PICK UP ACTRESS 優希美青
PHOTO=mika HAIR&MAKE=RYO(ROI) INTERVIEW=斉藤貴志
「ちはやふる-結び-」の新キャスト
恋愛体質の新入部員役を表情豊かに
――「ちはやふる」の「上の句」や「下の句」は観ていたんですか?
「映画館で観ました。『上の句』でハマって『下の句』も観に行って、エンドロールのあとかな? “続編決定”とパーンと出たから『あっ、やるんだ』と思って、親友とまた観に行く約束をしました」。
――自分が出るとは思わずに?
「はい。全然そんな話はなかったし、もう撮り終わったと勝手に思ってたから、自分が今回出ているのはビックリですね(笑)」。
――美青さんが演じた花野菫は、部長の真島太一(野村周平)目当てで競技かるた部に入った新入部員。恋に生きる感じとか、楽しく演じられたのでは?
「楽しかったです。現場がにぎやかだったし、役もハッチャケちゃうところがあったので」。
――表情も豊かでしたね。女の子らしいところから、ヘン顔に近いのまで(笑)。
「普段からヘン顔とか好きで、よくやってるんです」。
――へーっ。美青さんにそんなイメージはありませんでした。
「ないですか(笑)? でも、友だちと写真を撮るときとか、よくヘン顔をしちゃいます。『ちはやふる』の現場でも、写真を撮るときにヘン顔をしていたら、監督がそれを見て『いいね』と言ってくれて、役でもやることになったみたいです」。
――試合の出場メンバーとして名前を呼ばれて「私が出るんですか!?」と言うところとかですよね。鏡を見て笑顔を作るシーンもありましたが、ああいうことは実際にやります?
「芸能界に入ったばかりの頃、写真撮影にまだ慣れていなくて笑顔が作れなかったんですね。みんなが見てるし、恥ずかしい……と思って。その頃に、家で鏡を見てニコッと笑う練習はしていました」。
――結果的に、菫みたいに女子力を磨くことにもつながりました?
「私は女子力がないと、周りから言われます(笑)。菫は原作では“マスカラ命”みたいな子で、してなかったら外に出なかったり、本当に自分で女の子を磨いているんです。私は普段そんな感じではなくて、すっぴんでも全然外に行きます。そこは菫のように、おしゃれやメイクに気を使いたいと思いました」。
――特に菫らしさを感じたのは、どの辺のシーンですか?
「真島先輩の前だと、女の子の部分が見えますよね。他の競技かるた部の人といるときは、それこそ『私にはできません!』みたいなヘン顔もするけど、先輩がいると前髪を気にしたり、通学路で偶然を装って一緒に登校したり……。そういうところが“恋する乙女”という感じで、すごく好きです。かわいいなと思います」。
――美青さんだったら、ああいうふうに先輩に近づくことは……。
「できないです。『偶然ですね』と言って、待っていたことがバレていたらどうしよう……と思うと、恥ずかしくて言えません」。
――菫はストレートな性格みたいで。
「そうですね。思ったことを言っちゃうのかもしれません。恋愛に関してもそうだし、真島先輩が競技かるた部を辞める原因を作ってしまって『どうしよう……』と悩んでいたとき、大江先輩(上白石萌音)に『私がこういうことをしちゃったんですけど』と聞けるところも、まっすぐで素直だと思います」。
――「先輩が早く失恋してくれないかな」とも口にしてました。
「自分が好きになった人に他に好きな人がいたら、誰でも多少そう思うんじゃないですか?」。
――菫はイケメン好きでもあるようですが……。
「双眼鏡まで使ってイケメンを探していたから、ビックリしました(笑)。でも、私もひと目惚れにだけは共感します。コナンくんも映画館でポスターを見てカッコイイと思って、すぐ好きになりましたから(笑)」。
――「理想の男性はコナンくん」という話はデビューした頃からしてましたが、変わらずですか(笑)。大江先輩とのシーンで出た「しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで」という歌について、美青さん自身が感じたことはありました?
「台詞通りですけど、1000年前も今も女の人の恋心は変わってないんだなと思いました。それまでは意味がわからなくて、台本を読んでやっと理解して、『こんなにいい歌だったんだ』と演じながら気づきました」。
かるたの経験がない役なのに
練習しすぎて足の甲にアザが……
――競技かるたの練習はだいぶやったんですか?
「しました。最初は個人レッスンを受けて、レベルアップしたら、共演者の方と対決しました。菫ちゃんは新入部員で、ほとんどできない役ですけど、練習してたら本当にハマっちゃって……。誰かと対戦したら負けたくないし、どうしても札を取りたいんですよ! 『次は絶対に勝とう!』と思って、家でも練習しました」。
――基本、競技かるたに慣れるための対戦だったんでしょうけど、そこまで燃えたと。
「そしたら、足の甲にアザができちゃって……。それはかるたをたくさんやって打ち込んでいる人にできるものだから、全然やってなかった菫ちゃんにあったら、おかしいんです。だからメイクさんに消してもらったんですけど、それぐらい競技かるたは面白かったです」。
――負けず嫌いな性格なんですか?
「そうですね。だから余計『勝ちたい!』となっていたのかもしれません。普段からゲームをやって負けたら拗ねますし(笑)、『誰が早く食べられるか?』『早く宿題を終わらせるか?』みたいな競争になると、絶対に負けたくないです! 小さい頃からそうでした」。
――かるたの練習では、他に体のどんなところに来ました?
