PICK UP ACTRESS 桜田ひより
PHOTO=河野英喜 INTERVIEW=斉藤貴志
「ホットギミック ガールミーツボーイ」に
ヒロインの妹の、恋に奔放な中学生役で出演
――ひよりさんはいつも、難しそうな役を「自然にやりました」とさらっと言いますが、「ホットギミック ガールミーツボーイ」で演じた恋愛に奔放な茜も、そんな感じでした?
「そうですね。茜ちゃんは表向きは天真爛漫で明るくて、でも本音は心の中に隠していて、それを幼なじみのすばる君だけに話すんですね。相手によって接し方が違うのは、意外とやりやすかったです。私自身も自分の本音を話すタイプではないので、そこは似ている部分でもありました」。
――スタッフさんから「ひよりがすごく頑張っていた」と聞きましたが、自分でもいつにも増して頑張った感覚はありました?
「どうだろう? 茜ちゃんは人見知りをしないで誰とでも仲良くなれる女の子なので、私も空き時間とかにいろいろな方とお話はしました。お姉ちゃんをすごく好きなことも伝わってくる役で、現場でも姉の初(はつみ)役の堀未央奈ちゃんと一緒にいたので、未央奈ちゃん自身と私の関係性や信頼感も映画に出ていると思います」。
――カラオケボックスで2人でジャレ合うようにしながら歌っていたシーンはノリノリで?
「あそこは一番自分の感情を爆発させて、お互い思っていたことを全部ぶつけるシーンでもあったので、和気あいあいというより、真剣な感じで集中してやってました」。
――普段はカラオケって行くんですか?
「はい。『カブトムシ』とかaikoさんの曲を歌うことが多いです。あと、今回の映画と同じ山戸(結希)監督のAimerさんのMVに出させてもらったことがあって、そのときの『Ref:rain』という曲も歌います」。
――恋愛に関して初は奥手で、茜は奔放。でも、茜が好きなすばるは初が好き。茜が「初ちゃんが頑張ったら、茜はきっと勝てない」と言うシーンもありましたが、茜は初を好きな一方で、ライバル心もあったのでしょうか?
「初ちゃんは自分に自信がない子で、茜ちゃんはそれをすごく気にして『全然そんなことないよ』と言っているのに、初ちゃんは『いや、私なんか……』って聞き入れてくれない。ライバル心があるわけではなくて、自分の考えていることが初ちゃんに伝わらない切なさのほうが強いと思います」。
――その辺のシーンとか、ひよりさんの泣き顔は何かすごく胸に響きます。
「本当ですか(笑)? 普段はあまり泣くことはなくて、役の気持ちになっているだけです。役作りをする上で監督とお話して、2人で共有した部分を意識しながら演じたら、自然とそういう気持ちになることが多かったです」。
――山戸監督について「私の意見を尊重してくれた」とのコメントもありましたが、どんな意見を出したんですか?
「それは2人の秘密にしている部分もあるので、全部は言えないんですけど(笑)、監督と意見交換させていただいて、『茜ちゃんが一番に思っていることはこう』というところで、私自身のことにもいろいろ触れて考えてもらいました」。
――山戸監督ならではだと思った演出はありました?
「はい。MVのときにも感じたんですけど、意志の強い方で、繊細な中に目指しているものがハッキリしているので、『ああ、そうか』って共感できました」。
――具体的に言われて印象的だったことは?
「しゃべっていると言葉というより、言葉にならない感情がすごく伝わってくるんです。同じ空間にいて感情を共有できるので、居心地が良かったです」。
――たぶんひよりさんとの相性も良かったんでしょうね。撮るときに緊張したシーンはありませんでした?
「緊張というより、ずっと頭の中がグルグル回った状態でやっていました。自分の感情より、相手の感情を受けて演じることが多かったと思います」。
――その場で自然なリアクションをしていたわけですか?
「そうですね。本番でもいろいろテイクを撮って、未央奈ちゃんからも毎回受け取るものが違ったので、そこは演じていて楽しかったです」。
役で恋愛は経験しているので
プライベートでは考えません(笑)
――堀未央奈さんのことは乃木坂46で見てました?
「見てました! 本当によく知っていて、初めて会ったときは密かに『あーっ! 未央奈ちゃん!!』と喜んでました(笑)」。
――イメージと本人のギャップはなかったですか?
