PICK UP ACTRESS 加藤小夏
PHOTO=草刈雅之 INTERVIEW=斉藤貴志
ドラマ「I”s」でヒロインの1人の女子大生役
「初めて恋をした日に読む話」にも出演中
――去年の高校卒業前の取材では「少しは運動をしないと」と話してましたが、その後、何か始めました?
「始めたんですよ! 家の周りを走ってます」。
――ルーティン的に?
「疲れてない日や『まだ体力があるな』って日に。あと、いつも家と駅の送り迎えをしてもらっていたんですけど、そこを歩くようになりました。20~30分ですかね? 結構歩いてます」。
――階段の上り下りがしんどいことはなくなりました?
「それはなくなりました(笑)!」。
――BSスカパー!のドラマ「I”s」にヒロインの1人・麻生藍子役で登場しますが、自分では4人のヒロインの中で藍子役に決まったポイントに心当たりはありますか?
「雰囲気ですかね? オーディションでは伊織ちゃんやいつきちゃんもやりましたけど、私の雰囲気や性格が藍子ちゃんに近いものがあったから?」。
――いつきみたいにキャピキャピしたタイプではないと。
「そういう感じではないし、伊織ちゃんとなると、世の男性の理想の女の子じゃないですか。そこは私とかけ離れていたので(笑)」。
――そんなことはないと思います(笑)。藍子は天然で純粋な女の子。予告番組では監督に「小夏に近いから、そのままやればいい」と言われたのを「意外だった」と語ってました。
「撮影したのは1年以上前で、そのときは自分のことを全然わかってなくて、『近いのか?』と思ったんですけど、映像で藍子を見ると『近いのかな』と(笑)」。
――当時は自分をどんな子だと思っていたんですか?
「もっとしっかりしているつもりだったんですけど、その頃は今よりホンワカしていて、ボケボケぶりが藍子と似てるのも最近は何となくわかります(笑)」。
――そういえば、事務所のサンミュージックの創立50周年パーティーに行くときも道に迷ったとか。
「そうなんですよね~。近くの駅から行けば良かったんですけど、私の家から行きやすい駅から歩いたら、見事に迷ってしまって……(笑)。全然無理でパニクってタクシーの力を借りてしまいました」。
――藍子は秋田出身の女子大生で、アパートで一人暮らしを始めた主人公の瀬戸一貴の隣りに住んでいて、自分の部屋のカギをなくして電話を借りたのが出会いでした。小夏さんはカギをなくしたことはあります?
「カギはなくしますね~(笑)。見つからなくて親に怒られて、『危ないから』って自腹でカギを変えさせられたことがありました」。
――どこで落としたのか、心当たりは?
「なかったんですけど、後から見つかったんですよ! たくさん探したのになかったトートバッグの中からポロッと出てきて、『マジか!? 私の自腹の3万円は……』みたいな(笑)」。
――忘れ物もしがちとか?
「多いです。高校生のとき、駅の待合室にスクバを置いて電車に乗って、『バッグがない!』ということが3回ありました(笑)」。
――スクバに入れていた何かを置いてきたのではなく、スクバそのものを置いて手ぶらで電車に乗ったんですか?
「何でですかね? 自分でも理解できないんですけど(笑)、たぶん急いでいたからですね。朝で頭も働いてなかったし……ということだったと思います(笑)」。
――藍子は一貴よりひとつ年上の設定ですが、撮影当時は高校生だった小夏さんとして、お姉さん感は意識しました?
「キャストの中でも私が実際は一番年下だったので、少しでも大人っぽく、おしとやかに見えるように気をつけました。藍子ちゃんは話し方が少しゆっくりだと思います。でも、そこまで意識したというより、後から見て『自然にゆっくりになっていたな』という感じです」。
――この作品について、小夏さんは「恋をしたときに心の中で様々な感情が渦巻く気持ちに共感したり、懐かしく思えたり、憧れたりすると思います」とコメントしてました。小夏さん自身も藍子の気持ちには共感しましたか?
「藍子ちゃんの恋愛には少し難しいところがあって、結局、秋田にいる彼氏が好きなのか、瀬戸さんが好きなのか、よくわかりませんでした。瀬戸さんへの感情がグルグルしていて、彼には伊織ちゃんという彼女がいるし、自分も秋田に彼氏がいる。どうしたらいいのか……みたいなところが、すごくあったと思います」。
――藍子には「好きな人とつき合っているんですよ。寂しいけど幸せです」という台詞がありますが、小夏さんは遠距離恋愛はできそう?
