FRESH ACTRESS 吉本実憂

吉本実憂

PHOTO=城方雅孝 INTERVIEW=斉藤貴志

「国民的美少女」から期待の女優に
映画の悪魔のような役で評価高まる

――今年は大忙しでしたね。
「ありがたいことに。でも、楽しかったです。1年をひと言で言うなら『楽しかった』って言葉がすぐ出てきます」。

――充実していたのでしょうけど、体力的にキツかったりもしませんでした?
「寝られないときはありましたけど、自分が好きなお芝居をやれているから寝られないのは、あまり苦ではなかったですね」。

――息抜きに何かしたりは?
「移動中にDVDプレイヤーを持ち歩いて、映画を観るのが気分転換になります。最初は勉強のつもりでしたけど、今は趣味になりました」。

――どういう作品を観るんですか?
「サスペンスや暗い話を好みがちなので、最近はいろいろなジャンルを観るようにしています。山田孝之さんの『手紙』がすごく印象的でした。それは家で観たんですけど、久々に泣きました。あまり映画を観て泣くことはなくて、『手紙』はもう何年かぶりでした」。

――10年ぐらい前の映画を、なぜ今観ようと?
「『この役者さんのいろいろな役を観てみたい』って人で選んだりするんです。山田孝之さんの作品ということで借りたら、ハマっちゃいました」。

――山田さんはすごい役者さんですよね。
「趣味とはいえ、吸収できることは吸収したいと思っていて。ただ観ているだけのときもあれば、『こういう演技をするんだ。私ならどうするかな?』と考えるときもあります」。

――今年ドラマでは派遣社員、女子高生、23歳のお寺の檀家の娘と幅広く演じてきましたが、自然に切り替われるものですか?
「やっていくうちに、ですね。最初は『こういう性格だから、こういうしゃべり方かな』とか考えます。『5→9』の香織なら穏やかな感じだったり、『何を考えているんだろう? 大丈夫かな?』ってところを出したくて、ちょっと声を高めにしたり。そういうことを積み重ねていくと、自然と役になっていきます」。


――香織は料理、茶道、華道、掃除、語学と完璧にできる女性で。
「落ち着きは意識しました。あと、所作とか話し方や歩き方は気にしていて。作務衣のときでもきれいに見えて、ちょっと歩くだけでも画面を通して『おーっ!』と思われる女性にしたいと思っていました」。

――なのに、切ない立場の役でした。
「普通に傷つきました(笑)。香織は高嶺さんをずっと一途に好きなのに、笑い掛けてもらうこともなくて。なのに、潤子さんとは目を合わせて笑い合うのを陰から見ていると、本当に切なくなりました。高嶺さんから『潤子さん』って言葉をたくさん聞くと、すごく刺さってきたり」。

――それだけ役にも入っていたんでしょうけど。着物姿で潤子の英会話学校に乗り込む場面もありました。
「行きましたね。乗り込むというより、『絶対に私の方が高嶺さんを好き』という想いがあったので。でも、潤子さんは高嶺さんを突き放すように言うから『なんで?』という。台詞にあったように『高嶺さんを傷つけないでください』という気持ちをストレートに出せたのは、楽しかったです。いつも陰とかで見ていて、なかなか言えなかったから」。

――23歳の香織は高嶺との結婚を意識していましたが、18歳の実憂さんは結婚に関して何か考えたことはあります?
「全然ないです。でも結婚は別にして、自立のために料理は始めました」。

――どんなレパートリーがあるんですか?
「スープばかり作りすぎていて、主食になるものを作らなきゃと思っています。カレーライスとかサラダとか簡単なものになってしまうので、ちょっと凝ったものも作りたいですね」。


――スープには何かこだわりが?
「コンソメで、一番好きなのはポトフ風スープです。朝早いときや寒いときに現場で飲めるように、保温の水筒に入れて持っていって、メイク中とかに飲むのが好きです。暖まりますね」。

