PICK UP ACTRESS 小倉優香
PHOTO=小澤太一 INTERVIEW=斉藤貴志
「レッド・ブレイド」で映画初主演
本格的な忍者アクションに挑戦
――“リアル峰不二子”としてグラビア界を席巻している小倉さんが「レッド・ブレイド」で映画初主演。女優業にも意欲は強かったんですか?
「高校生の頃は別に何も決めてなかったです。OLみたいな職業は私に向いてないことだけはわかっていたので、毎日違ったことをする仕事をやりたいと、漠然と思っていました。スカウトされて事務所に入って、高校を卒業して自分がやっていくことを決めなきゃいけないときに、『私は何がやりたいんだろう?』と考えたんです。それで、当時受けていた演技レッスンが楽しかったので、女優を志すようになりました」。
――映画やドラマを観るのは好きだったんですか?
「はい。特に園子温監督の映画は好きです。それと高2くらいで出会った『アレックス』というフランス映画が、すごく心に残りました」。
――凄惨な復讐劇を時間を遡って描いた問題作ですね。好きな女優さんはいました?
「好きだな、すごいなと思う人はいっぱいいますけど、『こうなりたい』という憧れの人はいないですね。それぞれの人の自分と違うところに魅力を感じるので」。
――「レッド・ブレイド」みたいなアクション映画も観てました?
「アクションものを選んで観ることはなかったんですけど、この映画が決まってから興味を持って観たのが『チャーリーズ・エンジェル』で、すごくカッコイイなーと思いました。自分がやったからこそわかるすごさもあって、その後にアクションものを観ると今までより面白く感じます」。
――小倉さんは運動は苦手だったそうですが……。
「ダンスは好きでしたけど、陸上競技とか球技とか学校でやるような運動はすごく嫌いで、体育の授業は何かしら理由をつけて見学していました(笑)。冬は寒いし、夏は焼けるし……みたいな感じで、階段の横に座って見てました」。
――じゃあ、タイムスリップして忍者になる「レッド・ブレイド」のマコ役は、最初に話が来たときは不安もあったり?
「そうでもないです。アクションは学校の運動とは違うイメージが私の中にあったので、むしろ楽しみでした」。
――刀での殺陣、縄を使った攻撃、蹴りなどの体術……といった様々なアクションの中で、1カ月トレーニングをして特に難しかったのは?
「敵役の人とタイミングを合わせるのが難しかったし、刀を振ると止めるとき物理的に力が要るので、すごく疲れて大変でした」。
――ということは、大勢の敵をバッサバッサと斬っていくところは特に頑張ったとか?
「はい。刀をシュッ、シュッと鋭く振らないと強そうに見えないじゃないですか。筋肉が弱いとヘニャヘニャとなっちゃうから、そこを上手にやるのがすごく大変で、最初は筋肉痛になったし、脚とかにアザもできました」。
――総合演出でアクションを手掛けた坂口拓さんは小倉さんについて、「初見では『本当にこの子で大丈夫かな?』と感じた」とコメントしていますが、やっぱり最初は苦戦したんですか?
「全然ダメでしたね。基本的な動きをチェックして、受け身とかをやったんですけど、坂口さんは素直な方だから見る気をなくしちゃったんです(笑)。でも、徐々に見てくれるようになりました」。
――坂口さんが「タイトなスケジュールの中で忍術を体得し、くノ一(くのいち)として最高の芝居をしていただけた」ともコメントしている通り、相当努力したんでしょうね。
「終始『弱い』と言われてましたけど(笑)、短いトレーニング期間だったので、できることとできないことを振り分けてもらって、できそうなことを強化しました。だから、難しいことが練習してできるようになったわけではないです」。
――縄をふるって戦うところもカッコ良かったですが、あれは初めからうまくできたのですか?
「縄は最初から結構得意だったんですよ。いろいろなことをやった中で『一番うまいね』と言われました」。
――アクションのために自主練みたいなこともしました?
「体幹トレーニングくらいです。家で暇なときに逆立ちをしてました(笑)。坂口さんが逆立ちを勧めてくれたんですよ。『やるとすごくいいぞ』と言われたので、やってました」。
――実際、逆立ちが役立った感覚はありました?
「ありましたね。体幹が鍛えられるし、胃下垂も改善されて一石二鳥でした。お腹がポッコリするのが直ります。起き上がって、しばらくすると元に戻りますけど、ずっと続けていれば、へこんだままでいられる気がしました」。
――自分で試写を観たと思いますが、アクションの部分で特に注目してほしいシーンはどの辺ですか?
