FRESH ACTRESS 中村ゆりか
PHOTO=池永一之 INTERVIEW=斉藤貴志
「まれ」などで注目の美しき18歳
新春ドラマ「富士ファミリー」に出演
――18歳のゆりかさんですが、最近は実年齢より上の役が多いですね。新春スペシャルドラマ「富士ファミリー」のカスミもそうですが、試写では普通に22歳ぐらいに見えました。
「年齢はあまり気にしませんでした。無理に大人に近づこうと、口調や動きをおしとやかにしたりするより、自分のままで自然にやろうと思いました。逆に弾けた女子高生の役とか来たら、動揺しちゃうかもしれません(笑)」。
――カスミは東京から来てコンビニに住み込みで働く役で、際立ったキャラがあるわけでないから、かえって難しさもあったのでは?
「あまりクセのない役で『こういう人は実際にいるな』という感じにできたらと。出会った人との関係を自然に受け止めて、その場の空気に溶け込むことを意識しました」。
――事前に作り込んだりせずに。
「現場で『こういうことだったのか』と感じることの方が多いです。もちろん家でも台本を読んでイメージするし、監督にも『場面を想像して実際に動いてみると流れをつかめる』と教えていただきましたけど、それでもやっぱりわからないことがあるので。自然に演じられたのは、現場に行って出たものも大きかったと思います」。
――「大丈夫じゃないときは『大丈夫じゃない』って言うのがルール」と鷹子(薬師丸ひろ子)に言われたときも、リアルに響いたものがあって?
「そうなんです。自分自身に突き刺さる言葉でした。本当は大丈夫じゃなくても『大丈夫』と言ってしまうのが本能かなと思うし、そこはカスミと自分が重なる部分。私にとっても支えになる、救われたような言葉でした」。
――ゆりかさん自身も「大丈夫」と言ってしまうタイプなんですか?
「肩に力を入れすぎ、とよく言われます。考えすぎたり、『うまく行かなかったらどうしよう?』と不安になったり、あまりポジティブではないんですよね(笑)。見た目でポワーッとしているように思われますけど、実はすごく悩んでいたりもします」。
――悩んでいても、人には「大丈夫」と言ってしまうと。
「でも、このドラマの現場で『大丈夫じゃないって言う』という言葉を聴き入れたとき、『今度、誰かに言ってみよう』と思いました。自分から吐き出さないといけないときは、誰にでも絶対あるし。私はお母さんに言いました。話を聞いてもらって、自分から言えないこともお母さんには気づかれているんですよね」。
――「富士ファミリー」でも“家族”や“居場所”がテーマになっていますね。
「私も家が一番落ち着きます。両親も仕事をしていて、朝起きるときと夜寝る前しか顔を合わせられないときもありますけど、お休みの日はなるべく一緒にいるようにしていて。お仕事で抱えていたものや力が入りすぎていたところが、親といると軽くなります」。
――ドラマの鷹子たちの家族はどう思いました? 両親を早くに亡くして、父親の妹であるおばあさんや他界した妹の元夫と暮らしていて。
「みんな離れたくても離れられないんだろうな、って感じがしました。家から出ていきたい気持ちがあっても、なかなか出られないのは、お店に思い入れがあるから。奥さんを亡くして7年の日出男さんが『出てしまったら、笑っていたことも泣いていたこともウソになってなくなってしまう』と言ってましたけど、確かにそうだと思いました」。
――「私はここにいるから、どんどん転がっていけ」という言葉も印象的でした。
「転がっていないとわからないこともあるし、自分を動かすきっかけになる言葉だと思います。私自身、本当に勇気づけられました。『できることからやってみよう』と」。
――会見ではカスミ役に関して、ゆりかさんから「流されていくのがいいのかな? と思っていたらファミリー富士に辿り着いた」との発言がありました。流されていくような感覚は、ゆりかさんも経験あるんですか?
「行き詰まることはありますし、人に言われたまま動いて『本当はこうしたい』となかなか言い出せなかったりもします。流されて生きた方がある意味、楽でいられる。『人に迷惑をかけるよりは自分が損した方がいい』というのは、カスミとして思いました。私も言いたいことを言えないときはあって、演じやすかった面もありますけど……『もっと自信を持たなきゃ!』と思いました」。
――でも、ゆりかさんは見た目も演技センスも抜群で、仕事も順調のようだし、必然的に自信が芽生えるように思えますが。
「いやいやいや。お仕事をいただけているのはありがたいですけど、順調なんですかね? ちゃんとできているのか……」。
――目標はミラ・ジョヴォヴィッチさんでしたっけ。
「『バイオハザード』とかに出て、俊敏に動ける女優さんですよね。私はアクションが好きで、自分でもやってみたいので憧れです」。
――ほお。アクションをやりたいんですか?
「そうなんです。私はこんな感じなので『ウソだろ?』と思われるかもしれませんけど(笑)」。
――運動神経もいいんですか?
