PICK UP ACTRESS 大友花恋
PHOTO=河野英喜 INTERVIEW=斉藤貴志
配信ドラマ「妖怪人間ベラ~Episode 0~」に主演
「おカネの切れ目が恋のはじまり」では25歳の秘書役
――主演したドラマ「妖怪人間ベラ~Episode 0~」では、序盤から叫び声を上げていました。
「私が演じた大野詩織という女子高生は、転校してきたベラに終始おびえて、過去のトラウマと向き合う役だったので、恐怖におののいたり叫ぶシーンがとても多かったです。私はホラー作品に参加したことがあまりなかったので、どういうお芝居をしたら皆さんにドキドキしてもらえるか、ずっと考えていました」。
――日常で叫ぶことって、あまりないですよね?
「なので、たくさん練習しました。おうちで『キャーッ!!』と叫ぶわけにもいかないので(笑)、カラオケボックスに行って、タオルで口をふさぎながら叫びました。ただきれいに『キャーッ』と言ってしまうと恐怖感が伝わらないと思って、少し声を震わせたり、ガチャッとした声を出すようにしました」。
――そこまで研究したんですね。
「撮影していて気がついたのは、ずっと叫んでいても、私の喉は意外と強くて。スタッフさんには『声が嗄れちゃうから、テストでは本気を出さなくていいよ』と言っていただいて、のど飴や飲み物を用意してくださったんですね。ても、そういうものに頼ることなく、最後まで乗り切れました」。
――詩織が叫ぶ場面は、CGを使ったところが多かったのでは? 実は妖怪人間のベラが自分で校舎の屋上から飛び降りて、ポールに串刺しになっていたり。
「現場では『ここに刺さってます』と言われて、実際は見てないものを想像してお芝居をするのは、とても難しかったです。完成して観たら、イメージしたものよりもずっと怖かったこともありました。声にならない悲鳴とか、怖すぎて何もできないとか、わかりやすく叫ぶだけではないシーンも多くて、監督さんに指導していただきながら、口が震えているだけとか、パクパクして息もできない感じとか、いろいろ挑戦しました」。
――ホラー作品は観てはいたんですか?
「苦手です。撮影中も『こんなに血が出てる!』とか『いきなりこっちを向くの?』とか、本当に怖くて……(笑)」。
――そういえば以前、「ほんとにあった怖い話」を観ていて足がつった話を聞きました(笑)。
「女性マネージャーさんに『IT』に連れていかれたこともあります。『席を予約しておきました』と言われて、映画館の端っこの席でずっと隣りのマネージャーさんの腕を掴んで、パーカーをかぶって観ました。そのときも怖すぎて、危うく全身がつりそうになったんです(笑)。そんな自分がホラーをできるのかな……という不安はありました」。
――その分、リアルな恐怖感が出ていたようです。
「妖怪人間の手が生々しくて(笑)、現場でベラ役のemmaちゃんが付けるたびに、『ウオーッ!』と盛り上がりました。リアルに怖くて気持ち悪い手だったので、『わっ!』というリアクションは取りやすかったです」。
――あと、詩織は心療内科に通っていて、精神的に病んでいるところもある役でした。
「怖い作品とはいえ、詩織が感じていることはお芝居としてリアルなものなので、そこはホラーを意識せず、役としての感情を持って演じたいと思いました」。
――現場であまり話さないようにしていたり?
「撮影場所の近くのホテルにみんなで泊まりこみだったので、役の気持ちで思い詰めようとしたら、本当にずっと思い詰めてしまうので、逆にオンとオフの切り替えはきっちりしていた気がします。待ち時間はみんなで、クイズやなぞなぞを出し合っていました」。
――撮影は結構前だったそうですね。
「2年前の秋でした。現場で撮影の裏側を見ていたので、自分でドラマを観ても怖くないかと思ったら、もう新鮮な感覚になっていて怖かったです。いつもなら『ぜひ観てください』とオススメするところですが、今回は無理せず観ていただけたら(笑)。もちろんホラーや『妖怪人間』シリーズが好きな方には満足していただけると思います。私みたいにホラーが苦手な方も、友だちや家族と観たら、キャーキャー盛り上がれるのは間違いありません(笑)」。
――そして「おカネの切れ目が恋のはじまり」では、公認会計士の秘書で25歳の役を演じます。
「自分より5歳年上で社会人の役です。牛島瑠璃というできる秘書で、テキパキ、ピシパシしていて。私はまったり、ゆったり、フニャフニャしていることが多いので(笑)、普段とメリハリを付けられたらと思いました」。
――仕事ができるところを見せるシーンもあるんですか?