「無理です。全然無理です。寂しいのは幸せではないと思います(笑)。毎日会わないとダメでしょうね」。
――藍子が一貴に惹かれる気持ちはわかりました?
「ひたすらやさしくて、真っすぐなのはいいなと思います。でも、それが私だけに向けられるならいいですけど、みんなにやさしく真っすぐ接していると、『ちょっとダメですよ』ってなっちゃいます(笑)。そこは微妙ですね」。
――ドラマでガッツリ演技したのは初めてということで、予告番組では「映像で見ると感情が伝わってなかった」とも話してました。
「全体的にそうでした。基本的に無機質世代で、感情を表に出してるつもりでも出てないことは、普段の生活でも多いので。映像で見るとさらに足りてないというか、もっとオーバーにやっても良かったと思いました」。
――普段も喜怒哀楽は出ないほうなんですか?
「仲の良い人の前では出ると思うんですけど、あまり伝わらないみたいです」。
――たとえば、プレゼントをもらったりすると?
「難しいですよね。どう反応しようか、一番緊張します。演技ではないですけどオーバーに喜んでみたり、言葉に出してうれしさを伝えるようにしています」。
――他に初めての現場で悩んだことはありました?
「悩んだりはしなくて、現場で明るくいようとは思いました。初めてドラマに出る新人で何もできない子だったので、しかも暗い子だったら最悪じゃないですか(笑)。なので、とにかく明るく、いろいろな人と話すようにしてました」。
恋愛モノは胸キュンよりも
別れたり切ないのが好きです
――「I”s」の原作は90年代後半のマンガですが、今の女の子の感覚だと違和感を覚える部分もありました?
「全然なかったです。逆に、時代に関わらず『みんなこうやって恋愛してきたんだな』と思いました。ただ、PHSとかはまったく知らなくて『おーっ!』となりました。私はスマホ世代なので」。
――昔の「少年ジャンプ」のマンガといえば、小夏さんは「北斗の拳」の35周年記念CMにも出演しています。そっちも読みました?
「読みましたけど、1巻目からすごく圧倒されました(笑)。エネルギーが要りますね。マンガは好きでも恋愛モノしか読んでこなかったので『あーっ、死ぬんだ!』みたいな(笑)」。
――恋愛マンガを読んでキュンキュンしていたんですか?
「胸キュンより、切ないのが好きなんです。恋がうまくいかないとか、別れちゃうとか、そういうシーンでグサッと刺さる感じがマンガでは良くて」。
――藍子もそういうシーンがありました。
「かわいそうでしたよね。リアルで言われたら立ち直れないくらいでしたけど、切なかったから演技は自然にできました」。
――ドラマだと今は「初めて恋をした日に読む話」にも出演中ですが、こちらの原作の持田あき先生は元からファンだったそうですね。
「そうなんです。小学生のときに初めて好きだと思ったマンガが持田先生の『君は坂道の途中で』で、リアルタイムで読んでました。きれいな世界観で絵も素敵で、ストーリーもすごく魅力的です」。
――小学生のときに読んで、「高校生になったら、ああいう恋愛をするんだ」と思っていたりも?
「憧れてました。私の街も坂道が多かったんですけど、不良に絡まれてる転校生はいなくて、残念なことにああいう恋愛はありませんでした(笑)」。
――「初めて恋をした日に読む話」も読んでいたんですか?
「高校生のときから読んでました。原作に関しては、ドラマで深田(恭子)さんが演じている春見先生の高校時代が面白かったです。東大を目指して勉強しかしてこなかった子が、恋愛に無頓着なのが全然理解できませんでしたけど、きっとそういう人もいるだろうし、新しい世界に思えました」。
――ドラマで演じている今井桃は、吉川愛さんが演じる江藤美香の友だちのイケイケ女子高生。
「イケイケですね~。いいとこの女子高生なんですけど、その中でも弾けちゃってる感じの女の子たちです。合コンとかしていて、イケてるなと思います(笑)」。
――小夏さんも高校時代はイケイケだったんですか?
