PICK UP ACTRESS 山口まゆ

PICK UP ACTRESS 山口まゆ

PHOTO=河野英喜 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

映画「僕に、会いたかった」で都会育ちの高校生役
“島留学”に来て記憶を失くした主人公と触れ合う

 
 

――髪をバッサリ切ったんですね。

「ドラマ(ストロベリーナイト・サーガ)の役のために切りました。ずっとロングだったので、ショートは4歳以来ですね」。

――気分が変わったりもしました?

「すっごく変わりました。気持ちもサッパリしたというか、重かったものが髪と一緒に取り去られて、新鮮で楽しいです」。

――髪のお手入れも楽になったでしょうね。

「切った日のお風呂では、いつもは髪をギュッと絞って水を払っていたのが、『あれ? 髪がない』って、ちょっとビックリしました(笑)。あと、ドライヤーが楽になりました。前は乾かすのに時間がかかって手が疲れましたけど、今はバーッとやれば終わります(笑)」。

――ショートにした自分の見た目については?

「印象が結構変わって、自分でも『エッ?』となりました。前に短かったのは物心がつく前だったから、『こういう自分もいるんだ』と思います。でも、ずっと髪を切りたかったので、うれしかったです」。


――映画「僕に、会いたかった」でのまゆさんは、まだ長い髪。いつ頃に撮ったんですか?

「ちょうど1年くらい前、去年の春に隠岐島に行って、1カ月くらい撮影しました」。

――まゆさんは島ロケには馴染む感じ?

「島や地方での撮影をやらせていただくことは多いんです。自然は好きですし、東京生まれなので昔から地方に憧れがあって、お仕事で行けるのはラッキーな感じがします(笑)」。

――都会からたまに島に行くと新鮮かと思いますが……。

「私は1カ月いても、全然苦ではなかったです。むしろ楽しくて、東京に帰りたくないくらいでした(笑)。高校生役の5人がみんな同じ民宿に泊まって、宿の方とすごく仲良くなって、お手伝いとかもしていたんです。普通の宿泊客の方たちの食事が終わると、みんなでお膳を下げて洗い物をして、終わると『何を食べたい?』と聞いてくれるので、たとえば揚げ物とか言うとバーッとまかないで出してくれました。新鮮なサザエを食べさせてくれたこともあります」。

――島だと海産物はおいしそう。

「そうでした。サザエはみんなで100個くらい獲って、ゆがくのを手伝うと『ありがとう』って食べさせてくれたりもして、本当に楽しかったです」。


――劇中では、まゆさんが演じためぐみと一緒に島留学した愛美(柴田杏花)が「コンビニが恋しい」と言ってましたが、そういうこともなく?

「私はあまり苦に感じなかったかもしれません。苦になる方もいらっしゃると思いますけど、私は都会に飽きちゃって(笑)、ああいう環境が本当に良いなと感じました。釣ったお魚で料理するのも楽しくて、仕事をしてなかったら、よく島に行っていたと思います」。

――撮休の日とか、都会的な遊ぶスポットがなくて、退屈したりもしませんでした?

「全然なかったですね。時間が空いた日は『釣りに行こう』って誘ってもらったり、みんなで当てもなく散歩して探検とかしました。あと、民宿をやっているご夫婦の兄弟かいとこのおじさんがいて、私たちをすごくかわいがってくださったんです。槍みたいなものでウニやナマコを獲って、その方の家でバーベキューしたり、タケノコを獲って茹でて食べたりもしました」。

――楽しそうですね。映画の中では牛が近くを歩いてましたが、実際にあんな感じで牛がいるんですか?

「いましたね。車に乗っていたら目の前に牛が出てきて、『ここはサファリパーク?』という感じでした(笑)。でも、牛より放牧の馬のほうが多かったかもしれません。道路とかに普通に馬がいて、ビックリしました」。

――まゆさんはそういう動物が怖いとかもないですか?

「なかったんですけど、動物のほうが人間慣れしてないみたいで、地元の方に『近づくと威嚇されるから気を付けて』と言われていて……。ちょっと離れたところから、写真を撮ったりしてました」。


 
 

自分の気持ちをうまく表現できないけど
意志が強くて大人な心を持つ役でした

 
 

――めぐみは東京から島留学にやってきた高校生で、口数は多くないけどよく微笑んでいて、まゆさんが演じることの多い闇を抱えた子ではなかったですね。

「映画の中では不思議ちゃんとかフワフワした子に見えると思いますけど、島に行くという人生の中で大きな決断をしためぐみは、意志の強さや勇気が私より全然あって、尊敬できました。自分の気持ちをうまく表現できなかったり、素直になるのが恥ずかしいのか、みんなをちょっと引いた位置から見てましたけど、すごく大人な心を持っていると思いました」。


――めぐみの育った環境が、彼女を大人にしたんでしょうか?