「三浦翔平さんが演じる早乙女さんと一緒にお仕事しているシーンが多くて、ヒールがある靴での立ち姿から意識しました。背筋を伸ばして凛とした感じで、『これ確認しておきました』と書類を渡すときにピタッと動きを止めたり。タイミングとかテンポの良さとか、どうしたらできる秘書に見えるか、いろいろ考えました」。
――パソコンを打ったりも?
「そういうシーンもありました。でも、私はパソコンは全然打てなくて、ブラインドタッチもできないので、そこは『できてます。できてます』という表情で乗り切りました(笑)」。
――秘書ってどういうイメージがありました?
「秘書検定の本を読んで、人間力が必要なお仕事だと感じました。季節ごとに暑中見舞いを出したり心遣いをして、扉を開けたりエレベーターのボタンを押したり。周りの人全員に目を配って、行動の三つ四つ先を見て、やらなきゃいけないことをいくつも同時にこなす。人間として相当器用でないとできませんよね。現場ではまず、ちゃんとした人でいようと思っていました」。
――25歳という部分も意識したんですか?
「はい。声を普段より少し低めにして、抜けていかないようにしました」。
――そういうところから役を作っていったんですね。
「仕事ができてクールという設定はあっても、秘書だから人とソフトに接する時間もあって。そのバランスは現場でご指導いただいて、調整していきました」。
私は清貧系で買ったものはずっと使って
祖母と母が使った鏡台も譲り受けました
――瑠璃は早乙女を巡って主人公の九鬼玲子(松岡茉優)の恋敵でもありますが、バチバチするシーンもありますか?
「静かなバチバチという感じです。心の中でライバル心を燃やしました。私は松岡さんのファンなので、そういう関係でお芝居をできることは光栄でしたし、ついていけるか不安もありました。でも、松岡さんが待ち時間に『やりにくくない?』とかやさしく話し掛けてくだって、とても幸せで勉強にもなりました」。
――松岡さんは空気で見せるお芝居も絶妙で、渡り合うのは女優冥利でしょうね。
「真正面で見つめ合って話すシーンはシビれました。『私が松岡さんとバチバチしている……』と感動して、もっとお芝居を頑張りたいと改めて思いました」。
――ドラマのテーマが“清貧女子×浪費男子”ですが、花恋さんはどっち寄り?
「私は清貧系だと思います。台本で九鬼さんがひとつのものを買うのにとても悩んで、一度買ったものはずーっと使っているのを、私は納得できました。こういう生き方が理想だと思いながら読んでいました」。
――花恋さんも実際に長く使っているものがあるんですか?
「基本的にずっと使えるものを買うことに決めていて、物は少なければ少ないほどいいと思っているので、新しいものは簡単には家にお招きしません(笑)。筆箱は高校3年間、同じものでしたし、台本カバーはこのお仕事を始めた最初の作品から8年くらい使っています」。
――日用品もそういう感じ?
「お財布はお誕生日にいただいたのがもう3年目くらいで、今後も変える予定はありません。あと、この夏から、母が使っていた鏡台をずっと使おうと決めました。母が『もう処分しようと思う』と言っていたのが悲しくて、譲り受けたんです」。
――お母さんが使っていたものなら、かなりの年季もの?
「母も祖母からもらったものらしくて、本当に家に長年ありました。ベッドも同じように譲り受けて使っていて、これからそういうものがいっぱい増えていけばいいなと思っています」。
――節約もしていますか?
「お金を使うのは1日いくらまでと決めていて、その中でやり繰りしています。『今日はいくら使ったから、明日はいくらにしよう』と考えて、レシートも全部確認して、ノートに付けています」。
――衝動買いはしませんか?
「絶対しません。お洋服とかいいと思っても、その場では買わず、一度家に帰って考えて、『あれはやっぱり買うべきだった』と思ったら買いに行きます。あと、買う前にネットで見て『これが欲しい』と心に誓ったものをお店で見て、実際に試着してから、もう一度考えます」。
――本当にしっかり者ですね。それから、山里亮太さんが実在のタレントさんからイメージした短編小説集が原作のドラマ「あのコの夢を見たんです。」にも出演。
「山里さんに自分のお話を書いていただいて、『いつかお芝居にできる日が来たらいいですね』とお話ししたことがありました。私が全国高等学校サッカー選手権大会の応援マネージャーをやらせていただいたときに書いてくださって、サッカー部のマネージャー役なんです。太陽みたいに明るい女の子で、教室の隅で人の悪口を言っている“闇4″という4人組にも、どんどん話し掛けて仲良くなろうとします」。
――山里さんは花恋さんにそういうイメージがあったんでしょうね。
「実際の私とは少し違います(笑)。役はネガティブなところがまったくなくて、すべてを包み込むキラキラした女の子で、私は人に話し掛ける前にいろいろ考えてしまったり、『大丈夫かな?』と悩むタイプなので。何でも弾き飛ばして笑える活発さは憧れで、理想の女の子だと思いながら演じました」。
――盛りだくさんな秋で、10月には21歳の誕生日もあります。20歳になってから、もうすぐ1年ということで。
「意外と変わらないままでした(笑)。でも、自分で考えて行動することを意識するようにはなって、21歳だと20歳とまた違う大人らしさが必要だと思うので、年齢に見劣りしない人でいたいです」。
――外出自粛中に考えたこともありますか?