「膝ですね。膝で体重を支えるから痛くなって、サポーターを入れてやってました」。
――試合シーンのときはやっぱり現場に緊迫感がありました?
「ありましたね。みんな真剣にやってましたから。台本では負けないといけなくて、札を取ったらダメなときも、みんな『取りたい!』みたいな気持ちがあって……。それぐらい中毒性があるんですよね」。
――競技かるたならではの面白みは、どんなときに感じましたか?
「札をはらったときですね。『あっ、取れた!』という喜びで気持ちイイんですよ! だから、取れたシーンは素でうれしかったです」。
――競技かるた部の練習で河原を走るシーンもありました。昨年末の取材では「体力がなくて階段を上るのもキツい」とのことでしたが、あのときは大丈夫だったんですか?
「私が一番走るのが遅くて、みんなについていけず、肉まんくん役の矢本(悠馬)さんが背中を押してくれました。そこはカットされてましたけど、現場が騒然とするほど走れなくて(笑)。『これじゃイカン』と思って、ジム通いを始めました」。
――映画全体の中で、美青さんの特にお気に入りのシーンは?
「やっぱり大江先輩と2人のシーンです。真島先輩がかるた部を辞めてしまったことで自分を責めて、大江先輩に相談したら、まっすぐな言葉が返ってきて心を動かされて、菫ちゃんも自分の青春を賭けて、瑞沢競技かるた部のみんなと全国優勝を目指していく。心の変化が一番出る大事なシーンで、すごく好きです」。
――演じる上では、そういう気持ちの変化を表現しないといけなかったと。
「難しかったです。最初は全然興味なかった競技かるたを好きになって、みんなに勝ってほしいと一生懸命応援する姿をどう見せるか。でも、完成して観たら、ちゃんと気持ちが繋がっていたので安心しました」。
――原作マンガの菫に近づけることも考えました?
「監督が『あまり原作の菫を演じようとしなくていい。優希美青が演じる菫を見たい』と言ってくださったので、そこまで意識しなかったですね」。
――美青さんなりの菫を演じる上で、キモにしたことは何ですか?
「菫ちゃんは努力してかわいさを作っている女の子なんです。それを好きな人の前で見せようとするけど、なかなかうまくいかなくて、結局ズコーッとなっちゃう。そういうところが好きなんです。完璧ではなくてモテモテでもないけど、人間味がある。そこを見せられるように頑張りました」。
――同性に嫌われそうなタイプのようで、意外とそう見えないようにも感じました。
「恋愛に積極的でも『ああ、ウザいわ』って感じにはしたくなかったから、多少抑えて、笑いのほうに持っていきました。『ちはやふる』って涙あり、笑いありという作品で、自分もその世界観に入りたかったんです。これぞ『ちはやふる』、みたいなノリでやってみました」。
――笑いの部分というのは、最初に出たヘン顔とか?
「そうですね。それに、もともと台本になかったところでも、ヘン顔することが増えました。たぶん私がヘン顔して、みんなとふざけているのを監督が見て、『いけるんだ』となったと思うんです。普段の自分を役に取り入れてくれたのがうれしかったし、それこそ優希美青が演じる菫ちゃんだったのかなと思います」。
――台詞にアドリブを入れたりは?
「みんなで結構やりました。カットがかかるまで、ずっとお芝居を続けていて、長くなっちゃったから、ほとんどカットされてましたけど(笑)、メイキングとかで見られたらいいなと思います」。
――ところで、美青さん自身の高校生活も“結び”となりますね。
「今まではお仕事と学校があったのが、これからはお仕事1本になるので、テスト勉強とかがなくなる分、役のこととかいっぱい考えられそうです。でも、学校がなくなっても、勉強もある程度やらなきゃと思ってます」。
――自分で勉強しようと思っていることがあるんですか?
「なるべく本を読もうと思います。普段台本を読むことも多いので、いろいろな本を読んで勉強したり、活字に慣れようと思ってます」。
――「名探偵コナン」以外では、どんなマンガを読んでいるんですか?
「アラレちゃんとキン肉マンが好きで、買うと置き場所に困るから、マンガ喫茶に行って読んだりしています」。
――高校の“結び”に何かしたことはありました?
「私、転校したこともあって、高校の友だちがほとんどいなかったんです。母に『高校時代の友だちは一生の友だちになる』と言われて、『ヤバイ! 私には一生の友だちがいない』と思って、残り少ない中で友だち作りをしました」。
――どんなふうに?
「同じクラスの女の子に連絡先を聞いて、『ごはんに行こう』と誘いました。そしたら、本当に仲良くなれたんです! 卒業間際に友だちができて、一生の友だちになれると思います」。
優希美青(ゆうき・みお)
生年月日:1999年4月5日(18歳)
出身地:福島県
血液型:O型
【CHECK IT】
2012年に「第37回ホリプロタレントスカウトキャラバン」でグランプリを受賞。2013年4月にドラマ「雲の階段」(日本テレビ系)で女優デビュー。主な出演作は映画「空飛ぶ金魚と世界のひみつ」、「神さまの言うとおり」、「でーれーガールズ」、「暗殺教室」、ドラマ「あまちゃん」(NHK)、「マッサン」(NHK)、「デスノート」(日本テレビ系)など。P&G「レノアハピネスアロマジュエル」CMがオンエア中。映画「ちはやふる-結び-」は3月17日(土)より全国公開。4月27日(金)公開の「ママレード・ボーイ」に出演。
詳しい情報は公式HP
「ちはやふる-結び-」
詳しい情報は「ちはやふる-結び-」 公式HP
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