PICK UP ACTRESS 井桁弘恵

PICK UP ACTRESS 井桁弘恵

PHOTO=小澤太一 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

「仮面ライダーゼロワン」でヒロイン
女性ながら自ら変身して劇場版でも活躍

 
 

――毎週「仮面ライダーゼロワン」で刃唯阿を見ていると、井桁さんが普通にお話しされてる姿にはギャップがあって戸惑います(笑)。

「そうですよね(笑)。唯阿のような厳しくて笑わない役は初めてで、最初は違和感があって難しかったです。声のトーンの強さ、ピシッとした姿勢、それと目が笑わないことはすごく意識しています」。

――命令口調とか「道具は使いようだ」みたい話し方も普段はしませんよね?

「全然しません(笑)。語尾が『~だ』みたいな台詞も言ったことがなかったので、自分の言葉にして伝えることに苦戦しています。撮影が進んで、だいぶしっくりくるようになったと思いますけど、最初の頃はアフレコでやり直させてもらったりもしました」。

――「ゼロワン」の放送が始まってから、身の周りでも反響は感じました?

「今まで小さい子に知られてなかったと思いますけど、歩いていて、親御さんと2人で声を掛けてもらうことは増えました」。

――唯阿っぽく対応するんですか?

「いやいや、普通に井桁弘恵として対応します。怖がらせてしまうと嫌なので(笑)」。


――もともと特撮やヒーローものを観たことはありました?

「あまり観てなかったです。小さい頃にアニメの『おジャ魔女どれみ』は観てましたけど、読書したり絵本を見ることが多かったので、未知の世界でした」。

――オーディションのときから、仮面ライダーバルキリーに変身する話はあったんですか?

「全然聞いてなくて、普通にヒロイン役として受けました。他のオーディションとあまり変わらなかったと思います。演技の台本に『変身!』という台詞はありましたけど、男性の役を仮に演じるだけなのかなと。あと、私、仮面ライダーとスーパー戦隊がゴチャゴチャになっていて(笑)。戦隊のオーディションは受けたことがあったんです」。

――いわゆるピンク役で?

「はい。そこで変身はやったので、あまり違和感はありませんでした。役が決まってから、女性レギュラーが最初から仮面ライダーに変身するのは初めてと聞いて、『そうなんだ!』とビックリした感じです」。

――すごいことですよね。放送開始前から、身長170㎝でカッコイイ井桁さんはピッタリな気がしました。唯阿の頭脳も戦闘能力も優れているところも重なっていて。

「ありがとうございます。私も設定を聞いた限りでは、もしかしたら自分に近い役かと思いました。でも台本を読むと、男性と同等か上の立場で戦っていて、口調や動きが想像と違っていて……。役に対する印象が変わりました」。


――最初に出たように、悩んだ部分もあったわけですね。

「それは多かったです。探り探りで演じて、出来上がった映像を観ても、正解だったのかわからなくて。『強く見えない』とか『立ち姿がきれいじゃない』とよく指摘されたので、現場で衣装のスーツを着た上で、どう見えるかを確認しています」。

――銃を撃ったりアクションもあります。

「まだ胸を張って習得できたとは言えませんけど、運動は好きなので、そこは楽しんでやれてます。その場で『こうしたらいい』と教えてもらっています」。

――変身ポーズはかなり練習したんですか?

「何回もやりました。プログライズキーをスムーズに回して、ボタンを押すときに上下反転してないように止めるのが難しいです。家でも練習しましたし、変身シーンがある日は現場でも前もって渡してもらって、反復してました」。


――唯阿はクールなだけでなく、8・9話では重傷を負った同僚の不破諫を助けようと必死になる場面もありました。

「唯阿の感情が出た回でしたね。台本をパッと読んだ感じでは、唯阿がそこまで不破を心配する情があるのかと思いましたし、違和感なく演じられるか不安でした。でも、いざ撮影に入ったら、全力でやるほど唯阿の新しい一面が見られて、面白かったです。あそこはターニングポイントというか、その後のお話でも、あの一件があったからこその不破との関係性が見えるので、印象深いです」。

 
 

車を使ったアクションにも挑戦して
もっとやりたい気持ちになりました

 
 

――映画の「仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション」では、撮影で特に覚えていることはありますか?