「刀やロープを使うところ以上に、素手同士で戦うシーンが迫力あったと自分では思っているので、ぜひ見てほしいです。音楽や編集の力もあるんでしょうけど、全体的に思ったよりカッコ良く仕上がっていてうれしかったです」。
幸せだった過去を回想する
作品に弱くて泣いてしまいます
――マコの人物像については、どう捉えました? “いじめられっ子の高校生”となっていますが、気の強いところもあるようで。
「その通りで、ただのいじめられっ子でナヨナヨしている感じではなく、芯があるんです。だから『なぜいじめに反撃しないんだろう?』ということは細かく考えました。マコは大人というか、達観した考え方を持っているイメージがあるので、『仕返ししたところで……』と相手にしない気持ちだったのかなと思います」。
――小倉さんが同じ立場だったら?
「私はその場でやり返します(笑)」。
――退学を強要してくる教師に対して、急に「お前らに決められたくないって言ってるだろうが!」と激高したりしていました。そういう場面は自然に演じられました?
「普段、怒ったとしてもケンカをしても、『だろうが!』なんて言葉はあまり使わないじゃないですか(笑)。マコはヤンキーではないので、それを自然に言えるようになるまでは難しかったです」。
――逆に「もうこの世界でやっていけないよ」と泣く場面もありました。
「そこは最初はスムーズにできていたんですけど、何テイクも撮るうちに涙が出なくなり始めたんです(笑)。でも、何とかやり切りました」。
――小倉さん自身は感情の波は激しいほうですか?
「切り替わりは早いです。何かがあったわけではなくても、環境が変わると自分もパッと変わります。怒っても、すぐ忘れる。『こいつは許さない!』と思っても、忘れてやさしくしちゃって、あとから『ヤバい!』となります(笑)」。
――やさしくできたなら、いいじゃないですか(笑)。
「人前で爆発することはないですけど、泣くことはよくあります。小説を読んだり映画を観たりするとよく泣きます。あと夢で泣くことが多いですね。はっきり覚えてないんですけど、悲しい感じの夢を見て泣きながら起きるといったことがありました」。
――小説や映画だと、どんな作品で泣きました?
「最近だと『ロリータ』という映画ですね。リメイクされたほうを観て、最後のところで泣きました。めちゃくちゃ幸せだった過去があったのに、現在はそうではないという内容なんです。そういった回想する作品に弱くて……。今、思い出しても泣けてきちゃった(涙)。さっき言った『アレックス』も、アニメ映画の『秒速5センチメートル』もそうなんです。泣かせにきているのはわかっているんですけど、泣いてしまいます」。
――マコは「居場所がほしい」とも言っていました。
「私は16歳くらいで一人暮らしを始めて、頼る場所や人がいないわけではないけど、遠かったから実質的に孤独で……みたいなことはありました」。
――女の子とのキスシーンもありましたが、撮るときは緊張しました?
「しなかったです。それよりクライマックスでだまし討ちするところがあって、そこの演技には気合いを入れました」。
――グラビアでの経験が演技に生きるところはありますか?
「あるんじゃないですかね? カメラの角度や映り方を知っているので、演技中は意識しませんけど、アクションや見せる部分を撮るときに役立っているかなと思います」。
――なるほど。ところで小倉さんは今年9月で20歳になりました。10代の頃に「20歳になったらビールを飲んでピザを食べたい」と発言してましたが、それはやってみました?
「ビールを飲んだらおいしいと思わなかったので(笑)、ワインにしてます。ピザも今はグルテンフリーを徹底していて食べないから、まあ、ワインと焼肉ですね」。
――年末年始にも飲みますか?
「年明けは1月13日に成人式があるので、ちょっと早めに地元に帰って、初めて中学の頃の友だちと飲みます。久しぶりだし、せっかくみんな20歳になったので、クラスや学年で集まるのが楽しみですね」。
――来年も演技にグラビアに活躍を期待してます。
「無駄な時間があるのがイヤなので、常に何かをしていたいです」。
小倉優香(おぐら・ゆうか)
生年月日:1998年9月5日(20歳)
出身地:千葉県
血液型:AB型
【CHECK IT】
2017年4月に「週刊ヤングマガジン」(講談社)の表紙・巻頭でグラビアデビュー。“リアル峰不二子”として注目される。女優としての主な出演作は、ドラマ「人狼ゲーム ロストエデン」(tvkほか)、「チア☆ダン」(TBS系)、「恋のツキ」(テレビ東京系)、映画「人狼ゲーム インフェルノ」など。初主演映画「レッド・ブレイド」は12月15日(土)より公開。舞台「呪いの万華鏡~図地反転~」(12月21日(金)~24日(月)/劇場HOPE)と舞台「呪いの49日~表と裏~」(12月19日(水)~23日(日)/テルプシコール)に、ともに主演で出演。
詳しい情報は公式HPへ
「レッド・ブレイド」
詳しい情報は「レッド・ブレイド」公式HPへ