「それもあるとは思います。でも、ちゃんと愛情を注がれて育てられて、何かが欠けているようなことはなくて……。ああいう状況で東京にいたら、反抗して非行に走っちゃうこともあるじゃないですか。でも、めぐみはそうならなかった。『ちゃんと育てられたからだよね』と監督とも話しました。変わった子でもないし、重いものを抱えているわけでもない。島に来たのは勇気があるけど、普段は普通に明るい女の子なのかなと思います」。

――成績も優秀のようでした。

「そうですね。だから、あまり考えすぎずに自然体で演じました。東京と違う環境に来て、島の方は距離感が近いので、そこにうまく流されることもめぐみには大事かなと思って、馴染めるように頑張りました」。

――主人公で記憶をなくしている徹(TAKAHIRO)との接し方も、そこまで考えずに演じた感じですか?

「それは考えました。遠くから見ている描写が多いんですけど、そこに複雑な感情がありましたし、めぐみの年齢ならではの感情をうまく表現できない不器用なところが出ていたかなと思います」。

――さっきもちょっと出ましたが、まゆさんも高校時代に今の仕事をしてなくて島留学を知ったら、興味を惹かれそうでした?

「はい。すごく良い経験になると思います。友だちと行くとまた別で、1人で行くことに意味があるというか……。『怖がらずに行ってみたら意外と大丈夫なもの』と、海外留学した人も言うじゃないですか。そんな感じだと思うし、島の方は本当に温かいので、この映画を観て興味を持ったら、ぜひ心配せずに行ってほしいです」。

――めぐみは島の風景をいろいろ写真に撮ってました。まゆさん自身も写真は趣味でしたっけ?

「そうなんです。映画では島から送られてきた写真がキーだったので、監督と『めぐみも写真が趣味の子にしよう』と話して、自分のフィルムカメラも島に持って行ったんですね。現場に行くフェリーに乗るとき、朝日がきれいだったので普通に写真を撮っていたら、『カメラを持ってるの?』と言われて、そのまま映画の撮影で使うことになりました。だから、劇中のカメラは私物なんですよ(笑)」。

――今の時代にあえてフィルムカメラを使っているんですか?

「はい。フィルムの質感が好きなんですよね。デジタルカメラも持って行きましたけど、やっぱりフィルムのほうがいいなと思って、ずっとそっちで撮ってました」。

――まゆさんは4月から大学生になりました。仕事一本という選択はしなかったんですね。

「特別に行きたい学校がなくて、島でみんなで映画を作ったのがすごく楽しかったから、大学はやめようかとも考えました。でも、諦めかけていた学校があって、そこだと映画製作のことも学べるんです。無理かもしれないけど、とにかく捨て身で受けて、落ちたら仕事一本にしようと決めました。それで必死に勉強したら、何とか合格できたんです。だから、今回の島での撮影がきっかけになった部分もありました」。

――どんな女子大生ライフを送ろうと思っていますか?

「まずガイダンスに行ったとき、急に『服をどうしよう?』と思っちゃいました(笑)。毎日着て行く分の服がなくて、ドキドキしてます。でも、サークルに入ったり、友だちを作って一緒にごはんを食べたりしたいです。ガイダンスで早速1人、友だちができました」。


――高校生のときは、「クラス替えして、なかなか友だちができない」という話を聞きました。

「人見知りなので自分からは行けないんですけど、向こうから話し掛けてくれたんです。来てくれたら、こっちも行くという、偉そうなスタンスになっちゃってますけど(笑)」。

――新生活の中でチャレンジしたいこともありますか?

「すごく海外に行きたいんです。この前とりあえずH.I.S.に行って、一人旅ならどこがいいかとか予算のこととか、いろいろ聞いてきました。最初はアジアがいいという話だったので、ベトナムに行ってみようかと思っています。まず旅のしおりというか(笑)、計画から立てたいです」。

 
 


 
 

山口まゆ(やまぐち・まゆ)

生年月日:2000年11月20日(18歳)
出身地:東京都
血液型:A型

 
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2014年に「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」(フジテレビ系)でドラマデビュー。主な出演作はドラマ「アイムホーム」(テレビ朝日系)、「リバース」(TBS系)、「明日の約束」(カンテレ・フジテレビ系)、「駐在刑事」(テレビ東京系)、映画「くちびるに歌を」、「相棒‐劇場版Ⅳ‐首都クライシス 人質は50万人! 特命係 最後の決断」など。映画「僕に、会いたかった」は5月10日(金)より全国ロードショー。2020年公開予定の映画「太陽の家」に出演。
 
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「僕に、会いたかった」

詳しい情報は「僕に、会いたかった」公式HP
 

 

 
 

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