PICK UP ACTRESS 安田聖愛
PHOTO=河野英喜 HAIR&MAKE=宮川朋子(エスト・アン)
STYLING=fukami INTERVIEW=斉藤貴志
衣装協力:Elisabetta Franchi (大阪府大阪市中央区南船場2-10-30-303/06-6245-3171)
映画「笑顔の向こうに」でヒロイン
空回りつつ一生懸命な歯科衛生士役
――ヒロインとして出演した映画「笑顔の向こうに」がモナコ国際映画祭でエンジェルピースアワード(最優秀作品賞)を受賞しました。聖愛さんはモナコに赴いて授賞式に出席しましたが、観光する時間もありましたか?
「1日オフがあって、昼から夕方まで観光しました。教会(大聖堂)や海洋博物館に行きました」。
――有名なカジノは?
「建物の前までは行ったんですけど、時間的に中には入れませんでした。すごくきれいだと聞いたので、見てみたかったです」。
――ルーレットでもやって、ひと儲けしてやろうと(笑)?
「そういうのをやりたかったわけではないです(笑)」。
――海外自体が初めてだったんですよね?
「そうなんです。初海外だったので『モナコって、どんなところ?』と聞かれても、他と比べられなくてザックリした説明しかできません。『大阪って、どんなところ?』と聞かれるのと同じ感覚です(笑)」。
――でも、日本ではできない体験や見聞もあったのでは?
「はい。一番楽しみにしていたことでもあって、驚いたのは建物の美しさですね。日本と全然違うと思いました」。
――歴史を感じさせつつメルヘンチックですよね。映画祭でレッドカーペットを歩くのは、どんな気分でした?
「すごく緊張するかと思ったら、映画祭の雰囲気がアットホームで温かかったので、楽しく歩けました」。
――エンジェルピースアワードと発表される前から、作品の反響や評判は耳にしていたんですか?
「それは賞をいただいてからですね。モナコ国際映画祭に出品して、どうなるかはわからないけど、2月の公開に向けたPRもあって行くという、普通のスケジュールとしか考えてなかったから、受賞してビックリしました」。
――聖愛さんは出演者ではありますが、この「笑顔の向こうに」の作品としての面白みはどんなところだと思います?
「幅広い世代の方に楽しんでもらえる豪華キャストですし、ストーリー的にも恋愛が入っていたり、いろいろな要素がありますよね。私は新人歯科衛生士の役なので、これから仕事を始める方や、今まさに新人の方たちに共感していただけそう。年配の方も介護の話とか、共感できる部分があると思います」。
――聖愛さんのお姉さんが歯科衛生士だそうですね。
「はい。偶然にも……」。
――今回、歯科衛生士の真夏を演じるに当たって、お姉さんから話を聞いたりもしました?
「実際に姉が働いている歯医者さんを見学させてもらったり、姉を含め、お友だちの歯科衛生士さんも呼んでもらって、話を聞かせていただきました」。
――演技に役立ったことはありました?
「吸引器の持ち方を教わったり、『歯科衛生士は基本、先生がいるときはこの範囲しか動かないよ』ということも聞きました」。
――そういのが決まっているんですね。
「そうみたいです。『だいたいこの辺にいる』と教えてもらって、実際に診療するシーンがあったので、『こういうことんなんだ』と思いました。実際に器具を口の中に入れる作業は、想像していたより怖いことでした」。
――人さまの口の中だけに?
「そうですね。だから国家試験を受けて取る資格なんだと、改めて思いましたし、姉がすごいことをしていたのもわかりました」。
――真夏は患者の舌を器具で押さえて『痛い痛い!』と言われてました。
「現場に行って『こんな感じです』と指導を受けたんですけど、実際に難しかったです。器具をお口に当てたらいけないし、ずっとブルブルさせているわけにもいかないので」。
――人の口の小ささも感じませんでした?
「自分が歯医者さんに行ったときは、口をすごく大きく開けているイメージでしたけど、処置をする側から見たら、『あっ、小さい。どうしよう?』みたいな感じになりました」。
――真夏は小さい頃は歯医者が大嫌いだったということですが、聖愛さんはどうでした?
「嫌いでした。泣いてましたし、何なら脱走しようともしました(笑)。やっぱり、あの音が痛いイメージがあったんですかね? あと、町の歯医者さんという感じのところに通っていて、先生がちょっと怖かったです(笑)。でも、今は何かあれば行きます」。
――劇中では真夏が新人として失敗しながら頑張っている感じが、よく出ていました。彼女の気持ちは聖愛さんにも覚えのあるものでした?
「私はお仕事的に“就職する”みたいなことはなくて、想像するしかない部分もありましたけど、初めてのことは誰にでもあるので、そういう意味では共感しました。真夏は結構ドジっ子で、私もたまにドジなことをしてしまうので(笑)、そういうときの焦りや『あーっ! やっちゃった……』みたいな気持ちはすごくわかりますね」。
――聖愛さんはどんなドジをやらかすんですか?
「ドジというかおっちょこちょいというか(笑)、すごく細かいことですけど、何でもないところで急に手をぶつけたり、さっきまで覚えていたことを突然忘れたりします(笑)」。
映画が自分のシーンで始まるのは
初めてなのでドキッとしました(笑)
――聖愛さんは14歳で芸能界に入りました。おっしゃったように就職ではないし、年齢も環境も真夏とは違いましたが、新人時代の緊張感は通じるものもありませんでした? 真夏は先輩に「緊張が患者さんにも移っちゃうよ」と言われて、笑顔を作っていましたが……。
「私は逆に緊張しすぎて、笑顔は少なかったですね。本当にガチガチに固まってました」。
――真夏みたいにロッカーの鏡で自分の笑顔をチェックしてから、現場に出たりはせず?