「『大人しい方かな?』と思っていたんですが、イメージ通りで、そこは初ちゃんと似ている部分がありました。自分が本当に思っていることを人にあまり伝えない繊細なところは、初ちゃんそのまま。でも、そこに未央奈ちゃんなりのやさしさがあって、親近感が湧くというか、ずっとそばにいたい気持ちになりました」。
――茜が寝ている初を見て「かわいい。赤ちゃんみたい」と言う場面もありましたが、それも未央奈さんからリアルに感じました?
「リアルでしたね。年は6つくらい離れてますけど、年齢差を感じさせなくて、私にとっては同級生のように感じました」。
――自分で特に好きなシーンはありますか?
「初ちゃんとベッドで寝ているシーンは記憶に残ってます。撮影に5~6時間かけて、すごくこだわった場面でもあったし、姉妹の絆を寝ている中で表現するのは難しかったんですけど、完成した映画を観て『こういうふうになったんだ!』とビックリしました。画もすごくきれいで、お気に入りのシーンです」。
――確かに美少女姉妹の麗しさが出ていましたが、何分もない寝ている場面に5~6時間かけたとは、きれいな画にするためのこだわりがあったのでしょうか?
「監督がこだわっていたことがあって、それに私と未央奈ちゃんがついて行った感じでした」。
――あと、最後のほうで茜とすばるがベーグルを食べてるシーンも良かったです。
「茜ちゃんのずっと伝えられなかった想いがそこで出ていて、私も好きです。そのシーンの前も、監督と茜ちゃんの感情についてお話させていただきました。撮り終わった後に監督に呼ばれて、『ひよりちゃんが茜役で良かった』と言ってもらえて、すごくうれしかったです」。
――茜は奔放なようで、すばるには一途ですよね。その辺の気持ちはわかりました?
「そうですね。すばる君はすごくやさしい男の子だと思いました。茜ちゃんたちのお兄ちゃんとはまた違うやさしさで、こういう10代の男の子が本当にいそう。その良さを一番わかっていたのが、茜ちゃんだったと思います」。
――だけど、すばるはハッキリしないと思いません(笑)?
「でも、それも彼のやさしさだと茜ちゃんはわかっていて、その部分も含めて一途に好きなんだと思いました」。
――そんな一途さはひよりさん自身にもあるもの?
「私はこのお仕事を5歳からやっているので、そういう意味では一途なのかなと思います(笑)」。
――この映画では初と3人の男性の恋模様が描かれてますが、茜とすばるも含めて、あまり楽しそうな恋愛がないですよね(笑)。
「確かにキュンキュンする感じではなくて、あまりないような恋愛モノですね」。
――ひよりさんだったら、どんな恋愛に憧れます?
「役でそういう経験をしているので、あまりプライベートで考えることはないです(笑)」。
――では、仕事以外では何をしてるときが楽しいですか?
「犬と遊んでるときが一番楽しいですね。ずっと飼いたくて『自分でお世話できるようになったら……』と言われてきて、去年の12月にやっと飼えたんです」。
――家に帰ったら、ずっと遊んでいたり?
「そうですね。でも、物を投げると取りに行くんですけど、私の元には戻ってこないんです(笑)。だから一方通行で、自分1人で遊んでるような感じもします(笑)」
桜田ひより(さくらだ・ひより)
生年月日:2002年12月19日(16歳)
出身地:千葉県
血液型:A型
【CHECK IT】
小学6年生のときにドラマ「明日、ママがいない」(日本テレビ系)に出演して注目される。主な出演作はドラマ「ワイルドヒーローズ」(日本テレビ系)、「ホクサイと飯さえあれば」(MBS・TBS系 ほか)、「犯罪症候群」(東海テレビ・フジテレビ系)、「あなたには帰る家がある」(TBS系)、映画「にがくてあまい」、「東京喰種 トーキョーグール」、「咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A」、「祈りの幕が下りる時」、「ういらぶ。」など。「ミスセブンティーン2018」に選ばれ、「Seventeen」(集英社)の専属モデルに。主演声優を務めたアニメ映画「薄暮」と、映画「ホットギミック ガールミーツボーイ」が公開中。「東京喰種 トーキョーグール【S】」が7月19日(金)、「男はつらいよ お帰り 寅さん」が12月27日(金)より公開。
詳しい情報は公式HPへ
「ホットギミック ガールミーツボーイ」
詳しい情報は「ホットギミック ガールミーツボーイ」公式サイトへ
©相原実貴・小学館/2019「ホットギミック」製作委員会