「いえ……(笑)。大学生になってから運動をしなくなって、衰え始めました。高校生のときの方がまだちょっと体が軽かった気がします。でも、やる気はあるので! アクションをやる自信はあります! ……と言っておきます(笑)」。
――ゾンビを倒したりするぞと。
「はい。ゾンビ役ではなくて(笑)、倒す方をやりたいなって。鍛えないといけないですね。今はアクションのお稽古はしてませんけど、自分でできることを考えて、毎日腹筋をやっています」。
好奇心が強くて寄り道が楽しいです
服を選ぶのは4時間かかります(笑)
――「富士ファミリー」は1月2日の放送です。中村家では、お正月はどんな過ごし方を?
「お出かけするより、ずっと家にいて、暖かくして、テレビを観ています。大晦日にはお父さんが年越しそばを作ってくれるんですよ。簡単なのですけど、それを食べるのが幸せだなって思います。今年のお正月はおばあちゃんの家に行けなくて、ちょっと寂しかったので、今度の年明けには行けたらいいなって。おはぎを作ってくれるので、食べたいです」。
――おはぎは「富士ファミリー」のおばあちゃんも作っていましたね。
「そうなんです。ドラマのなかで食べて幸せな気持ちになって、私のおばあちゃんのおはぎを思い出しました。何年か前から食べていなかったので」。
――それにしても、今ドキの18歳で、お正月をそこまで家族と過ごすのも珍しくないですか?
「ああ。友だちはカウントダウンをしたりしてますけど、私は必ず家族と過ごします」。
――きょうだいはいるんですか?
「一人っ子です。だからか、両親は心配性ですね。仕事で夜遅くなるときとか、必ず電話が来たり」。
――仕事がなければ、門限もあったり?
「もうなくなりましたけど、高校生の頃は8時過ぎに帰ると、すごく怒られました」。
――それはちょっと早いですよね。
「もっと友だちといたい……と思うこともありました。でも、何もなければまっすぐ家に帰って、マンガを読んだりしていて。大学生になってからは、お父さんもお母さんも『もう18歳だし、遊びたいときは遊んでくればいい』と。『やりたいことは今のうちにやった方が損はないから』と言われました。失敗して気づくこともあるし、今の私にはそれが大事なのかなと思います」。
――仕事以外でやりたいこと、興味を惹かれることもあるんですか?
「今は寄り道するのが楽しいです。好奇心が高校のときより大きくなったみたいで、『あれを見たい。これを見たい』って体が勝手に動きます」。
――どんなものに吸い寄せられます?
「食べ物もそうだし。私、1人でもごはんに行けるので。優柔不断ですけど、『何を食べようかな?』って迷うのが好きなんです。誰かと一緒に食べるときは、自分で選ぶと時間をかけちゃうので、他の人が選んだのと同じものを頼むクセがあります。服を選ぶのも時間がかかって。お母さんと買い物に行くと、私が迷いすぎて、お母さんがいなくなっちゃいます(笑)」。
――どれぐらい迷うんですか?
「4時間とか普通に(笑)。ショッピングモールで同じところをグルグル回って、さっき見たものをまた見て、本当にパッと決められないから、お母さんに呆れられちゃうんです(笑)。だから、1人でいるときが一番気楽。好きなものを自由に選んで、好きなことをして。そういう意味で、普段もお仕事をするときも、自分の世界に入るのが一番好きです。服は4時間かけて選んでも、『やっぱりあっちが良かったかな……』と思ったりもしますけど(笑)」。
――仕事と大学の両立は大変ですか?
「大変ですね。今まさにそうで、気づいたら課題が四つたまっていました。『富士ファミリー』の会見前夜も課題をやって、会見でどんなことを話すかも考えて、交互にやっていたら混乱してしまって(笑)。なるべくお仕事の方をきっちりやりたいです。でも、大学で出された課題もおろそかにはしたくないので」。
――3月には19歳になりますね。
「どんどん20歳に近づいてきます。10代も終わりか……。早いなと思います(笑)」。
――精神的にも大人に近づいている実感はありますか?
「自分では成長を感じ取れなくて。近くにいる両親やマネージャーさんは感じてくれているかもしれませんけど、自分では曖昧です。ただ、このお仕事をしていると周りに大人の方が多くて、18歳でも容赦はされません。そういう環境にいるから、成長していけるのかなと思います」。
中村ゆりか(なかむら・ゆりか)
生年月日:1997年3月4日(18歳)
出身地:神奈川県
血液型:O型
【CHECK IT】
中学1年のとき、渋谷でスカウトされて芸能界入り。2012年に映画「5windows」に主演。2014年にドラマ「家族狩り」(TBS系)で進学校の優等生ながら心に闇を抱える女子生徒を演じて注目される。2015年には連続テレビ小説「まれ」(NHK)でパティシエを目指すヒロインの師匠の娘・池畑美南役。スピンオフドラマ「まれ~また会おうスペシャル」の前編「僕と彼女のサマータイムブルース」ではメインキャストに。2016年1月2日(土)放送の新春スペシャルドラマ「富士ファミリー」(NHK総合テレビ 21:00~/脚本・木皿泉)に出演。舞台となるコンビニに住み込みで働く訳ありのアルバイト・カスミ役。
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