「しなかったですね。14歳だったので、そういうことをする余裕もありませんでした。いまだによく覚えているのが、デビューした頃に何かの番組で、石原さとみさんに『緊張しているときは”私、緊張してます”と言っちゃえばいいんだよ』と教えていただいたことです。それからは緊張しているときは周りに言うようにしたら、前よりはほぐれるようになりました」。
――真夏は何かとメモを取っていました。
「私はその場でメモを取ったりはしませんでしたけど、家に帰ってから、現場で気になったことを日記にまとめたりはしてました。『こんなことがあって、こうしたけど、ここがダメだったと思う』とか」。
――面白かったのが、「小顔になりたい」という理由で親しらずを抜きにきた女子高生の忘れ物に気づいた真夏が、追い掛けて諭して……というシーンです。
「道で小顔体操を教えたのは、斜め上を行ってると思いました(笑)。あの発想は私にはないですね。でも、そこが真夏らしさというか、キャラなのかなと思います」。
――幼なじみで主人公の歯科技工士・大地(高杉真宙)には「名前に似て暑苦しいヤツ」と言われてました。でも、真夏って真面目ですよね。
「すごく一生懸命で、空回りしちゃうけど、真面目だとは思いますね」。
――一方で、今ドキの女の子でもないですか? 大地におごらせたとき、「ストロベリーピンクティーにホイップとカラーマシュマロと……」とか、オシャレっぽい注文をしています。
「そこもですし、私が気になっていたのは、真夏ってよく見ると、服に統一感がないんです。すごくカッコイイ服を着ている日もあれば、フリフリの付いた服の日もあって、そういうところも若い子らしいのかなと思いました」。
――聖愛さんも同じ「若い子」としてわかると?
「そうですね。私は基本、黒が多いんですけど、やっぱりいろいろな服を着たい気持ちはありますから」。
――ラブストーリーの部分だと、真夏は大地のことを昔から好きだったんですかね?
「最初はうっとうしい幼なじみみたいな感じだったと思います。『気分転換に』って江の島に誘ったあたりから、『気になってはいるのかな?』って感じで演じてました」。
――あの江の島デートのシーンは、普通に楽しめました?
「撮影の1日目があの江の島だったんです。まだ高杉さんとの距離が若干ぎこちなかったんですけど、楽しく撮影しました」。
――劇中でいろいろ食べてました。
「アイス最中を食べて、あんなに大きいたこせんべいも買って、『真夏はすごいのを選んだな』と思いました(笑)」。
――大地について「自分に芯があるところがうらやましい」という台詞がありました。聖愛さんから見たら、大地の良さはどんなところだと思いますか?
「私は真夏がなんで大地を好きになったのか、すごく疑問に思ってました(笑)。その謎は解決できてないんですけど、真夏が言ったように大地はやりたいことがブレなくて、仕事に真面目。真夏はそこに惹かれたんでしょうし、幼なじみだからこそ知ってる部分も見て好きになったと思いますけど、私には良さはわかりません(笑)」。
――聖愛さんは大地のどこが好きになれないんですか(笑)?
「全体的に嫌味なヤツの印象があったので、私的には好きになる要素はないです(笑)。でも、真夏として見たら気持ちはわかります」。
――今回は初ヒロインということですが、プレッシャーはありました?
「漠然とした不安みたいなものはありました。全体的に悩みはしましたけど、周りのキャストの方やスタッフさんに助けられて、撮影を終えられた感じです。高杉さんはいっぱい作品に出られているので、すごく引っ張ってもらいました」。
――映画の出だしが、聖愛さんのシーンでした。
「最初に自分が出てくるなんて今までなかったので、ちょっとドキッとします(笑)。恥ずかしいですね」。
――ちなみに、自分でも映画は観ますか?
「最近はドラマを観ることが多いんですけど、もちろん映画も観ます。ぶっ飛んだ作品が好きで、昔から好きなのは『下妻物語』。あれは何度も観たくなりますね。あと、音楽がいっぱい流れる作品も好きです」。
――「ボヘミアン・ラプソディ」とか?
「まだ観てないんですよ~。でも、気になります」。
――最近の休みの日は何をしているんですか?
「去年舞台をやっていたときにドラマを観る時間がなかったので、録り溜めしたのがめちゃくちゃあって、1日じゅう観てたりします。ハマったのは『大恋愛~僕を忘れる君と』と『獣になれない私たち』と『今日から俺は!!』の三つでしたね」。
――自分磨き的にしていることはありますか?
「去年、ジムに通い始めました。でも、舞台の稽古が始まったので2カ月空いてしまったから、今よりもうちょい締めたいなと思います」。
――今でも十分締まってると思いますが……。
「体的な面もですけど、メンタル的な面でも自分を引き締めていきたいです」。
安田聖愛(やすだ・せいあ)
生年月日:1996年6月23日(22歳)
出身地:秋田県
血液型:A型
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2010年の「第35回ホリプロタレントスカウトキャラバン」でグランプリを受賞。2012年に映画「ロボジー」で女優デビュー。主な出演作は映画「まじ、やばい」、「群青色の、とおり道」、「ポエトリーエンジェル」、ドラマ「GTO」(フジテレビ系)、舞台「The Silver Tassie 銀杯」など。「龍角散ののどすっきり飴」、「東京メトロ」、「みずほ銀行」CMがオンエア中。映画「笑顔の向こうに」は2月15日(金)より全国公開。
詳しい情報は公式HPへ
「笑顔の向こうに」
詳しい情報は「笑顔の向こうに」公式HPへ
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