――それから、今年は映画「罪の余白」での邪悪な女子高生役が大評判になりました。自分では何回ぐらい観たんですか?
「2・3回観ました。最初は自分のお芝居ばかり見ちゃって。だんだん客観的に観られるようになってくると、どちらかというとお父さんの安藤さん目線になって、『大変そうだな』と思っていました」。

――大変にしていたのは実憂さんじゃないですか(笑)。
「そうなんですけど(笑)」。

――自分で演じた木場咲は客観的に観ると、やっぱり怖いですか?
「友だちにはなりたくないですね(笑)。でも、ちょっとかわいそうに思う部分もありました。もしかしたら、まだ客観的に観られてなくて、咲を演じたからそう思うのかもしれませんけど」。

――「かわいそう」というのは……。
「あんなに人を傷つけるのも、全部が女優になる目標のため。だからといって、そこまでする必要ある? そこまでこだわる必要ある? と思いました。でも、すごく頭がいいところは尊敬します」。

――撮影中は、家に帰っても咲を引きずっていたり?
「本番の撮影ではなかったんですけど、リハーサル期間が1ヵ月あって、その最初の方はすごく引きずりました。相手が傷つく言葉を言ったりするのが初めてで。朝から晩までひとつの部屋にこもって、途中から内野(聖陽)さんも参加されたんですけど、ずっとドヨーンとした気持ちでした。お昼ごはんも1人で食べたかったり。1人の空間が欲しかったんです。この役の楽しみ方がわからなかったので」。

――いろいろなインタビューで「役として人を傷つけるのが楽しくなってきた」と発言していましたね。
「そうですね。咲としては女優という最大の目標があって、そのためにいろいろやっているので。相手を傷つけて邪魔者を消し去ることで女優に一歩近づけたとか、そういう部分を感じられるようになりました。そうすると、相手が傷つくのがうれしくなる(笑)。人と人がお芝居しているので、こっちがすごく怖いと相手も本気で怖がってくれるし、こっちがあまり怖くないと相手もそんなに怖がれず、本当の恐怖が感じられない場面になってしまう。リハーサルではビデオで撮って、みんなで観て話し合って、同じシーンを納得するまで何回もやりました。だから1シーン1シーンに思い入れが強くて、濃い映画になりました」。


――咲の安藤に対する攻撃もですけど、同僚の早苗をコテンパンにするのが怖かったです。
「あれはもう、言われたらイヤですよね。イヤというか、最低、最悪。私が言ったんですけど(笑)。でも、あそこはいろいろできました。サラサラ言って言葉をどんどんぶつけるんですけど、一本調子になると面白くない。相手を見て、何を突けば最大のダメージになるのか、いっぱい考えるのが楽しかったです。手をバシーンと叩いたり、アクセントも付けられたので」。

中身はまだまだ子どもっぽいので
19歳のお姉さんらしさも欲しくて

――「表参道高校合唱部!」(TBS系)の優里亞も途中まで似たところがありましたが、合唱部に入ってからは変わりましたね。
「今まで同世代の方とお芝居する機会が少なくて。ベテランの方とお芝居させていただくと、いろいろなことを見て学ぶ感じですけど、同世代だと『こういうこともできるよね』って話し合ったり、休憩中も台詞合わせをしたり。カメラのセッティング中でも、1人が合唱する曲を1フレーズ歌うだけで、みんながハモリ出すんです。練習といえば練習ですけど、自然と歌ってしまって。本当に学校生活で部活をした気分でした」。


――そうした女優活動の一方、実憂さんはX21については、どんな想いがあります?
「やっぱり私の軸は女優なので、そこで吸収した表現力をX21のパフォーマンスで見せたいです。あまりイベントでステージに立てなくて申し訳なかったのですが、たくさんの方がCDを聴いてくださってありがたいと思います」。

