PICK UP ACTRESS 村上穂乃佳

PICK UP ACTRESS 村上穂乃佳

PHOTO=小澤太一 HAIR&MAKE=久保田延彦
INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

映画「みとりし」でヒロイン
人生の最期を看取る役に向き合う

 
 

――村上さんはキャリアは結構長いんですよね?

「10年くらいやってます。小学6年生のとき、初めて遊びに行った原宿でスカウトされたのがきっかけでした。でも、ちゃんと女優としての自我が芽生えたのは、高3の進路を考えた頃です」。

――最近はCMで話題になりました。

「ビューネくん(メナード『薬用ビューネ』CM)はよく『観たよ』と言われます。『竹内涼真さん、どうだった?』とか(笑)」。

――トヨクモの「スタートアップス安否確認サービス2」のCMでは、清楚なOLふうの村上さんが、急に「じゃあ、どうするの?」と変な感じになるのが笑えました。

「あれは私と違う人格です(笑)。それくらいにならないと、普段の私であんなことをするのは到底無理でした。いろいろな言い方をして何度も撮って大変でしたけど、使われたのはわりとナチュラルなテイクです。もっと変なのもいっぱい撮りました(笑)」。

――映画「みとりし」で、人生の最期を迎える人をサポートする看取り士の高村みのりを演じました。オーディションで1200人から選ばれたそうですが、プロデューサーさんが「鬼気迫る迫真の演技」だったとコメントしてます。

「本当ですか? 鬼気迫っていたんですかね(笑)? 『この役は絶対に私がやるんだ』という想いが強くて、それを何とか審査員の方々にお芝居でお伝えしようとは思ってました」。


――みのり役のどこにそれだけ惹かれたんですか?

「みのりがひたむきに目標に向かっていく姿に心を打たれましたし、台本を読んだ時点で号泣だったんです」。

――どの辺の場面で?

「いっぱいありましたけど、特に最後の乳がんのお母さんにまつわるところです。お母さんの気持ちにも、お父さんの気持ちにも、子どもの気持ちにもなって、すごく悲しいんですけど温かくて……。みのりが過去の自分と重ね合わせて、思わず娘さんを抱きしめるシーンは、台本を読んでいて『いいな』と思いました」。


――みのりも9歳のときに母親を亡くしていますが、看取り士としては泣いたらいけないんですよね?

「いけないことはないみたいです。ただ、実際に看取り士の方とお話すると、常に笑顔で明るくて、穏やかなイメージがあったんですね。そのイメージは大切にして演じたくて、最後に思わず感情が少し出ちゃいましたけど、穏やかな部分をちゃんと保つように気をつけました」。

――村上さんも大事な人を看取った経験はあるんですか?

「ないんです。中学生の頃、おじいちゃんを亡くしてますけど、愛媛の家に着いた頃には、もう息を引き取ってました。だから看取れなくて、死というものがすごく悲しくて、トラウマになって……。そこはお母さんの死がトラウマになったみのりと重なります」。

――みのりは母親の臨終に立ち会ったけど、亡くなる前後の記憶がないとのことでした。

「たぶん悲しい記憶を消していたんですよね。私の場合は、おじいちゃんの最期のときにそばにいられなかった後悔がありました」。

――新人看取り士のみのりは、最初に83歳のおばあちゃんを看取ったあと、「これで良かったんでしょうか……」と、上司に当たる柴(榎木孝明)に聞いてました。

「やっぱり不安で、すごく怖かったんですけど、柴さんに『大丈夫だよ』と言われて安心して、少し自信を付けて成長を感じられました。前に進もうとして、そのために何をしたらいいか考えて、自分の力で何とかしようとするみのりは、まっすぐでいいと思います」。

――さっき出た乳がんのお母さんを担当することになって、「看取る自信がない」と駐車場でへたり込んでもいました。

「そこら辺は一番波がありました。その前の患者さんを看取って『できたんだ』と思ったあと、みのり自身の過去と重なるような現実を目の当たりにして、思い出すこともあって、しんどかったですね」。

――それでも、あの家族の前では穏やかに見守る態度を崩しませんでした。

「頑張ってました。そもそも看取り士というお仕事はつらいところもあるけど、そこはプロ意識を持っていたんだと思います」。


 
 

目標はアカデミー賞の助演女優賞
脇でも光れるのはカッコイイので

 
 

――本物の看取り士さんと話したそうですが、他にもクランクインの前に準備したことはありました?