「イケイケでしたけど、合コンはしたことなくて、そっち系ではなかったです。友だちとワイワイしていることが多くて、『イエーイ!』みたいな感じでした(笑)。プリクラ撮ったり、カフェに行ったり、タピオカを飲んだりしてました」。
――振り返ると、そういうJKらしいことをしていたのは良かったと思います?
「そうですね。もう絶対できないので。現役のときにやるのは大事ですね」。
――共演している吉川愛さんや黒崎レイナさんとはすぐ仲良くなれました?
「はい。仲良いです。愛ちゃんとはもう遊びに行きましたし、レイナとは『猫カフェに行こう』と言ってます」。
――愛さんは同い年でも子役時代からキャリアがあるので、演技的に学ぶことも多いのでは?
「すごくあります。エトミカ役は『おーっ、来るなー』という感じで、『こんな女子高生がいたらキツイ』というところまでやってますので。私がのほほんとしていた小学生時代からこの仕事をしていると考えたらすごいし、『メイちゃんの執事』とかよく観ていたので、隣りに並んでいることが感慨深いです」。
――ところで、小夏さんは現在19歳。今年の成人の日に街で新成人を見て、何か思ったことはありました?
「来年の振袖をまだ決めてなくて『どうしよう?』って焦りました。周りのみんなはもう決めていて、2年前から決めている人もいるので。『何色にしようか?』とか、すごく考えています」。
――20歳の誕生日は6月に来ます。
「早く20歳になりたいです。最近『大人になりたい』とすごく思うので、早く5カ月過ぎてほしいです」。
――10代とサヨナラする寂しさはなく?
「全然ないです。19歳になったあたりから、早く大人になりたいと思うようになりました。それまでは『永遠の17歳でいたい』とかバカみたいなことを言ってましたけど(笑)、一気に変わりました」。
――何かあったんですか?
「周りに大人の人が多くて、『I”s』で共演した白石聖ちゃんと萩原みのりちゃんも20歳を越えたので、『早く一緒にお酒が飲みたいな』と思いました(笑)」。
――お酒は家系的にイケそうとか?
「親は2人とも一切飲まないんです。でも、おじいちゃんがすごく飲む人で強くて、そっちに似ると聞いたことがあるので、私も強いのかもしれません。そうだとしても、ほどほどにしたいと思います(笑)」。
――自分が大人になってきたと感じることはありますか?
「プリクラはもう撮りませんし、周りの子も大学生になって忙しくなったからか、お昼の時間帯に遊ばなくなりました。『夜ごはんを食べよう』となって、こじゃれたレストランに行ったりするので(笑)、少し大人になってきたのかなと思います」。
――どんな大人になりたいとか、ありますか?
「街で『1人で生きていけます』みたいなキャリアウーマンふうの人がいるじゃないですか。髪をパサーッとなびかせていたりして(笑)、カッコイイなと思って、私も1人でもスタスタ生きていけるような大人になりたいですね。ショートカットなので、髪をパサーッとするかはわかりませんけど(笑)」。
――では最後に、「初めて恋をした日に読む話」にちなんで、最近初めてしたことや初挑戦したいことはありますか?
「初めての肉じゃがを作りたいと思っています。お母さんの肉じゃががおいしくて、大好きなんです。味付けがちょうどいい濃さで、しょっぱすぎず薄くもない絶妙な加減で、さすがだなと。私は料理はちょいちょいするので、肉じゃがもマスターして味を受け継げたらと、きのう思いました。夕ごはんが肉じゃがだったので(笑)」。
加藤小夏(かとう・こなつ)
生年月日:1999年6月26日(19歳)
出身地:東京都
血液型:A型
【CHECK IT】
中学1年でスカウトされて芸能界入り。「痛快TVスカッとジャパン」(フジテレビ系)、LINEのWEB動画「母のLINEが変な件」などに出演。ドラマ「初めて恋をした日に読む話」(TBS系/火曜22:00~)に出演中。日本赤十字社のショートムービー「ミラクルヒーローズ」、「北斗の拳」35周年記念CM、NTT西日本「続・父の挑戦篇」のCMがオンエア中。ドラマ「I”s」(BSスカパー!/金曜21:00~)で3月からの後半に出演。
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「I”s」
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©桂正和/集英社・スカパー!2018
「初めて恋をした日に読む話」
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