「アクションシーンが多くて挑戦でしたし、『もっとやりたい』という気持ちになりました。車を使ったアクションが印象に残ってます。動いている車の中で牽引されたり実際に走ったり、逆に大きく動けない分、ゆっくりした動きで表情で臨場感を出したり、頭を使うことが多くて新鮮でした」。

――唯阿と諫はピンチの場面が多いようですね。

「結構やられてました(笑)。現場ではどういう状況のシーンか想像するのが難しくて、やられるにしてもカメラを通して見るとカッコ悪くて、悔しいことが多くて……。どこまで限界の状況なのか想像しないと伝わらないのを痛感して、課題が見えたのは良かったです」。

――バルキリーに変身後、戦うシーンの「ハッ!」といった声をアフレコで入れるのも、特撮ならではですね。

「慣れてはきましたけど、まだ安定しません。毎回ちょっとずつ変えています。声の出し方が喉から行くと痛くなったりもするので、試行錯誤しています」。

――ひとつの役を長く演じることで、得られるものもありますか?

「役のことを考える時間が長いのはありがたいです。同じ現場に1年間いることもなかなかなくて、気づいたことはすぐ改善できますし、共演者やスタッフさんと一緒にいる時間が長くて人間関係も深まる分、感じることもいろいろあります」。


――普段も振る舞いが唯阿っぽくなったりはしません?

「ちょっとテンションが上がりにくくなった気はします(笑)。特に撮影後は、スンとしたまま帰ったりします」。

――今年は「ゼロワン」の他にも、主演映画「イソップの思うツボ」の公開などもあって充実していたかと思いますが、仕事以外でも良いことはありました?

「ないです(笑)。大学を卒業して、始めたいことはいろいろあるんですけど、なかなか時間がなくて……」。

――「ゼロワン」の撮影だけでも忙しいでしょうからね。どんなことを始めようと思っていたんですか?

「まずゴルフです。両親がやっているので、いつか一緒に回りたくて、どうせなら、ちゃんと習いに行きたいと思ってます。あと、以前から気象予報士の勉強をしていて、何回か試験も受けたんですけど、最近は時間がないんですよね。そういうやりくりをうまくできるようになれたらいいなと思います」。

――日々の息抜きにはどんなことをしてますか?

「映画館の雰囲気が好きなので、時間があったらフラッと行って、映画を観たりします。あとは1人でカフェに行って、ボーッとしながら領収書の整理をしたり、台本を読んだり……。のんびりした時間を過ごすのが好きかもしれません」。

――映画だと、今年面白かった作品はありました?

「最近、あまりしっくりくるものがなくて……。『ジョーカー』は面白かったんですけど、ホラーだと思って観たら、全然違ってました(笑)。映画はストーリー自体より、いろいろなところに目が行っちゃうようになりました」。

――女優の立場で観てしまうとか?

「『これはどうやって撮ったんだろう?』とか『この人はどういう気持ちで演じていたんだろう?』とか……。でも、『存在のない子供たち』という映画は、本当にフラッと観たら、すごくズシッときて考えさせられました(※中東の貧民窟で暮らす12歳の少年を描いたレバノン映画)」。

――去年取材させてもらったときは、「焼き鳥屋巡りをしている」とのことでした。

「焼き鳥はずっと好きです。最近は豚とか焼肉も好きで、お魚もよく食べます(笑)」。

――最後に定番ですが、来年はどんな年にしますか?

「まずは健康第一で『ゼロワン』を最後までやり切りたいです。そこから先だと、今まではわりと自分の殻の中で、想像できる範囲内でやってきた感じがするんです。何となく守りに入っていたというか……」。

――あまり冒険せずに?

「そうですね。だから、もっと自分で想像つかないことに挑戦したいです。バラエティで自分の言葉で発言できるようになりたいですし、モデルのお仕事でも今までとはひと味違う自分を出せたら。そのためにも、『ゼロワン』の中でいろいろインプットできたらいいなと思います」。


 
 


 
 

井桁弘恵(いげた・ひろえ)

生年月日:1997年2月3日(22歳)
出身地:福岡県
血液型:O型

 
【CHECK IT】
2018年にリクルート「ゼクシィ」の11代目CMガールに選ばれて注目される。女優として、ドラマ「極道めし」(BSジャパン)、「ヒトコワ『隣の母娘』」(ひかりTV、dtvチャンネル)、映画「4月の君、スピカ。」、「イソップの思うツボ」などに出演。ドラマ「仮面ライダーゼロワン」(テレビ朝日系/日曜9:00~)に出演中。映画「仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション」が12月21日(土)より公開。
詳しい情報は公式HPへ
 

「仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション」

 

 

©「ゼロワン/ジオウ」製作委員会 ©石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映
 
 
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