「どういう生活が自分に合っていて、何をしているときが一番楽しいのか。どんなことに挑戦したいか。そういうことを考えました。私はアウトドアな人間で、ずっと家にいるのはなかなか大変だったのが、家でもこう過ごせば楽しいとか、やっと見つけられて。今思えば、とても意味のある時間でした」。
――家でどんなことをしていたんですか? 『あつ森(あつまれ どうぶつの森)』をやったり?
「出遅れてしまって、欲しいと思ったときには手に入りませんでした。それで、ずっと料理をしていました。じっくり煮込んで角煮を作ったり、サムゲタンに挑戦したり」。
――「愛の不時着」を観たりは?
「観ました。『梨泰院クラス』も観て、韓国ドラマを観始めたのが一番大きかったかもしれません。日本のドラマとは雰囲気が全然違って、自分のお芝居にも活かしたいと思いました」。
――どんな部分を活かそうと?
「私は韓国語はわからなくて、『表情だけでもここまで伝えられる』というのは発見でした。改めて表情のお芝居について考えました」。
――さっき出た「挑戦したい」というのは、どんなことですか?
「もっといろいろな雑誌に出てみたいとか、バラエティでの新しい立ち位置とか。『カネ恋(おカネの切れ目が恋のはじまり)』の瑠璃さんのようなお仕事をしている役も、やってみたいと考えていました」。
――それは叶ったわけですね。差し当たって、この秋にしたいことはありますか?
「栗とか秋の果物を使ってスイーツを作ってみたいです。私はお料理はしても、スイーツやデザートはハードルが高いと思っていたので、レベルを1個上げたいです」。
――自分でレシピから考えて?
「レシピ本やネットで調べて作ることが多いです。基礎がわかったタイミングで、自分なりのアレンジを探します」。
――秋のフルーツスイーツのイメージはあるんですか?
「タルトみたいなものを作ってみたいです。生地もいろいろな作り方があって、クッキーを砕いてバターで固めるとか、簡単なやり方もあるみたいなので。出来上がったらインスタに載せたいと思います」。
大友花恋(おおとも・かれん)
生年月日:1999年10月9日(20歳)
出身地:群馬県
血液型:A型
【CHECK IT】
2012年にドラマ「結婚同窓会~SEASIDE LOVE~」(CSフジテレビTWO)で女優デビュー。主な出演作はドラマ「お迎えデス。」(日本テレビ系)、「チア☆ダン」(TBS系)、「いつか、眠りにつく日」(FOD/フジテレビ=連ドラ初主演)、「あなたの番です」(日本テレビ系)、「新米姉妹のふたりごはん」(テレビ東京系)、映画「案山子とラケット~亜季と珠子の夏休み~」、「君の膵臓をたべたい」など。また、2013年に「ミスセブンティーン」でグランプリを受賞し、「Seventeen」(集英社)専属モデルに。「王様のブランチ」(TBS系/土曜9:30)に出演中(3週に1回)。ドラマ「妖怪人間ベラ~Episode 0~」(Amazonプライム他にて配信中)、「おカネの切れ目が恋のはじまり」(TBS系/火曜22:00~)に出演中。10月スタートのドラマ24「あのコの夢を見たんです。」(テレビ東京系/金曜24:12~)に出演。
詳しい情報は公式HPへ
「妖怪人間ベラ~Episode 0~」
詳しい情報は「妖怪人間ベラ~Episode 0~」公式サイトへ
(C)ADK EM/妖怪人間ベラ製作委員会
「おカネの切れ目が恋のはじまり」
詳しい情報は「おカネの切れ目が恋のはじまり」公式サイトへ
(C)TBS
ドラマ24「あのコの夢を見たんです。」
詳しい情報はドラマ24「あのコの夢を見たんです。」公式サイトへ
(C)「あのコの夢を見たんです。」製作委員会