の前のことを着実に。今向き合えることに一直線に頑張ろうという気持ちです」。
――早く大人になりたいとは思いますか?
「どうなんでしょう? 大人の方がみんなでごはんに行ったりされているのを見ると、私も行きたいなと思いますけど、まだまだ子どもでいたい気もします。10代最後の1年をエンジョイしまくってから、大人になりたいです(笑)」。
――では最後に、年末年始に定番ですることはありますか?
「私はいつも、1年の最後に親友たちとユニバ(USJ)に行きます。大阪が地元なので、今年も行く約束をしていて、準備は万端(笑)。アトラクションに乗りまくって、しゃべりまくって、とにかく楽しみたいなと思います」。
井頭愛海(いがしら・まなみ)
生年月日:2001年3月15日(18歳)
出身地:大阪府
血液型:O型
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2012年に「第13回全日本国民的美少女コンテスト」で審査員特別賞を受賞。2013年公開の映画「おしん」で女優デビュー。主な出演作はドラマ「べっぴんさん」(NHK)、「明日の約束」(カンテレ・フジテレビ系)、「さくらの親子丼2」(東海テレビ・フジテレビ系)、「少年寅次郎」(NHK)など。主演映画「鬼ガール!!」が2020年秋に公開。
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