「看取り士さんの研修を受けてきました。2日間で心得や実技を学びました」。

――劇中で、寝ている患者さんの首の下に腕を入れて、呼吸を合わせたりしてましたね。

「それを実際に看取り士さんから教えていただいて、撮影に挑みました。現場にも看取り士の方が来てくださって、作法とかをその都度ご指導いただいたので、リアルに表現できていると思います」。

――細かいことだと、みのりはお酒を飲まないんですかね? 歓迎会などで1人だけジュースを飲んでるようでした。

「あれは一応カクテルの設定だったんです。でも、そんなに飲まない子ですね。私も弱くて、まったく飲めません(笑)」。

――この映画に出演して、死生観が変わった部分もありますか?

「ガラッと変わりました。やっぱり死に対するイメージはマイナスなものだったのが、家族たちと一緒に最期を迎えるのはすごく温かいと思うようになりました。旅立つ方も看取る側も、思い出を語り合ったり、最後まで背中に手を当てて温もりを感じたりするのは、とても大事なこと。私もそうしたいと思ったし、自分が最期を迎えるときのことも考えて、そうされたいとも思いました」。


――村上さんのプライベートなことをうかがいますが、テナーサックスが特技なんですよね?

「部活で4年くらいしかやってないので、特技と言えるのか……(笑)。小さい頃からサックスに憧れていて、小学校高学年になると運動会で演奏できたんですね。『私は絶対サックスをやる』と思っていたんですけど、定員オーバーでできなかったんです。それで、『中学では絶対吹奏楽部に入る!』と思って始めました。全然上手ではありませんけど、コンクールとかに出ました」。

――どんな曲を吹いていたんですか?

「ジャズが多かったです。でも、ディズニーの曲も吹いたり、幅広かったです」。

――最近ハマってることはありますか?

「写真と絵です。写真はフィルムカメラを持ち歩いて、フラーッと風景や友だちを撮ってます」。

――フィルムにこだわりがあるんですか?

「質感も好きですし、自分で絞りやシャッタースピードを合わせたいんです。最初はオートの一眼レフを使っていたんですけど、何かつまらなくて、フィルムにしました」。


――絵はどんなものを?

「家で水彩画を描いてます。昔から絵を描くのは好きで、何も考えたくないとき、無になれます。風景や自分で撮った写真を絵にしたり、マンガっぽい絵を描いたり、いろいろですね」。

――芸術家肌なんですね。

「体育会系ではないです(笑)。部活も茶道部、吹奏楽部だったので、完全に文化系です」。

――これから磨きたいことや成し遂げたいことはありますか?

「いろいろありますけど、最終的な目標はアカデミー賞の助演女優賞です。自分の中で、あの賞はすごく美しいものです」。

――主演ではなくて、あえて助演女優賞なんですか?

「主演は当たり前にきらびやかですけど、脇でも光れたらカッコイイと思うんです。個人的には田中裕子さんの雰囲気が大好きで、助演女優賞を取るまでは女優業をやめられません!」。


 
 


 
 

村上穂乃佳(むらかみ・ほのか)

生年月日:1995年7月5日(24歳)
出身地:愛媛県
血液型:O型

 
【CHECK IT】
スカウトをきっかけに中学時代から芸能活動を開始。主な出演作は映画「月震のかずみ」、「自由の世界」、「人狼ゲーム クレイジーフォックス」、「三尺魂」、「ハモニカ太陽」、ドラマ「仮面ライダーフォーゼ」(テレビ朝日系)、「フラジャイル」(フジテレビ系)ほか。放送中のトヨクモ「スタートアップス安否確認サービス2」、メナード「薬用ビューネ」のCMに出演。映画「みとりし」は9月13日(金)より有楽町スバル座ほか全国順次ロードショー。
詳しい情報は公式HPへ
 
 

「みとりし」

詳しい情報は「みとりし」公式サイトへ
 

 

 

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