――今年は仕事以外だと、トピック的なことはありましたか?
「初めて自分で家具を買いました。机とソファーを。もともとソファーが欲しくて、机もソファーがある部屋に合うものに買い替えたいと思ったんです。ちょっと小さいのを使っていたので、もっと大きいのにしようと。家具屋さんに見に行ったら、高さが簡単に変えられる机がありました。机で勉強とかしたいとき、床に座りたくてもソファーに座りたくても合わせられて便利なので、それを買いました」。

――ソファーも厳選したんですか?
「家具屋さんに3時間ぐらいいて選びました。いろいろなソファーを見て、座って、店員さんの話を聞いて。座ったら体ごとズッシンと沈むのがいいかなと思っていたんですけど、試しに座ってみたら沈みすぎな感じがして。だから柔らかすぎず硬すぎず、理想を求めて本当に頑張って選んだんです(笑)。色も好きなモノトーン系にして」。

――部屋自体もオシャレな感じなんでしょうね。
「いやいや。普通です。ただ、黒やブラウン系の家具が多いです」。

――散らかってはいないと。
「ひとつ出したら、ひとつ片づけるようにしています」。

――忙しいと服とか脱ぎっぱなしになりがちですが。
「小さい頃はそうでしたけど、一回散らかると、片づけるのがすごく大変になるので。だったら、その場で一瞬頑張ってハンガーにかけて……という気持ちです。あとのことを考えて」。


――それがなかなかできないものですが、さすがですね。ところで実憂さんは誕生日が12月28日で。
「クリスマス、誕生日、お正月と3連続になるんです。その時期は忘年会シーズンで、お仕事を始めてからはお祝いしていただくことが増えました。学校のときは冬休み期間で、みんな忙しくて。それでも家までプレゼントを届けに来てくれた子もいて、うれしかったです」。

――19歳になりますが、まだ誕生日はうれしいですよね?
「うれしいです。年を重ねると気持ちだけ少し大人になった感じはしますし、お正月に近いこともあって、『また1年頑張ろう!』という気持ちになれるんです」。

――10代最後の1年にもなりますが。
「20歳に向けて、少しずつ大人の女性らしくなりたいです。第一印象では『大人っぽいね』『落ち着いているね』と言われますけど、まだまだ中身は子どもなので」。

――そうなんですか?
「現場でも慣れると素が出ます。『表参道高校合唱部!』のときはイジるよりイジられることが多くて、『こういう感じだったんだ』とビックリされました。あと、ものを知らなくて驚かれたり。なので、もっと大人らしく、でも自分の芯は捨てずに過ごしていきたいです」。

――「大人らしく」というのは、女子力を上げるような意味も?
「それもあるかもしれないです。子どもには出せない大人の魅力というか」。

――色気を身に付けるとか?
「いやいや(笑)。頼れる感じ? お姉さんみたいな雰囲気もちょっとは欲しいです」。

――そして女優としては、また代表作を作りたい感じですか?
「一番は作品を観てくださった方に少しでも笑顔になってもらえたり、背中を押せたり……というものを作っていきたいと思っています。役の大きさに関係なく何かしら伝わるように、楽しく、時には悔しがりながら、頑張っていきたいです」。


  


  

吉本実憂(よしもと・みゆ)
生年月日:1996年12月28日(19歳)
出身地:福岡県
血液型:AB型

  

【CHECK IT】
2012年に米倉涼子、上戸彩、武井咲らを輩出した「全日本国民的美少女コンテスト」でグランプリを受賞。2014年7月にドラマ「獣医さん、事件ですよ」(日本テレビ系)で女優デビュー。同年12月公開の映画「ゆめはるか」に主演した。2015年には「アイムホーム」(テレビ朝日系)、「表参道高校合唱部!」(TBS系)、「5→9~私に恋したお坊さん~」(フジテレビ系)と3クール連続でドラマにレギュラー出演。10月公開の映画「罪の余白」ではヒロインで人の命を弄ぶ邪悪な女子高生・木場咲を演じて各方面で絶賛された。ヤマザキナビスコ「オレオ」「エアリアル」CMがオンエア中。次世代ガールズユニット・X21のリーダーも務めている。

 
 

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